婚約破棄だなんて、よくも私を騙してくれましたね。でもまぁこんなことに、ざまぁですわ。

青杉春香

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本編

変わってしまった民2

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「この国で変わったことって最近何か?」

急に態度が変わったマリネに困惑するように、商人の男は、

「なんだよお嬢さん……まあ、なくはないな。むしろ知らない方が不思議に思える。アンタ何も知らずにここに来たんだな。もう前のような王国は消滅してしまったのさ。この国ではな、身分というもの自体の価値が無くなろうとしているんだ。もうほとんどなくなってる。おかげで俺のような平民でも王族にすら立ち向かえるようになってしまった。こんな贅沢なことは生きてて初めてだ。今まで散々我慢してきた平民たちも多いし、治安は前に比べて決してよくはないだろうな、ただ俺たちにとってはただただ最高だよ。お嬢さんにだって平伏さなくていいんだから」


身分の差をなくす。

単純明確なことではあるが、その事実をすんなりと受け入れることは容易ではない。

そんなこと生まれてきてから聞いたことすらない。

「それは、この国を統治する方々がお決めに?」

「ああ。そうだよ」

となると、アンク様にやはり関係している。

身分の差をなくすだなんて、一体なんのメリットがあってそんなことを。

ましてや、アンク様は私を利用して自らの地位を向上させようとしているのにもかかわらず。


理解が追いつかない。

困惑。

先程までの負の感情にはなかった文字が頭に浮かぶ。

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