1 / 6
1
しおりを挟む
「君との婚約はごめんだ! 破棄させてもらう!」
大声で放たれた発言は耳を疑うべきものだった。
それはパーティ会場中に響き渡る。
瞬く間にして、会場にいる人々がこそこそと耳打ちを始める。
その中に紛れた妹のマリナはどこか誇らしそうに笑みを浮かべていた。
「そうか……。最初から……私は騙されて…………」
こんな恥をかくことなんて、今後の人生で二度とあるものか。
きっと、一生記憶に残るものだろう。
忘れられない一日がこんなものなんて、最低最悪だ。
「ねえ、ルシオン……貴方、最初から……?」
彼は私に一歩ずつゆっくりと近づいて来ると、
「フッ……そんな顔をするなよ。悪いのは君だろ? 僕は最初から君との婚約なんて不満だったんだよ。愛がないのに結婚などできやしないからね」
耳許でそう呟くと、肩をポンと軽く叩かれ会場を去っていった。
その姿を見ながら、絶望とともに、だんだんと怒りが湧いてきた。
どうしてこんな思いをしないといけないのだろうか。
何か間違ったことでもしただろうか。
純粋に彼を愛していたし、妹のことだって大切に思い育ててきた。それなのに……。
二人のことは、誰よりも大切に考えてきたはずだ。
「絶対に貴方たちだけは許さない……いつか必ず……」
決してとどまることのない、やるせない気持ちから、復讐心というものを生まれて初めて知ることになった。
大声で放たれた発言は耳を疑うべきものだった。
それはパーティ会場中に響き渡る。
瞬く間にして、会場にいる人々がこそこそと耳打ちを始める。
その中に紛れた妹のマリナはどこか誇らしそうに笑みを浮かべていた。
「そうか……。最初から……私は騙されて…………」
こんな恥をかくことなんて、今後の人生で二度とあるものか。
きっと、一生記憶に残るものだろう。
忘れられない一日がこんなものなんて、最低最悪だ。
「ねえ、ルシオン……貴方、最初から……?」
彼は私に一歩ずつゆっくりと近づいて来ると、
「フッ……そんな顔をするなよ。悪いのは君だろ? 僕は最初から君との婚約なんて不満だったんだよ。愛がないのに結婚などできやしないからね」
耳許でそう呟くと、肩をポンと軽く叩かれ会場を去っていった。
その姿を見ながら、絶望とともに、だんだんと怒りが湧いてきた。
どうしてこんな思いをしないといけないのだろうか。
何か間違ったことでもしただろうか。
純粋に彼を愛していたし、妹のことだって大切に思い育ててきた。それなのに……。
二人のことは、誰よりも大切に考えてきたはずだ。
「絶対に貴方たちだけは許さない……いつか必ず……」
決してとどまることのない、やるせない気持ちから、復讐心というものを生まれて初めて知ることになった。
0
あなたにおすすめの小説
今さら泣きついても遅いので、どうかお静かに。
有賀冬馬
恋愛
「平民のくせに」「トロくて邪魔だ」──そう言われ続けてきた王宮の雑用係。地味で目立たない私のことなんて、誰も気にかけなかった。
特に伯爵令嬢のルナは、私の幸せを邪魔することばかり考えていた。
けれど、ある夜、怪我をした青年を助けたことで、私の運命は大きく動き出す。
彼の正体は、なんとこの国の若き国王陛下!
「君は私の光だ」と、陛下は私を誰よりも大切にしてくれる。
私を虐げ、利用した貴族たちは、今、悔し涙を流している。
大公家を追放されて奈落に落とされたけど、以前よりずっと幸せだ。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
大公家を追放されて奈落に落とされたけど、奈落のモンスターの方が人間よりも優しくて、今の方がずっと幸せだ。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる