2 / 6
2話
しおりを挟む
ルシオンは最初から、妹目当で私に近づいてきた。
今思えば、ことあるごとに彼はマリナのことを尋ねてきていた。
「マリナは元気かい?」「マリナとは最近どうなの?」「マリナは何が好きかな」
マリナ、マリナ、マリナ、マリナ……とよく言っていた。
そして、マリナもルシオンのことを大変気に入っていて、彼の話題になるとすぐに目の色を変えて、楽しそうに話をしていた。
相思相愛だったのだろうか。
それならいい。二人が普通に愛し合ってさえいれば、姉の私からしてみても微笑ましいことだ。
けれど、そうではなかった。
ルシオンとマリナは、お互いにお互いの気持ちをわかっていて、わざと私を貶めるような真似をしたということだ。
そうでなければ、はなっから二人が婚約をすればいいだけなのだ。
なんとなくだが、二人とも私に対して悪意やら敵意、そういうものがあったのかもしれない。
妹の恨みならばなんとなくわかる。
マリナは腹違いの妹なのだ。
そのせいで、家では扱いが違う。
私の方が優遇されて、マリナの方が若干、冷たくされている気がする。
私の目から見てもそれがわかるときは、家の人に言いつけるようにしている。
マリナはそれを嫌がるけれど、ただ単に私が差別を許せないのだ。
でも、マリナからしたら虚しくなるだけで迷惑なのかもしれない。
ルシオンに関してはわからない。
そもそも、婚約者となったときも巷では、ルシオンが財産と地位目当で私を狙っている、なんて言われていたくらいだ。
何が狙いなんだろうか。
でも結局は、マリナを愛していたわけだし。
家で優遇されている私と婚約を申し込む方が、マリナと接点を持ち易かったという話なら合点がいく。
だとすると、マリネのことをルシオンはかなり前から愛していたのだろうか。
それでいて、私に会うたびに、愛しているだなんて告げていたと思うと、なんだか寒気がしてくる。そして腹立たしい。
今頃二人はどうしているのだろうか。
私が婚約破棄されることになって、両親も不服そうだったけれど、マリネとルシオンが結婚をすることは既に承諾したらしい。
二人のことを他の人がどう思ってるかは知らないが、二人は婚約破棄だけでなく、稚拙な嫌がらせもしている。
私がパーティー会場に取り残された後、妙な噂を聞いたのだ。
私が遊び人で浮気ばかりしている。だからルシオンに捨てられたんだ。
とか、
私がマリネに普段からすごい暴力を振るっている。
とか、
最初から婚約はルシオンとマリネがする予定だったのを、私が邪魔して自分と差し替えた。
他にも色々聞こえてきた。
とても悲しかった。
涙のせいで、視界がずっとぼやけたまま、城に帰った。
当然、そこに妹たちはいない。
いるのは、両親と執事だけだった。
私が帰るなり、悲観的な目線を向けられた。
全てが嫌になって、すぐに自室のベッドに寝転んだけれど、眠れるはずもなかった。
いっそこのまま死んでしまおうかとも考えたけれど、それよりはやっぱり、二人への復讐心に燃えた。
それからここ数日間、どんな方向でどう復讐してやるかと、幾度も考え抜いた結果、私は彼らに同じ思いをしてもらうことにした。
いいや、それ以上かもしれない。
二人には、家名に泥を塗るような存在として世間的に認知させ、地位も名誉も財産も全て無くした後に、二人きりで幸せに夫婦生活を迎えてほしいと考えている。
それに対する計画はまだ段階途中だけれど、ある程度固まってきたため、明日にでも実行してみようと思う。
今思えば、ことあるごとに彼はマリナのことを尋ねてきていた。
「マリナは元気かい?」「マリナとは最近どうなの?」「マリナは何が好きかな」
マリナ、マリナ、マリナ、マリナ……とよく言っていた。
そして、マリナもルシオンのことを大変気に入っていて、彼の話題になるとすぐに目の色を変えて、楽しそうに話をしていた。
相思相愛だったのだろうか。
それならいい。二人が普通に愛し合ってさえいれば、姉の私からしてみても微笑ましいことだ。
けれど、そうではなかった。
ルシオンとマリナは、お互いにお互いの気持ちをわかっていて、わざと私を貶めるような真似をしたということだ。
そうでなければ、はなっから二人が婚約をすればいいだけなのだ。
なんとなくだが、二人とも私に対して悪意やら敵意、そういうものがあったのかもしれない。
妹の恨みならばなんとなくわかる。
マリナは腹違いの妹なのだ。
そのせいで、家では扱いが違う。
私の方が優遇されて、マリナの方が若干、冷たくされている気がする。
私の目から見てもそれがわかるときは、家の人に言いつけるようにしている。
マリナはそれを嫌がるけれど、ただ単に私が差別を許せないのだ。
でも、マリナからしたら虚しくなるだけで迷惑なのかもしれない。
ルシオンに関してはわからない。
そもそも、婚約者となったときも巷では、ルシオンが財産と地位目当で私を狙っている、なんて言われていたくらいだ。
何が狙いなんだろうか。
でも結局は、マリナを愛していたわけだし。
家で優遇されている私と婚約を申し込む方が、マリナと接点を持ち易かったという話なら合点がいく。
だとすると、マリネのことをルシオンはかなり前から愛していたのだろうか。
それでいて、私に会うたびに、愛しているだなんて告げていたと思うと、なんだか寒気がしてくる。そして腹立たしい。
今頃二人はどうしているのだろうか。
私が婚約破棄されることになって、両親も不服そうだったけれど、マリネとルシオンが結婚をすることは既に承諾したらしい。
二人のことを他の人がどう思ってるかは知らないが、二人は婚約破棄だけでなく、稚拙な嫌がらせもしている。
私がパーティー会場に取り残された後、妙な噂を聞いたのだ。
私が遊び人で浮気ばかりしている。だからルシオンに捨てられたんだ。
とか、
私がマリネに普段からすごい暴力を振るっている。
とか、
最初から婚約はルシオンとマリネがする予定だったのを、私が邪魔して自分と差し替えた。
他にも色々聞こえてきた。
とても悲しかった。
涙のせいで、視界がずっとぼやけたまま、城に帰った。
当然、そこに妹たちはいない。
いるのは、両親と執事だけだった。
私が帰るなり、悲観的な目線を向けられた。
全てが嫌になって、すぐに自室のベッドに寝転んだけれど、眠れるはずもなかった。
いっそこのまま死んでしまおうかとも考えたけれど、それよりはやっぱり、二人への復讐心に燃えた。
それからここ数日間、どんな方向でどう復讐してやるかと、幾度も考え抜いた結果、私は彼らに同じ思いをしてもらうことにした。
いいや、それ以上かもしれない。
二人には、家名に泥を塗るような存在として世間的に認知させ、地位も名誉も財産も全て無くした後に、二人きりで幸せに夫婦生活を迎えてほしいと考えている。
それに対する計画はまだ段階途中だけれど、ある程度固まってきたため、明日にでも実行してみようと思う。
0
あなたにおすすめの小説
今さら泣きついても遅いので、どうかお静かに。
有賀冬馬
恋愛
「平民のくせに」「トロくて邪魔だ」──そう言われ続けてきた王宮の雑用係。地味で目立たない私のことなんて、誰も気にかけなかった。
特に伯爵令嬢のルナは、私の幸せを邪魔することばかり考えていた。
けれど、ある夜、怪我をした青年を助けたことで、私の運命は大きく動き出す。
彼の正体は、なんとこの国の若き国王陛下!
「君は私の光だ」と、陛下は私を誰よりも大切にしてくれる。
私を虐げ、利用した貴族たちは、今、悔し涙を流している。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
[完結]裏切りの学園 〜親友・恋人・教師に葬られた学園マドンナの復讐
青空一夏
恋愛
高校時代、完璧な優等生であった七瀬凛(ななせ りん)は、親友・恋人・教師による壮絶な裏切りにより、人生を徹底的に破壊された。
彼女の家族は死に追いやられ、彼女自身も冤罪を着せられた挙げ句、刑務所に送られる。
「何もかも失った……」そう思った彼女だったが、獄中である人物の助けを受け、地獄から這い上がる。
数年後、凛は名前も身分も変え、復讐のために社会に舞い戻るのだが……
※全6話ぐらい。字数は一話あたり4000文字から5000文字です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる