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6話
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「それにしても……暫くぶりですね。うちのルシオンからたまに話は伺っていましたが」
「そうですね。タルト様とこうしてお会いするのはもう半年ぶりくらいになりますでしょうか?」
「そうだね。はやいものでそのくらいになるね」
久しぶりに会ったということで、軽く互いに挨拶を交わす。
私は、タルト様の分のコーヒーも注文を済ませると、口を開いた。
「タルト様は今でも……ルシオンのこと、憎んでおられるのですか……?」
タルト様は少しだけ間を置いてから、
「そうだね。憎むというと少し意味合いが変わるかもしれないけれど、それに近い感情はずっと癒えていないね」
「どうしてもあの日のことが忘れられないのですね……」
「まあ……そうかな。けど、そもそもルシオンは普段の行いにも納得がいかない点がいくつもある。そろそろ更生させたいくらいだ」
「それには少し同感です」
ルシオンが婚約者になった時のことをふとここで思い出す。
当時は彼を好きだという気持ちが確かにあった。
けれど、婚約破棄をされたときは悲しみよりも腹が立った。
それは間違いなく彼への想いが薄れていたということも大きいのだろう。
「少しばかり私の計画に付き合ってもらってもよろしいですか?」
そう切り出すと、タルト様は軽く頷いた。
だから私は覚悟を決めて、ルシオンとの関係について、今回の計画について話すことにした。
「そうですね。タルト様とこうしてお会いするのはもう半年ぶりくらいになりますでしょうか?」
「そうだね。はやいものでそのくらいになるね」
久しぶりに会ったということで、軽く互いに挨拶を交わす。
私は、タルト様の分のコーヒーも注文を済ませると、口を開いた。
「タルト様は今でも……ルシオンのこと、憎んでおられるのですか……?」
タルト様は少しだけ間を置いてから、
「そうだね。憎むというと少し意味合いが変わるかもしれないけれど、それに近い感情はずっと癒えていないね」
「どうしてもあの日のことが忘れられないのですね……」
「まあ……そうかな。けど、そもそもルシオンは普段の行いにも納得がいかない点がいくつもある。そろそろ更生させたいくらいだ」
「それには少し同感です」
ルシオンが婚約者になった時のことをふとここで思い出す。
当時は彼を好きだという気持ちが確かにあった。
けれど、婚約破棄をされたときは悲しみよりも腹が立った。
それは間違いなく彼への想いが薄れていたということも大きいのだろう。
「少しばかり私の計画に付き合ってもらってもよろしいですか?」
そう切り出すと、タルト様は軽く頷いた。
だから私は覚悟を決めて、ルシオンとの関係について、今回の計画について話すことにした。
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