婚約者様、勝手に婚約破棄させていただきますが、妹とお幸せにどうぞ?

青杉春香

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本編-1ヶ月前-

1-2

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「『僕はアマンダよりも君のことを愛している』と……真剣な眼差しで伝えられて……そして瞬く間もなくキスをされました」

ライダ様が私よりも妹のチェルシーを愛している。

信じたくはない。絶対に。
だけれど、チェルシーが言うのならおそらく本当のことだろう。
そして、それが彼の本心だというのなら私はいったいなんのために彼との婚約を……。

「チェルシー、貴方はライダ様のことが好きなのかしら……?」

目を逸らそうとする、チェルシーの顔にそっと触れながら訊く。

「私は、ライダ様のことが……」

「ことが?」

「よくわかりません……。お姉さまの婚約者なのにも関わらず私にそのような態度を取って、何がしたいのかわかりません。でも、私も複雑で……なんというかもう彼のことを考えると胸が苦しくなってしまい夜もよく眠れません」

どおりで最近、チェルシーの目の下にクマができていたわけか。

「ということは、好きってことでいいのね?」

「……はい」

私の婚約者は、私ではなく妹を愛していて、そしてまた、妹もその婚約者に惚れている。

そんな悪夢のような話、考えたくもない。

今すぐこの場から去って、どこか知らない街にでも行きたい。

ひとりになりたい。

この悲しみをどこに向ければいいのかがわからない。

妹の恋路を応援すべきなのだろうか。

では、私は何のために婚約者に選ばれたのだろうか。最初から妹ではダメだったのだろうか。

わからない。もう何もかもがわからない。

ライダ様が私に誓ってくれた愛は全て嘘だったのだろうか。

君だけを愛していると言ってくれたのは嘘だったのだろうか。

今はただ、そっとしておこう。

「あの、私はどうしたらよいのでしょうか!」

あぁ……そんな純粋な瞳で私を見つめないで欲しい、チェルシーは今どんな気持ちで私に聞いているのだろう。

「貴方の好きにすることが一番じゃないかしら」

姉として何が正解なのかわからないけれど、こう言ってあげるしかわたしにはできなかった。

「そうですか……わかりました。ありがとうございますお姉さま。私もいつものお姉さまのように勇気を出してみようと思います」

もはや、言葉の意味など考える気すら起こらず、チェルシーが部屋を去った後、ベッドに吸い込まれるようにして深く眠った。
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