備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず

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第1章 ココどこですか?

驚き過ぎると、人は無になる?!(結局…暗転?!)

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『まぁ、せっかく作った酒とツマミだ。
この後は食べながら話そう。』と話しかけながら、テーブルの上に品々を並べる。
この際、試食も兼ねて貰いたい。
お酒の試飲は、子供達には頼めないからな。

『そりゃ願ってもない申し出だ。
ラッセルさんに食べさせたいんじゃないのかい?』
少しニヤついた顔にやっぱり好青年とはソリが合わないと思いながらも信楽焼風の湯のみに入れた焼酎を差し出した。

『自慢の1品だ。まぁ、飲んでみてからその先を聞こうか。』

本当に酒造りはかなり苦労した。
酒を飲まない人間が、酒造りするんだから当たり前か。酒造りで失敗を繰り返しながら、杜氏の皆さんを心から尊敬した。
しかし、味見もなしに飲ませてるせいか、ちょっと緊張気味に好青年を伺い見る。



あれ?目を閉じて動かない。

チクタク、チクタク。

腕時計の針は5分経過したが、動かない。

。。。まさかの【毒】?!
密造酒が毒になったニュースをインドか何処かで見た気がする。

黒装束はもう消えていない。今こそ、ここに現れて欲しいのに。
あぁ、どうすれば良いのか。。

そうだ!!

【特万能薬】

あれを使うしかないか。
沢山採れた薬草を色々煮込んだり、干したりしていたら偶然出来た産物だ。

丸く黒い粒(ちょっと正露丸ぽい)を取り出して好青年に駆け寄って気づいた。

震えてる。
しかもかなり顔が赤い。

そんな度数が高いお酒じゃ無いはずだ。
やっぱり、【毒】なのか。

側に近寄ったその時!!

突然、好青年の両目がカッと見開き、俺の両手を掴んでブンブンと振り回し始めた。怪力なのか凄い勢いで振り回すので目が回る。

『おい、おいってば!!彼を振り回し過ぎて目が回っているぞ!!』
好青年を押さえ込み助けてくれたのは、意外にも黒装束。
やっぱり居たのか(忍者っぽい気がするんだけどな。)

『あっ、これは申し訳ない。あまりの感激に茫然自失となっておりました。
本当にこれは凄いお酒です。サラリとした軽さの中に深みがあって。芳醇な香りも今までにないものです。』

何処かのグルメリポーターか!!
ツッコミたくなる程饒舌になった好青年が
喋る喋る…。

こんなに褒めて貰えたから自信はついたけど、これからの話をする予定はどうした?

『久しぶりに力が充満します。もう、失われたと思っていたのに。』
泣き上戸だったのか?

ブツブツ言いながら涙ぐんだり忙しそうだ。こうなりゃ交渉相手は素面に限る。

『にん…黒装束の人。こんなになっちゃ話も聞けない。あんたが話を進めてくれないか?』

わっ!!やっぱり俺の背後にいた。
敵にしなくて良かった。

『分かった。詳細は明日にでもジルから聞いてくれ。

まず第1に国として敵対する気は無い。
大前提としてそれだけは信じて欲しい。
ま、私が言っては嘘臭いだけだがな。

次にこちらの希望は二つ。
一つ目は、品物を出来るだけ沢山一刻も早く購買したい。
二つ目は、貴方に首都に行き王様にお会いして貰いたい。

ただ、これも強制する事は無い。神狼様の加護を賜った者を人間如きが何か出来る筈もないからな。』

黒装束のままか。
素顔のない交渉相手はイマイチ信頼に欠けるが、にん…諜報部隊なら仕方ないか。

『答えは両方決まっている。
一つ目の答えは、引き受ける一択だ。
細かな打ち合わせが必要だが明日以降で良いと思う。
ここで一つ条件をつけさせて貰いたい。
ラッセルさんが全ての窓口だ。』

長年、遠方のこの村を尋ねてくれる唯一の行商人だと村長は言った。
その意味は、ラッセルさんがこの村の恩人であると言うことだ。

村長の恩人は、俺の恩人でもある(現在進行形で居候しているしな。)

『それは了解した。ただ、権限はジルにあるので確実な答えはこれも明日に。』

『では、もう1つの答えだ。
それは出来ない。首都には行かない。』

はっきり言い切った。
ある程度ぼかすのも交渉手段としてあるが、全く受け入れられない条件はキッパリ断るのが後日揉め事を無くす方法だと思って仕事をしてきた。

それはここでも適用される。

黒装束から珍しく感情が伝わる。
非常に困っているのだな。
上の命令に従うのが、宮仕えの定めだ。
非常に理解出来るが、これは譲れない。

『そ、それは』言い淀んだその時。

ピカッ!!!

酔っ払いとなっていた好青年が光った。

と、思ったら、消えた?!

『あぁ、本当に久しぶりに〚装身〛が使えた。
もう、二度と使えないと思っていたのに。
これは、奇跡の酒だ!!』

またもやお褒めの言葉で嬉しいんだが、好青年、いったい、何処にいるんだ?!

やっぱり彼も忍者の仲間なのか?

『ジル!!まさか使える様になったのか?』
『そうだ。あの時全て使い果たしたと思っていたのだが。』
『。。良かった。。本当に。』

『いや、盛り上がっている所申し訳ないが、
黒装束さんとお話しているジルさんが見えなくて。諜報部隊さんの技か何かですか?』

『えっ?』『えっ??』
2つの声が重なった後、俺の目の前の空間がうっすらと色づいてゆく。

その色はまるで虹のように、多彩な色が揺らめいて、暫くすると緑色のジルさんがいた。

えっ??呪いなのか??

『呪いなどではありません。村長さんの獣の姿を見ているのでご存知とばかり。
これは〚装身〛と言う技です。この国にはごく少数ですが今も〚装身〛を使える人々がいるのです。』

大混乱中の俺の目の前で、ジルさんが元の姿に戻った。

『私の〚装身〛は身体の色を変えられるものです。矢作様、全ては貴方の〚焼酎〛のおかげです。このご恩は我が身命をもって必ずお返し致します。』

好青年は重いな。 

それよりも驚いたのは、なんと

村長は熊じゃない!!

〚装身〛よりもその事に驚きを隠せないでいたら何を思ったのか、黒装束が急に動き出した。

『私も〚装身〛を解こう。信頼を得るためにも見て欲しい。これが私の本当の姿だ。』

人は驚き過ぎると、かえって落ち着くのかもしれない。

俺は今、無になっている。

だから

目の前に金髪碧眼の美人が居ても別に平気だ。

嘘でした。
痩せ我慢は限界を超えた。

後は明日に。

久しぶりの暗転は少し慌てる2人の声を聞きながら深い闇の中へ。




〚装身〛に気づいたか。
では、次の一手を考えなければ…

闇の中で何か声が聞こえた気がするけれど
その意味は何も残らなかった。

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