備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず

文字の大きさ
19 / 69
第1章 ココどこですか?

子沢山には米作りが急務?!

しおりを挟む
順調だ。

本当に全ては順調だ。
と、言いたいけれどそれは職人のこだわりで危機的状況となった。

3ヶ月は意外に短い。

捨て子達を拾ったからには、その責務は絶対果たす。当然の事だ。
しかし、それには衣食住が不可欠だ。
頼るべきは、村長一択だ。
間違っても好青年ではない(うん臭さがどうしても取れない。ま、秘密も多そうだしな。)

『村長。相談があるんだ。
実は急いで手に入れたいものがあるから協力して欲しいんだ。
急で申し訳ないが、村長が頼りなんだ。』 
ドレン達の仕事を見た俺は村長の部屋へと駆け込んだ。

『もちろん、矢作さんのお力にはなりたいですが。』
笑顔半分、不安2倍の顔の村長が怖々俺を見ていた。それでも村長に頼むしかない。

『頼みというのは、人手・土地・洋服の3つなんだ。

人手というのは、2種類の仕事をしてくれる人を探していて、人数は多ければ多い方が良いんだ。
仕事の種類は
1つは、ドレン達を手伝う人達
2つは、農業をする人達

次は少し難しいかもしれない。
またしても広大な土地が必要になって。
場所は、村の囲いの外側で、面積は広ければ広い方が良い。
もちろん、どちらも支払いは適正価格をきちんと払うので安心して欲しい。

洋服だが、子供服だ。
もちろん古着は大歓迎だが、人数がこちらも多い。だいたい100人位を目処に着替えが数枚あれは助かる。
材料は俺の方で用意出来る。綿花、麻など素材は幾らでもある。
可能だろうか?』

少し早口になってしまった。
それにしても近頃、村長が俺に対してフレンドリーな口調になったのは正直有難かった。俺は、畏まって喋るような人間ではないんだ。堅苦しいのは苦手なんだ。

そんな風には話すようになってから、気がつけば無理なものは無理と気軽に言ってくれる様になった。凄く嬉しい変化だ。
まあ、だからこんな無茶ぶりも出来るのだけどな。

それともうひとつ。
こんな無茶ぶりが出来る訳がある。

金だ。

好青年との取引で大金が手に入った。それも予想外の大金だった。
支払いで初めて知ったのだが、金貨の上が存在した。

白金貨  1枚🟰   金貨       1000枚
王金貨  1枚🟰   白金貨   10000枚

この王金貨は、滅多な事では使われない。
王自ら、他国への信用取引の1つとして
使われるらしい。

白金貨200枚のお支払いだった。
日本円にしたらなんと200億円…大きすぎて実感なんて全く無い。
(かえって、金貨1枚の方が有難みがあるくらいだ。)

でも、支払いを考えないで村長に頼み事が出来たのは正直有難かった。
ふぅ、子沢山も大変だよ。

『矢作さん、人手の確保は恐らく大丈夫です。何人必要なのかによりますが、近隣の村では農地に植えるべき種すらなく大勢のもの達が失職している状況ですから。
洋服も古着込みでしたら、何とかなるかと。ただ、最低枚数のみになると思ってください。
1番難しいのが、土地です。
矢作さんは、この村の外の状況を知っていますか?』

『ああ、だいたいの事は教わっている(主に村長の奥さんに。彼女は優秀な先生なのだ。)
降水量が少なく荒野となっていて、更に野生の動物が来て危険で、とても人の住める所じゃないって。』

『そうなんです。
まず、農地に向かない上に危険となれば、村の中に作るのが1番かと。』

まあ、村長ならそう言うと思った。
大概の事は、恩人である(全く恩人らしきことをした覚えがないのだが。)俺の希望を叶えてくれる。村の中の土地を用意しようとするだろうと。
でもそれは、村人からの反対すらも無視した形になる可能性が高く非常に危うい。

だからこそ、村外に作る一択なのだ。
村も大きくなるし、村の周りに農地が出来れば今後飢えとは無関係になれる。

『村長。俺もちゃんと対策は考えてある。それよりも価格的にとか、持ち主の承諾とかが問題なのだ。』

暫く考え込んだ村長が出した結論は、相談する時間が欲しいだった。

結局、その夜条件付きでの取引成功となった。

その条件は【好青年が対策を見て許可すればOK】というものだった。

やっぱり、相談相手は好青年だったか。
急ぐ俺はその条件を飲んで、早速作業を取り掛かる事にした。

村の周りには、聳えるほど高い柵がぐるりと囲われている。太く大きな柵は、大型の野獣が来てもビクともしない頑強なものだ。

俺と好青年は入口へと向かった。

いつもは、閉じられている村の入口の金属製で出来た扉が大きく開かれていた。
金属製の扉。非常に稀な金属製の扉が、村にとって如何に重要で、そして外の脅威がどれほど深刻かを教えてくれていた。

この村にきて俺は初めて、外を見た。

本当に何も無い。


木々だけでなく、草も生き物の気配すら感じられない。

広大な不毛の大地。

狭い日本から出たことのない俺にとって、初めて見るその風景に言葉もなく立ち尽くした。

『矢作さん、大丈夫ですか?』
こちらを窺うような好青年の顔に、ハッと我にかえる。

『大丈夫だ。
さあ、始めるぞ!!』

両頬を叩いて、気合いを入れてから
まず不要物除去から取り掛かる。

『村の周囲円形に100kmの農作に適さないもの収納』

『次に農作に適した土、同じ場所に均一に出庫。』

良し!!農地確保と。

『同じ場所に雨量10mm程度の雨相当の水、出庫。』

『出口から真っ直ぐ巾5m全長10km直線で砂利出庫。』

大通りも確保と。
道普請は大事だからな。

他にも細かな道普請をしたいが、その辺は村長や好青年と相談だな。

ひと仕事を終えても、失神しなくなったのはLvが5になったおかげか。

Lv5の収納庫は優れモノだった。
中身の表示を、入れるつもりのものにも適用出来たのだ。

見ただけで、内容が表示される機能

更には
分離・合成の項目もある。
(まだ、使い方が分からんが…)

広大な農地となった風景に満足しながら、振り返れば…またか。

固まってる。

『おい、しっかりジャッジしてくれ。
やるべき事はしたぞ!!』
肩を揺さぶってそう大声を出せば、顔色が悪くなった好青年が気を取り直しこちらを見た。

『矢作様、完璧です。
村長にはOKでお返事しておきます。』
真っ直ぐ俺を見ているのに、どこか心が居ないような表情の好青年はそう答えて村へと戻っていった。

うむ。
正直、喜んでくれる気がしたがそれは傲慢だったな。

当初の目標はひとまず達成だ。
人手も来れば、3ヶ月の約束は守れる。
満足の結果に、そっと最後に呟いた。

『周囲5m円形に、花の種を散布。』

芽が出ると良いが。

『矢作様ーー門を閉めますよーー。』
門番のおっさんの声に慌てて戻った。



『もう一度、夢を見てもいいのか。
諦めていた緑の大地の夢を…』
前を歩くジルの独り言を聞いている者は誰も居ない。

ただ、農地からの風が土の香りを運んで来た。





しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました

まったりー
ファンタジー
何処にでもいるような平凡な社会人の主人公がある日、宝くじを当てた。 ウキウキしながら銀行に手続きをして家に帰る為、いつもは乗らないバスに乗ってしばらくしたら変な空間にいました。 変な空間にいたのは主人公だけ、そこに現れた青年に説明され異世界召喚に巻き込まれ、もう戻れないことを告げられます。 その青年の計らいで恩恵を貰うことになりましたが、主人公のやりたいことと言うのがゲームで良くやっていたダンジョン物と牧場経営くらいでした。 恩恵はダンジョンマスターにしてもらうことにし、ダンジョンを作りますが普通の物でなくゲームの中にあった、中に入ると構造を変えるダンジョンを作れないかと模索し作る事に成功します。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる

まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。 そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

処理中です...