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第2章 矢作、村を出る?!
旅路1日目なのに?!***ジル視点***
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まだ、冬には早いのに狂った世界の気温の変化は激しい。夜ともなればかなり冷え込み命の危険すらある。
無論、準備は万端整えた。馬車2台のうち1台は装備品や食糧など長い旅路を考えた。
キセは影を仕込んだらしいが、詳細ははぐらかされた。
出発は、かなり派手なモノになった。
たった数ヶ月の滞在。
それでも、恩人である矢作への想いは強い。
『コレ旅の途中で食べてよ。』
『あら、あたしの作ったこの服も防寒具として優秀だからこっち持っていって。』
『アンタ達、何言ってるの。必要なのは非常食でしょ!!我が家の秘伝の干し麦こそ絶対欠かせないわよ。』
大挙したのは、オバサン。。コホン奥様方の群れ。
そのおかげで珍しいモノが見れた。
困っている矢作様だ。
普段は動じない矢作様も奥様方の群れには叶わないらしい。
結局、矢作様を救い出したのは村長代理である奥さんだ。
しかし、矢作様を取り囲むのはオバサンだけではなかった。子供から、精霊様まで。
あらゆる人たらしを展開してようやく、出発の時刻となった。
『見知らぬ私に親切にして下さったこの村は、この世界での私の帰りたい場所になりました。こんな風に別れがたくなる経験が私にはありませんでした。本当にありがとうございます。
では行ってきます。』
感慨深そうな矢作様の表情を温かく見守る村人達に別れを告げた。
馬車に乗り込むと村長が心配そうに矢作様に尋ねた。
『矢作様のギフト制限の事は聞いております。今は収納庫には沢山入らないと。村人からこんなに沢山貰ったら、入らないのではないですか?不必要なモノは捨てていっても誰も気にしないと思いますよ。』
なるほど、確かにその通りだ。
しかも、出発前に森に入っては何かを採取していた矢作様の収納庫は既に満杯だろう。さすが村長だな。
そんな村長の心配をよそに、矢作様は柔らかく微笑んで何事もないように答えた。
『村長、色々ご配慮ありがとうございます。でも制限がかかってもだいたい3軒分くらいの家の中身なら出し入れ可能だったので度には充分かなと。
私なりに色々揃えたので、きっと収納庫は旅のお役に立てると思います。』
【私なりに揃えた…】
このセリフに後ほど、同行者全員が青ざめる事になるのはもう少し先の話。
賑やかな出立の後は、しばらくはのんびりした馬車の旅だった。このまましばらくはのんびり旅かと思いきや、予想外のアクシデントが発生したのだ。
馬車の揺れに耐えかねた矢作様とクサナギさんが途中で気分を悪くしたのだ。
『ちょっと止まってください。』
かすれ声の矢作様に止められる事、数回。
とうとう、次の村まで着ける予定が最初の晩から野宿となる羽目になったのだ。
真っ青な顔で、馬車に横たわる矢作様たちに強行軍は無理だったのだ。
森の野営。
数十年前なら、さほど危険でないのだが、今では命懸けだと言える。
まぁ本来なら、だ。
だが今回のメンバーなら、一晩くらい余裕だろう。とは言え準備は万端整える必要がある。
まずは野獣対策。
馬車の周りに野獣の嫌う【臭い草】を撒いて罠を何ヶ所も仕掛ける。元々、防御力の高い馬車の上、曳いている馬は野獣よりも強いため夜襲を受ける確率は低い。
それでも、罠の数は多ければ多い程よい。
旅慣れたルフと私が手分けして設置する間にゴルバ達に下草を刈リ込みなど野営地作りを頼んだ。
腰丈ほどある草の中では、害虫なども怖い。虫除けの煙は、ラッセルの出番だ。
行商人なら誰でも持ってる虫除け草。
見張りは、高尾様が申し出て下さった。
これほどの安心は無い。そのため全員が集中して作業に励んでいたのだ。だから気づかなったのだ。
矢作様の動きに。
?!!
あれは?!!
小さな焚き火を作る用意をした場所には
何やら台所が出来上がっていた。
もちろん、家の台所を外に作ったのだ。
いや、自分でも何を言っているのか分からない。鍛冶師の釜でも作ったのか?
そう聞けば
『竈だ。』
カマド?
それは何だ?
『ほら、台所によくあるじゃないですか?簡易かまどですよ。えっ?その通り。村長の家にもあったじゃないですか?』
いやいやいや。
また、簡易とか使っているが言葉が間違っている。時々クサナギより間違う。
これは鍛冶場。もしくは台所だ!!
だいたい村長の家のあれは、きちんとした家の、しかも村1番の大家のモノだ。
その上、それより立派だとか。
ゴルバとグーナンの目の色が変わったじゃないか。
しかも良い匂いがする。
「先輩!!全粒粉パンですね。昔、会社でご馳走になりましたね。」
『草薙。あれはお前が勝手に俺の弁当から盗ったんだ。まあ、代わりに高級幕の内弁当貰ったけど。
それにこれは木の実入りの全粒粉パンだ。
ゴージャスだろ?』
『フルイ。デモオイヒイ。』
異国語の混じる2人のやり取りを聞きながら配られたパンを齧る。
うまっ。
木の実が甘く煮てあって素朴なパンを生かしてる。
我々も食べなれたパンに近いのに、美味しさは別格だ。
しかもスタミナ全回復付きだった。
精霊様からの差し入れを煮たらしい。
あんなにヘロヘロだったのに、いつの間に。
『センパイ、パケモノ。スゴイE。』
クサナギの言葉を日に日に進化してる。
改めて、あちらの世界の人々の能力スキルは凄まじいと感じる。
収納庫から出てきた、椅子、机は折り畳み式。
そして極めつけの登場だ。
【ドラムカンブロ】
驚きに満ちた1日目の夜は、まだ始まったばかりだった。
*** ある男の呟き ***
別部隊からの合図が消えた。
おかしい。
簡単に感じる依頼だったのに、この森もこの馬鹿げた野営も全てが変だ。
なぜこうなった?
物騒な森で呑気に野営している馬鹿どもだったはずなのに。
キーーン。。
空気が変わった。
俺は身体中の神経を研ぎ澄ましながら、剣に手をかけた。
無論、準備は万端整えた。馬車2台のうち1台は装備品や食糧など長い旅路を考えた。
キセは影を仕込んだらしいが、詳細ははぐらかされた。
出発は、かなり派手なモノになった。
たった数ヶ月の滞在。
それでも、恩人である矢作への想いは強い。
『コレ旅の途中で食べてよ。』
『あら、あたしの作ったこの服も防寒具として優秀だからこっち持っていって。』
『アンタ達、何言ってるの。必要なのは非常食でしょ!!我が家の秘伝の干し麦こそ絶対欠かせないわよ。』
大挙したのは、オバサン。。コホン奥様方の群れ。
そのおかげで珍しいモノが見れた。
困っている矢作様だ。
普段は動じない矢作様も奥様方の群れには叶わないらしい。
結局、矢作様を救い出したのは村長代理である奥さんだ。
しかし、矢作様を取り囲むのはオバサンだけではなかった。子供から、精霊様まで。
あらゆる人たらしを展開してようやく、出発の時刻となった。
『見知らぬ私に親切にして下さったこの村は、この世界での私の帰りたい場所になりました。こんな風に別れがたくなる経験が私にはありませんでした。本当にありがとうございます。
では行ってきます。』
感慨深そうな矢作様の表情を温かく見守る村人達に別れを告げた。
馬車に乗り込むと村長が心配そうに矢作様に尋ねた。
『矢作様のギフト制限の事は聞いております。今は収納庫には沢山入らないと。村人からこんなに沢山貰ったら、入らないのではないですか?不必要なモノは捨てていっても誰も気にしないと思いますよ。』
なるほど、確かにその通りだ。
しかも、出発前に森に入っては何かを採取していた矢作様の収納庫は既に満杯だろう。さすが村長だな。
そんな村長の心配をよそに、矢作様は柔らかく微笑んで何事もないように答えた。
『村長、色々ご配慮ありがとうございます。でも制限がかかってもだいたい3軒分くらいの家の中身なら出し入れ可能だったので度には充分かなと。
私なりに色々揃えたので、きっと収納庫は旅のお役に立てると思います。』
【私なりに揃えた…】
このセリフに後ほど、同行者全員が青ざめる事になるのはもう少し先の話。
賑やかな出立の後は、しばらくはのんびりした馬車の旅だった。このまましばらくはのんびり旅かと思いきや、予想外のアクシデントが発生したのだ。
馬車の揺れに耐えかねた矢作様とクサナギさんが途中で気分を悪くしたのだ。
『ちょっと止まってください。』
かすれ声の矢作様に止められる事、数回。
とうとう、次の村まで着ける予定が最初の晩から野宿となる羽目になったのだ。
真っ青な顔で、馬車に横たわる矢作様たちに強行軍は無理だったのだ。
森の野営。
数十年前なら、さほど危険でないのだが、今では命懸けだと言える。
まぁ本来なら、だ。
だが今回のメンバーなら、一晩くらい余裕だろう。とは言え準備は万端整える必要がある。
まずは野獣対策。
馬車の周りに野獣の嫌う【臭い草】を撒いて罠を何ヶ所も仕掛ける。元々、防御力の高い馬車の上、曳いている馬は野獣よりも強いため夜襲を受ける確率は低い。
それでも、罠の数は多ければ多い程よい。
旅慣れたルフと私が手分けして設置する間にゴルバ達に下草を刈リ込みなど野営地作りを頼んだ。
腰丈ほどある草の中では、害虫なども怖い。虫除けの煙は、ラッセルの出番だ。
行商人なら誰でも持ってる虫除け草。
見張りは、高尾様が申し出て下さった。
これほどの安心は無い。そのため全員が集中して作業に励んでいたのだ。だから気づかなったのだ。
矢作様の動きに。
?!!
あれは?!!
小さな焚き火を作る用意をした場所には
何やら台所が出来上がっていた。
もちろん、家の台所を外に作ったのだ。
いや、自分でも何を言っているのか分からない。鍛冶師の釜でも作ったのか?
そう聞けば
『竈だ。』
カマド?
それは何だ?
『ほら、台所によくあるじゃないですか?簡易かまどですよ。えっ?その通り。村長の家にもあったじゃないですか?』
いやいやいや。
また、簡易とか使っているが言葉が間違っている。時々クサナギより間違う。
これは鍛冶場。もしくは台所だ!!
だいたい村長の家のあれは、きちんとした家の、しかも村1番の大家のモノだ。
その上、それより立派だとか。
ゴルバとグーナンの目の色が変わったじゃないか。
しかも良い匂いがする。
「先輩!!全粒粉パンですね。昔、会社でご馳走になりましたね。」
『草薙。あれはお前が勝手に俺の弁当から盗ったんだ。まあ、代わりに高級幕の内弁当貰ったけど。
それにこれは木の実入りの全粒粉パンだ。
ゴージャスだろ?』
『フルイ。デモオイヒイ。』
異国語の混じる2人のやり取りを聞きながら配られたパンを齧る。
うまっ。
木の実が甘く煮てあって素朴なパンを生かしてる。
我々も食べなれたパンに近いのに、美味しさは別格だ。
しかもスタミナ全回復付きだった。
精霊様からの差し入れを煮たらしい。
あんなにヘロヘロだったのに、いつの間に。
『センパイ、パケモノ。スゴイE。』
クサナギの言葉を日に日に進化してる。
改めて、あちらの世界の人々の能力スキルは凄まじいと感じる。
収納庫から出てきた、椅子、机は折り畳み式。
そして極めつけの登場だ。
【ドラムカンブロ】
驚きに満ちた1日目の夜は、まだ始まったばかりだった。
*** ある男の呟き ***
別部隊からの合図が消えた。
おかしい。
簡単に感じる依頼だったのに、この森もこの馬鹿げた野営も全てが変だ。
なぜこうなった?
物騒な森で呑気に野営している馬鹿どもだったはずなのに。
キーーン。。
空気が変わった。
俺は身体中の神経を研ぎ澄ましながら、剣に手をかけた。
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