貴方の思い描く、異世界とは違う物語が存在します。格好の良い勇者も魔王もいない世界の物語を綴った本棚にお越しください。

南悠

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俺の生きる意味

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扉は、部屋と隣を隔てる境界だから無闇に開け廻らない事を忠告する。
俺の様にならない事だけを祈る。

俺は、偶々ドライブで見かけた廃屋の扉が、無性に気になり、車を止めて、その扉を開けた。

廃屋は、紅葉で赤く染まる木々に囲まれた林の中に半ば崩れ掛けた様に立っていた。
俺は、何かに惹き付けられる様に、その扉の前に立ち、ノブに手を掛ける。
ギギギギィーと何の抵抗も無く、扉は押されるままに開いた。
そこに目に映る物は、廃屋の部屋でも紅葉の木々でも無く、・・・真っ青な空と風がそよぐ草原。
何かの間違いかと後を振り向くと、紅葉の燃える木々と崩れ掛けた小屋の前に自家用車。

再び、扉の向こう側を睨む。
鳥らしき物が空を滑空して翔んでいる。
草原を風が吹き通る。

俺は魅せられた様に扉の向こう側に足を踏み入れた。
眩しい日の光が、身体いっぱいに降り注ぐ。
そよぐ風が心地良い。・・・不意にバタンと扉の閉まる音に振り返る。
そこには、最早あの扉は無かった。
唯、一面の草原が広がるのみ。
俺は、慌てふためくがこの草原に取り残された事だけが、理解出来た。
後は、運が良かっただけだろう。偶々冒険者に拾われて、町に辿り付き、此処が異世界だと自覚した。
その後は、生きていく為に冒険者となり、心強い仲間を得て、今に至る。

・・・今でも、扉を見ると慎重に開き確認をしている。もしかすると次に会える扉の向こう側に【日本が有るかも知れない】との淡い期待を持ちながら・・・。


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