259 / 316
寂しげな口笛
しおりを挟む
彼は、何時も多くを語る事は無かった。
談笑している仲間の話を静かに聴きながら、少し離れた位置で、微笑みながら聞きいっていた。
だから、ふと気が付いた時は、いつの間にか席を外しており、外で静かに寂しげに口笛を吹きながら、星空を眺めていた。
だが、彼は強く、そして優しかった。
先陣で魔物に挑み、電光石火の如くに聖剣で切り付けて倒し、常に仲間の安全を気に掛けていた。
戦いは、佳境に入ると強靭な魔王軍が襲い掛かって来たが、そんな魔王軍を打ち破り、四天王を倒して魔城に乗り込んで行く姿は、凛々しく頼りがいの有るリーダーとして見詰めていた。
そんな彼が、魔王を倒す為に単身で広間に乗り込んで行く姿が、僕の見た最後の姿だった。
遅れながら、僕達が広間に乗り込んで行くと、其処には斬り付けられ、息絶えた魔王の姿と聖剣が残されているが、彼の姿が見当たらない。
僕達は、彼の痕跡を探し回ったが、彼の姿はおろか、生死を判断する事も叶わなかった。
彼を除いた仲間だけで王に報告をして、僕らの仕事は終わりを告げた。
各々のが、褒賞を受けて、新たな領地もしくは故郷と別れて行く。
僕もひとりで新しい生活を始める事となった。
年月が経て、寒風が窓の外を吹き過ぎていく。
風の音が、あの時の彼の口笛に聴こえる時が有り、僕は咄嗟に窓に駆け寄り、外を眺めるが、ただ寒い雪が舞うのみ。
遥か遠きより語られた、勇者の物語である。
談笑している仲間の話を静かに聴きながら、少し離れた位置で、微笑みながら聞きいっていた。
だから、ふと気が付いた時は、いつの間にか席を外しており、外で静かに寂しげに口笛を吹きながら、星空を眺めていた。
だが、彼は強く、そして優しかった。
先陣で魔物に挑み、電光石火の如くに聖剣で切り付けて倒し、常に仲間の安全を気に掛けていた。
戦いは、佳境に入ると強靭な魔王軍が襲い掛かって来たが、そんな魔王軍を打ち破り、四天王を倒して魔城に乗り込んで行く姿は、凛々しく頼りがいの有るリーダーとして見詰めていた。
そんな彼が、魔王を倒す為に単身で広間に乗り込んで行く姿が、僕の見た最後の姿だった。
遅れながら、僕達が広間に乗り込んで行くと、其処には斬り付けられ、息絶えた魔王の姿と聖剣が残されているが、彼の姿が見当たらない。
僕達は、彼の痕跡を探し回ったが、彼の姿はおろか、生死を判断する事も叶わなかった。
彼を除いた仲間だけで王に報告をして、僕らの仕事は終わりを告げた。
各々のが、褒賞を受けて、新たな領地もしくは故郷と別れて行く。
僕もひとりで新しい生活を始める事となった。
年月が経て、寒風が窓の外を吹き過ぎていく。
風の音が、あの時の彼の口笛に聴こえる時が有り、僕は咄嗟に窓に駆け寄り、外を眺めるが、ただ寒い雪が舞うのみ。
遥か遠きより語られた、勇者の物語である。
0
あなたにおすすめの小説
姉の引き立て役の私は
ぴぴみ
恋愛
アリアには完璧な姉がいる。姉は美人で頭も良くてみんなに好かれてる。
「どうしたら、お姉様のようになれるの?」
「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」
姉は優しい。でもあるとき気づいて─
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)
MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。
しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。
母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。
その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。
純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。
交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる