貴方の思い描く、異世界とは違う物語が存在します。格好の良い勇者も魔王もいない世界の物語を綴った本棚にお越しください。

南悠

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ある王国の出来事

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私は、暗い部屋の中で過去を振り返っていた。

私は、王国の皇太子として父王の補佐をしていた。しかし、王国は魔王軍に攻められており、危急の対応として、勇者を召喚した。

召喚された勇者は、早速に魔王と戦う為に旅立つ事となり、王国は出来る限りの戦力を彼の為に裂く事になった。
2つ下の第二王子は【剣聖】として、
1つ下の第一王女は【聖女】として、
3つ下の第二王女は【大魔道師】としての旅立ちが決まっている。

残念ながら、私は【内政】スキルに長けており、彼らのバックアップとして役に立とうとしていた。

勇者達の活躍は、著しく戦果を上げていき、国民は、彼らの活躍に喜びかつ、期待を膨らませている。
私も、彼らの健康を考えて、各地の領主に保護の伝達を送っていた。

ある日の迄は・・・


あの日は、大勝利に王都が沸き返っていたが、ふと、側近のひとりが呟いた。
「皇太子。魔王討滅の後に貴方様は、どうなるのでしょうか?
弟君や、王女様方は勇者と功績をバックに将来が確定致しますが、貴方様の功績は何一つとして御座いません。・・・。」
その僅かな囁きが、私の心を波立たせ、小さな魔を産み育てていった。

それからの私の心は、勝利の報告を妬み、少なからずの妨害工作をしていたのです。

そして、とうとう【魔王が倒れた】との報告で焦った私は、側近と私兵を中心とした皇太子軍結成し、父王を強迫して、勇者を反乱首謀者と位置付け【追討令】を全国に発したが、国軍と頼みの近衛騎士団は、日和見で我らに与すること無く、僅かに支持を表明した皇太子派の貴族のみが、我らの元に馳せ参じた。

しかし、勇者と共に最前線で戦った軍が、勇者支持を表明すると他の領主軍も勇者支持に傾き、そして、国軍と近衛騎士団は雪崩れ込む様に、相次いで勇者軍へ加わった。

皇太子軍は、私兵と皇太子派の貴族軍のみとなり王都に籠るが、兵たちが次々と逃亡して、もはや王都を保つ力を失い、とうとう壊滅した。

私は、僅かな側近と共に逃亡を計ったが、捕まり裁判に掛けられたが、表向きの発表では、皇太子側近の一部が帝国のスパイだったされ、私は彼らには踊らされたとの理由で罪を減じられて、王籍剥奪の上での幽閉となった。

父王は、元皇太子の反乱を苦にして、王引退を表明するが、勇者を筆頭に剣聖・聖女・大魔道師共に辞退。そして幼き第3王子が王を継ぐ事となった。

私は、自由を失ったが、僅かに聞こえてくる現王国の評判と王国民の明るい声だけが、今の心の支えとなっている。

新しき時代に幸あらんことを、今さらながら、祈る日々である。


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