貴方の思い描く、異世界とは違う物語が存在します。格好の良い勇者も魔王もいない世界の物語を綴った本棚にお越しください。

召喚者の苦悩

男が召喚された。
目が眩むほどに光が立ち込めて目が明けられない。
暫くして、落ち着いた俺は目を静かに開けた。

ぼやけた視線の先に見えたのは、西洋風の石畳。床に刻まれた魔方陣。屈強な鎧を纏う騎士達。深いローブを被った魔法師。

「は、はぁ～ん。これが異世界召喚か。ラノベの通りだな。」少し沸き立つ心持ち。

「さ～て、正面には、王様と美少女の王女かな。」期待が高まる。

「勇者さま。魔王の侵略から国を守って下さい。お願いします。」鈴が転がる様な可愛らしい声に、男の期待が高まる。

「喜んで・・・。」
正面を見た男は絶句した。

正面に恰幅な体型の王様と隣は可愛らしいドレスの王女？

男は絶望した。

召喚された先は、ゴブリンの王国。
きっと、ゴブリンの中では美少女なのだろう・・・きっと？