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第一章
第八話
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バスの中には俺と蔣輝しか乗っていなかった。
このバスはフリーウェイ (高速道路) を通るのだが、いつ乗っても運転が荒い。
フリーウェイに乗っている間は一度も止まらないため、ありえないスピードで走るのだ。
毎度の事ながら身の危険を感じる。
「なあ、これ日本だったら普通に捕まるレベルの運転だよな。」
蔣輝に同意を求めた。
「間違いないね、つり革がこんなに揺れてるの初めて見たよ。」
もはやブランコのように揺れていた。
ダウンタウンに着いた俺たちは、まずRiverfront park (リバーフロントパーク) という公園に向かった。
街への行き方を教えてくれた店員さん一推しの観光スポットだった。
公園の中心には大きな時計塔が立ち、その周りを囲むようにゆったりと川が流れていた。
この公園の周囲だけ時間の流れがズレていると錯覚するほど、静かで平和な空間ができあがっていた。
俺は後に、何かに悩み思い詰めた時は一日中この時計塔の前に座っていたこともあった。そうしていると不思議と心が晴れていった。
この日は土曜日ということもあり、コーヒーを片手に木陰で本を読む人や、ピクニックを楽しむカップルや家族で賑わっていた。
「蔣輝、最高のデートスポット見つけたな。行くとこなかったらとりあえずここで時間稼げるぞ。」
冗談で言ったのだが、後に蔣輝が女の子と二人でベンチに座っているのを見かけたことがある。隅に置けない奴だ。
この日唯一残念だったのは、せっかく見つけた日本食レストランで頼んだ天丼が想像と全く違ったことだ。
天ぷらは衣だけでお腹いっぱいになるほど厚く揚げられ、アボカドが乗っていることに気づいた時には箸が止まってしまった。
うどんは美味しかったらしく、アメリカに来てからあまり元気がなかった蔣輝だが、顔には笑みが戻っていた。
食事はホームシックを解消する方法の一つだと気付いた。食の力はすごい。
来週にはルームメイトも来るだろう。
それに授業が始まれば、これから本当の意味での新生活が始まることになる。
「俺らのフロアは男女混合だし、可愛い子がいっぱい来てくれるといいな。」
そんな話をしながら俺たちは帰路に着いた。
このバスはフリーウェイ (高速道路) を通るのだが、いつ乗っても運転が荒い。
フリーウェイに乗っている間は一度も止まらないため、ありえないスピードで走るのだ。
毎度の事ながら身の危険を感じる。
「なあ、これ日本だったら普通に捕まるレベルの運転だよな。」
蔣輝に同意を求めた。
「間違いないね、つり革がこんなに揺れてるの初めて見たよ。」
もはやブランコのように揺れていた。
ダウンタウンに着いた俺たちは、まずRiverfront park (リバーフロントパーク) という公園に向かった。
街への行き方を教えてくれた店員さん一推しの観光スポットだった。
公園の中心には大きな時計塔が立ち、その周りを囲むようにゆったりと川が流れていた。
この公園の周囲だけ時間の流れがズレていると錯覚するほど、静かで平和な空間ができあがっていた。
俺は後に、何かに悩み思い詰めた時は一日中この時計塔の前に座っていたこともあった。そうしていると不思議と心が晴れていった。
この日は土曜日ということもあり、コーヒーを片手に木陰で本を読む人や、ピクニックを楽しむカップルや家族で賑わっていた。
「蔣輝、最高のデートスポット見つけたな。行くとこなかったらとりあえずここで時間稼げるぞ。」
冗談で言ったのだが、後に蔣輝が女の子と二人でベンチに座っているのを見かけたことがある。隅に置けない奴だ。
この日唯一残念だったのは、せっかく見つけた日本食レストランで頼んだ天丼が想像と全く違ったことだ。
天ぷらは衣だけでお腹いっぱいになるほど厚く揚げられ、アボカドが乗っていることに気づいた時には箸が止まってしまった。
うどんは美味しかったらしく、アメリカに来てからあまり元気がなかった蔣輝だが、顔には笑みが戻っていた。
食事はホームシックを解消する方法の一つだと気付いた。食の力はすごい。
来週にはルームメイトも来るだろう。
それに授業が始まれば、これから本当の意味での新生活が始まることになる。
「俺らのフロアは男女混合だし、可愛い子がいっぱい来てくれるといいな。」
そんな話をしながら俺たちは帰路に着いた。
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