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第三章

第二十話

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(話は第二章、第十八話の友梨との出会い、女子フロアにある自習室での会話に戻る。)

一瞬完全に固まってしまった俺を見て、友梨は不思議そうな顔をしていた。
「あ、えっと、何の話だった?」
俺は完全に動揺していた。
何とか冷静を装おうとしたが、突然生まれた感情に戸惑いを隠せなかった。

「私が友梨本人なのか確認してたよ、本人です。」
友梨はそう言ってまた笑った。屈託のない笑みだった。
(ああ、これはモテるよ、狙ってやってねえもん、もはや才能だよ。Pat、お前の気持ちがよく分かったよ、完全に舐めてたよ、ごめんな。)
俺は心の中で訳の分からないことを呟きながらPatに謝った。もはや正常な思考回路ではなくなっていた。

「良かった!とりあえずまた来るわ!」
俺はそう言ってすぐに自習室を出ようとした。
明らかに挙動不審だが、これ以上この場にいたら何を口走るか分からない。
「また来るの?」
後ろから友梨が可笑しそうに聞いてきたが、聞こえないふりをして逃げるようにドアを開けた。

俺はその足で蔣輝の部屋に向かった。
「おい、早く開けてくれ!」
一刻も早く先程の出来事を蔣輝に報告したかった。
「ドア叩くなよ。」
蔣輝が不機嫌そうにドアを開けた。
「悪い、とりあえず一服さして。」
タバコに火をつけ、Patとの出会い、そして友梨子との出会いを話していくにつれ、少しずつ気持ちが整理されていった。

「それ完全に一目惚れじゃん、おめでとう。」
最後まで黙って聞いていた蔣輝は、そう言って心底楽しそうに笑った。
「まだ惚れたって決まってないだろ。」
俺はまだ自分の感情を素直に認めたくなかった。
「いやいや、典型的な一目惚れだって。仮に好きじゃなかったとしても会いたいって思うんだろ?相手に気持ちが向いてる証拠だよ。」
蔣輝にそう言われ、なるほどと思った。実際明日も友梨に会いに行こうと考えていた。

「でもさ、そのPatって人はどうすんの?気まずくならない?」
「うーん、まあ大丈夫だろ。遅くまでありがとな、結構気持ち整理されたわ。」
俺は蔣輝にお礼を言って部屋を出た。

何故かPatと揉める未来は少しも想像できなかった。あいつは友情か恋か、そんなことで揉めるような男ではない。
俺は自室に戻り、明日のことを考えながら眠りについた。
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