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序章
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「婚約破棄してくださいませ、王子様」
某国の王子アルフレッドは、婚約者の公爵令嬢アレキサンドリアから、突然こんなことを言われた。
「結婚式について話し合いたいことがございますので、ぜひ我が家に来てくださいな」
と上機嫌で誘ってくれたのは、約1週間前のこと。
豪華な応接間の真ん中、2人して猫脚のイスに座って、猫脚のテーブルを挟んで向かい合って座って、これから話し合いを始めようとした矢先の出来事だった。
「なぜだ⁈アレキサンドリア!」
婚約を破棄される心当たりなど微塵もない(と思っている)アルフレッド王子は納得がいかず、アレキサンドリアに詰め寄った。
「自分の胸に手を当てて考えてみてくださいな。心当たりがあるのではなくて?」
「ない!そんなものは決してない!いったい、なぜそんなことを急に言い出したんだ⁈マリッジブルーか⁈他に男でもできたのか⁈」
あからさまに切羽詰まった様子で、アルフレッド王子はまくしたて続ける。
「だそうよ、ジェヌビエーブ。入ってらっしゃい」
あせった様子の婚約者をよそに、アレキサンドリアは観音開きの豪華なドアに向かって声をかけた。
「はい、お嬢さま」
アレキサンドリアに呼びかけられた女──ジェヌビエーブが、ゆっくりと部屋に入ってくる。
同時に、ジェヌビエーブの顔を見たアルフレッド王子は、整った顔を一気に青ざめさせる。
アルフレッド王子のその様子を見て、アレキサンドリアは内心笑っていた。
「彼女のこと、ご存知でございますわね?」
アレキサンドリアの言葉に、アルフレッド王子はぶるっと肩を震わせた。
無理もないことだ。
ジェヌビエーブは現在妊娠4ヶ月。
お腹の子の父親は、他でもないこのアルフレッド王子なのだから。
某国の王子アルフレッドは、婚約者の公爵令嬢アレキサンドリアから、突然こんなことを言われた。
「結婚式について話し合いたいことがございますので、ぜひ我が家に来てくださいな」
と上機嫌で誘ってくれたのは、約1週間前のこと。
豪華な応接間の真ん中、2人して猫脚のイスに座って、猫脚のテーブルを挟んで向かい合って座って、これから話し合いを始めようとした矢先の出来事だった。
「なぜだ⁈アレキサンドリア!」
婚約を破棄される心当たりなど微塵もない(と思っている)アルフレッド王子は納得がいかず、アレキサンドリアに詰め寄った。
「自分の胸に手を当てて考えてみてくださいな。心当たりがあるのではなくて?」
「ない!そんなものは決してない!いったい、なぜそんなことを急に言い出したんだ⁈マリッジブルーか⁈他に男でもできたのか⁈」
あからさまに切羽詰まった様子で、アルフレッド王子はまくしたて続ける。
「だそうよ、ジェヌビエーブ。入ってらっしゃい」
あせった様子の婚約者をよそに、アレキサンドリアは観音開きの豪華なドアに向かって声をかけた。
「はい、お嬢さま」
アレキサンドリアに呼びかけられた女──ジェヌビエーブが、ゆっくりと部屋に入ってくる。
同時に、ジェヌビエーブの顔を見たアルフレッド王子は、整った顔を一気に青ざめさせる。
アルフレッド王子のその様子を見て、アレキサンドリアは内心笑っていた。
「彼女のこと、ご存知でございますわね?」
アレキサンドリアの言葉に、アルフレッド王子はぶるっと肩を震わせた。
無理もないことだ。
ジェヌビエーブは現在妊娠4ヶ月。
お腹の子の父親は、他でもないこのアルフレッド王子なのだから。
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