婚約破棄は綿密に行うもの

若目

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結婚式へ

新郎

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「はじめまして、マクシミリアンさん。わたくし、ジュスティーヌと申します」
ジュスティーヌはドレスの両端をつまんで、深々とお辞儀をした。
「ああ…」
マクシミリアンは眉間にシワを寄せながら、ぶっきらぼうな返事をした。
座っていたときには気づかなかったがこの男、なかなかに背が高くてがっしりしている。
顔だって整ってはいるけれど、強面というのか、どこかいかつい雰囲気を醸し出していて、人によっては「怖い」と煙たがるであろう外見をしている。

──おや、何やら機嫌が悪い?

どうしたことだろう。
ジュリエット嬢と2人仲良く並んで座っていたときは、機嫌良さそうにしていたというのに。
ジュリエット嬢もこれを不思議に感じているらしく、キョトンとした顔でマクシミリアンを見つめている。

「ジュリエットから、君の話はよく聞いているよ。「優秀で頼もしい」とか…「もしジュスティーヌが男だったら結婚していた」とか…」
マクシミリアンの眉間のシワが、より深くなる。

──なるほど、そういうことか!

ここでジュスティーヌはようやく、マクシミリアンの不機嫌の理由がわかった。
「やきもちでございますか、マクシミリアンさん」
ジュスティーヌは、ジュリエット嬢に聞こえないようにマクシミリアンの耳元に唇を近づけて囁いた。
すると、マクシミリアンの肩がビクリと動いた。
図星であったらしかった。

「……ちがう」
マクシミリアンは口では否定するものの、ジュスティーヌは確信していた。
新郎たる彼がやきもちを焼くのも仕方のないことかもしれない。

古くからの知り合いがいる以上、自分はポッと出でしかないし、花嫁がポッと出の自分を放置して、古くからの知り合いと楽しそうにしていても、抗議のしようがない。
そうなってくると嫉妬もひとしおだし、素直に相手を歓迎できないのだろう。


「いやあ、たいへん美しい方でございますね、マクシミリアンさん!お体も大きくていらっしゃるから、こんな方がそばにいてくれれば、さぞかし安心できますでしょう?」
ジュスティーヌは、今度はわざとジュリエット嬢に聞こえるように声を発した。
これには、マクシミリアンも驚いたようだ。
「ええ、もちろん!それに、とっても優しいし、頼りになるのよ!!」
婚約者を褒められたジュリエット嬢が、嬉しそうに笑った。

「はっはっは!結婚式から早々ノロケはよしてくださいよお!いやあ、なんです、マクシミリアンさんも、ジュリエットさんのことお好きでしょう?こんなに可愛らしくてお上品な方はめったにいらっしゃらないんですから!!」
ジュスティーヌが意味深に微笑んでみせると、マクシミリアンはかあっと顔を真っ赤にした。

「ああ…」
マクシミリアンが小さな声で答える。
さっきまでのぶっきらぼうはどこに消えたのか、少し嬉しそうだ。
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