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高速を使って一時間くらい掛けて目的地でもある子供向けの遊園地へとやって来た私たち。
こうして三人で出掛けるのは付き合う前からしていた事だからあまり意識するところは無かったものの、園内に入り、凜が乗りたいというジェットコースターへ向かおうとした時の事、
「亜子さん」
凜を左手で抱き上げていた竜之介くんは空いていた右手を差し出してきた。
「……?」
私がその手の意味に気付けなくて首を傾げていると、
「手、繋ごう? デート、なんだからさ」
言葉にされて、ようやく理解する。
これまではあくまでも隣人であり、知人のような関係だったから見て回る時に手を繋ぐなんて事はしなかったけれど、今は付き合っているのだから、手を繋いでも普通の事なのだと。
「……うん」
だけど、いざ繋ぐとなるとちょっとだけ恥ずかしさを感じてしまう。
おずおずと彼の手を取ると、そんな私の指に自身の指を絡めてギュッと繋がれた。
そんな些細な事に私の胸はキュンと高鳴る。
繋がれた手の温もりが温かい。
速まる鼓動が伝わってしまいそうで、恥ずかしい。
傍から見ると、今の私たちは夫婦であり、家族に見えるのだろうか。
そんな事を考えながら、終始ご機嫌な凜や常に私や凜を気にかけてくれる竜之介くんと共に楽しいひと時を過ごしていく。
遅めのお昼を食べ終えてから少しして、ずっとはしゃいでいた凜は疲れてしまったらしく竜之介くんにおぶられながら眠ってしまった。
「凜も寝ちゃったし、ここから出ようか」
「そうだね。まあ、目を覚ました時に少しぐずりそうな気はするけど、寝ちゃったんじゃ仕方ないもの」
凜が眠ってしまった以上アトラクションに乗る訳にもいかないので、手持ち無沙汰になった私たちは遊園地を後にした。
帰り際、高速に乗ろうと竜之介くんが車を走らせているさなか、突然凜が目を覚ました。
「……ゆーえんちは?」
目を擦りながら自分が今、車の中に居る事に気付いた凜は遊園地はどうしたのかと訊いてくる。
「遊園地はもうお終いだから、今はお家に帰るところだよ」
横に座る私がそう伝えると、
「やだ! ゆーえんちいく! もっとのる!」
案の定、帰るのを嫌がり駄々をこねた。
想定していた事とは言え、機嫌を損ねた凜を宥めるのはひと苦労。
「凜、遊園地はまた今度、行こうね。今日はもうお終いなの」
「やーだ!」
「凜、我儘は言わない約束でしょ?」
「やだ! うわーんっ」
ついには泣き出す凜に、私たちのやり取りを見兼ねた竜之介くんは、
「凜、この近くに大きなショッピングモールがあるぞ。寄ってくか?」
そう声を掛けた。
「なに、それ」
聞き慣れない言葉を耳にした凜はそれに興味を惹かれたのか何なのかを聞き返す。
「買い物したり、遊んだり出来るお店だよ。おもちゃ売ってたり、ゲームセンターもあるぞ? 楽しそうだろ?」
「おもちゃ! げーむ! ぼく、いきたい!」
『おもちゃ』や『ゲーム』という好きな言葉が出てきた事で凜の意識は遊園地からショッピングモールへ移ったようで、そこへ行きたいと言い出した。
私としてはあまり竜之介くんに負担を掛けたくは無かったのだけど、凜の機嫌をこれ以上損ね無い事が第一なのを理解しているし、それに何より、もう少し彼との“デート”を楽しみたい思いからショッピングモール行きには一切口出しをしないで竜之介くんにお任せをした。
こうして三人で出掛けるのは付き合う前からしていた事だからあまり意識するところは無かったものの、園内に入り、凜が乗りたいというジェットコースターへ向かおうとした時の事、
「亜子さん」
凜を左手で抱き上げていた竜之介くんは空いていた右手を差し出してきた。
「……?」
私がその手の意味に気付けなくて首を傾げていると、
「手、繋ごう? デート、なんだからさ」
言葉にされて、ようやく理解する。
これまではあくまでも隣人であり、知人のような関係だったから見て回る時に手を繋ぐなんて事はしなかったけれど、今は付き合っているのだから、手を繋いでも普通の事なのだと。
「……うん」
だけど、いざ繋ぐとなるとちょっとだけ恥ずかしさを感じてしまう。
おずおずと彼の手を取ると、そんな私の指に自身の指を絡めてギュッと繋がれた。
そんな些細な事に私の胸はキュンと高鳴る。
繋がれた手の温もりが温かい。
速まる鼓動が伝わってしまいそうで、恥ずかしい。
傍から見ると、今の私たちは夫婦であり、家族に見えるのだろうか。
そんな事を考えながら、終始ご機嫌な凜や常に私や凜を気にかけてくれる竜之介くんと共に楽しいひと時を過ごしていく。
遅めのお昼を食べ終えてから少しして、ずっとはしゃいでいた凜は疲れてしまったらしく竜之介くんにおぶられながら眠ってしまった。
「凜も寝ちゃったし、ここから出ようか」
「そうだね。まあ、目を覚ました時に少しぐずりそうな気はするけど、寝ちゃったんじゃ仕方ないもの」
凜が眠ってしまった以上アトラクションに乗る訳にもいかないので、手持ち無沙汰になった私たちは遊園地を後にした。
帰り際、高速に乗ろうと竜之介くんが車を走らせているさなか、突然凜が目を覚ました。
「……ゆーえんちは?」
目を擦りながら自分が今、車の中に居る事に気付いた凜は遊園地はどうしたのかと訊いてくる。
「遊園地はもうお終いだから、今はお家に帰るところだよ」
横に座る私がそう伝えると、
「やだ! ゆーえんちいく! もっとのる!」
案の定、帰るのを嫌がり駄々をこねた。
想定していた事とは言え、機嫌を損ねた凜を宥めるのはひと苦労。
「凜、遊園地はまた今度、行こうね。今日はもうお終いなの」
「やーだ!」
「凜、我儘は言わない約束でしょ?」
「やだ! うわーんっ」
ついには泣き出す凜に、私たちのやり取りを見兼ねた竜之介くんは、
「凜、この近くに大きなショッピングモールがあるぞ。寄ってくか?」
そう声を掛けた。
「なに、それ」
聞き慣れない言葉を耳にした凜はそれに興味を惹かれたのか何なのかを聞き返す。
「買い物したり、遊んだり出来るお店だよ。おもちゃ売ってたり、ゲームセンターもあるぞ? 楽しそうだろ?」
「おもちゃ! げーむ! ぼく、いきたい!」
『おもちゃ』や『ゲーム』という好きな言葉が出てきた事で凜の意識は遊園地からショッピングモールへ移ったようで、そこへ行きたいと言い出した。
私としてはあまり竜之介くんに負担を掛けたくは無かったのだけど、凜の機嫌をこれ以上損ね無い事が第一なのを理解しているし、それに何より、もう少し彼との“デート”を楽しみたい思いからショッピングモール行きには一切口出しをしないで竜之介くんにお任せをした。
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