傷心した私が一夜を共にしたのはエリート俺様同期~いつも言い合いばかりだったのに、独占欲強め、嫉妬心剥き出しな程に溺愛してくるのですが?~

夏目萌

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SCENE1

3

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 どこに食べに行こうかと話し合いながら繁華街を歩いていた私たちは、ハンバーグが食べたいと言い出した一之瀬の意見を採用してそこそこ人気の洋食屋さんに入った。

 席に案内され、一之瀬はハンバーグとライスやサラダ、スープ、デザートの付いたセットを、私はオムライス単品を注文して料理が運ばれて来るまでの間、仕事についての話をしていた。

 暫くして、「お待たせ致しました」と言いながら店員さんが料理を運んで来てくれてた。

「美味そうだなぁ」
「ね!  いただきます」

 どちらの料理も凄く美味しそうで、お腹が空いていた私たちはそれぞれ食べ始めた。

「オムライス、美味い?」

 私が半分くらいオムライスを食べ終えた頃、オムライスの味が気になったらしい一之瀬が感想を聞いてくる。

「うん、美味しいよ。卵がふわとろで、凄く好み」
「へぇ~。なあ、一口ちょーだい?」
「え?」
「俺のハンバーグも一口やるからさ、交換って事で!  な?」

 今までご飯を食べに行った事は沢山あるけれど、互いに分け合う時はいつも箸を付ける前の事。

 それなのに、今日はお互いに半分くらい食べ終えたタイミングでそんな事を言ってくるから何だか少し戸惑ってしまう。

(……いや、別に気にし過ぎ……だよね?  分け合うなんて、よくやるもんね……)

 いつもとタイミングが違うだけで、分け合うなんて普通の事。

 そう心に言い聞かせながら、食べ掛けとは反対側の方をスプーンで掬って一之瀬のライスのお皿に乗せようとしていると、

「そのまま食べさせてよ」

 ほんの少し口角を上げた彼はそう口にすると、そのまま口を開いて待っている。

「なっ……」

 これには流石に予想外過ぎて一瞬手が止まる。

(いやいやいや、一之瀬って、こういうキャラ?  え?)

 食べさせてなんて、これまでの彼氏にも言われた事が無かった私はどうすればいいのか分からなくなっていたけれど、「ほら、早く」という一之瀬の催促に我に返った私は周りの視線が気になりつつも、持っていたスプーンを彼の口へと運び、オムライスを一口食べさせてあげた。

「本当だ、美味い」

 なんて言いながら無邪気な笑顔を向けてくるもんだから、思わずドキッとしてしまう。

 そして、

「ほら、ハンバーグも美味いよ」

 今度は一之瀬が自身が頼んだハンバーグを端から一口分切り分けると、そのままそれを私に近付けてくる。

(ほらって……食べさせてくれる……つもり?  は、恥ずかしい……)

 彼の意図が分かった私は断りたい気持ちがあるものの、それに一之瀬が素直に頷くとは到底思えなくて、

「あ、ありがとう……いただきます……」

 どんな顔をすればいいのか分からない私は目を閉じて口を開きながら一之瀬が差し出したハンバーグを食べると、すぐに体勢を立て直しながら目を開いて少し俯き加減のまま「うん、美味しいね……」とだけ答えるのが精一杯だった。

「だろ?  いいな、この店。今度は他のも食ってみたいから、また来ような」

 一之瀬はこの店がだいぶ気に入ったようで「また来よう」と次も一緒に来る約束を取り付けてくる。

(本当に……何か、調子狂う……)

 今までだって、こうして次の約束をする事は多々あった。

 いつもと変わりないはずなのに、やっぱり一之瀬はどこか違う。

(強引なのは変わらないけど、普段はもっとこう偉そうなとことかあったけど、それが無いっていうか……優しい……?)

 それは告白された事で私が変に意識しているからいつもと違って見えてしまうのか、それとも、本当に一之瀬が優しくなっているのか……よく分からないまま夕食を食べ終えた私たちは店を後にした。

 そして、駅に着いて共に同じ方向に住む私たちは同じ電車に乗り、一之瀬が降りる駅に着いたのだけど、

「あれ?  一之瀬、降りないの?」

 何故か椅子に座ったまま、降りようとしないので不思議に思って問い掛けると、

「送るから、俺も次で降りる」

 その言葉と共に電車の扉が閉まり、再び動き出す。

「そんな……わざわざいいのに……」

 いつもは送るなんてしてくれた事無かったのに、一体何故?  と思いつつも内心嬉しいと思う自分がいたりして、

「……あの、ありがとう……」

 初めての事に戸惑いつつも厚意を素直に受けた私は、ドキドキと鼓動がうるさく音を立てている中、この音が一之瀬に聞こえてしまわないかと気にしながら電車に揺られていた。
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