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体で覚えてもらうから…
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※さくちゃんとかっきーが付き合い始めてからのショートストーリーです。
※付き合い始めるまでの物語は『さくらと遥香』46時間TV編をお読み下さい。
遥香「うぅ~…自分で自分の動画を見るのは恥ずかしいなぁ…」
さくら「えー?ちょっとだけだから、ね?私、すっごく嬉しかったんだもん!」
今夜も、かっきーが私の部屋へ泊まりに来てくれている。
お風呂から上がった私たちは、ベッドで横に並んで座っていた。
私が持っているタブレットで"とある動画"を一緒に見るためだ。
その動画は、私たちの同期の美緒ちゃんがゲストを招いてトークするTwitter上の企画に、かっきーが呼ばれた時のもの。
私たちメンバーは個人でTwitterアカウントを持つことは禁止されているけど、いわゆる『見る専』のアカウントは与えられている。
それでTwitterをチェックしていた時に見つけた動画だった。
かっきーは美緒ちゃんと対決する形で、メンバーの声だけを聞いて誰なのかを当てるクイズに挑戦していた。
私がすごく嬉しかったのは、私の声が出題された時のこと。
かっきーが、みごと私の声を聞き当てて正解してくれたのだ。
私の声は「もぉ~」というだけの、ほんの短い一言だったのに。
そのシーンを2人で見終えたところで、喜びの声をかっきーに直接伝える。
さくら「かっきー、よく私の声だって分かったね!美緒ちゃんだって分からなかったのに…」
美緒ちゃんは、私のことを推しメンだと公言し続けてくれている同期の子だ。
『さくちゃーん❤️』と言いながら笑顔で近付いてきてくれる姿は冠番組の収録で大いに盛り上がったし、ファンの皆さんの間でも有名だと思う。
その美緒ちゃんですら聞き分けられなかった私の声。
それを、かっきーは聞いた瞬間に分かっていたように見えた。
遥香「うん、なんたって、さくちゃんの声はいちばん聞いてる自信あるからね!それに、さくちゃんよく私に向かって『もぉ~』って言うし…」
さくら「え~?そんなに言ってるかなぁ…?」
遥香「ふふふ、結構言ってるかも。それに、さ…」
さくら「ん…?それに…?」
遥香「なんていうか…ほら、さくちゃんは私の、彼女…だし…やっぱり、大好きな彼女の声は自分で当てたい、じゃん…?だから、ピーンとひらめいたのかな……えへへ…」
照れながらも、とんでもないことを言ってくれるかっきー。
他のメンバーが聞いたら、かっきーの新たな「イケメン」エピソードの一つにカウントされるだろう。
そういう私も、かっきーの言ってくれた言葉がすごく嬉しくて…すごく恥ずかしい…
さくら「……そんなの言われたら照れちゃうじゃん…でも、彼女って…そっか、私、かっきーの彼女、かぁ…」
遥香「え~?さくちゃん自覚なかったの~?」
さくら「ううん、付き合ってる自覚はもちろんあったけど。彼女、なんだなぁって。かっきーも、私の彼女なんだなぁ、って」
遥香「そうだね。どっちも彼女になっちゃうんだよね、女の子同士のカップルって…」
さくら「うん。なんか不思議な感じだけど……私は、すっごく嬉しいよ?かっきーが彼女なんて、いまだに夢みたい…」
遥香「それはこっちが言いたいよ~。さくちゃんと付き合ってるなんて、幸せ過ぎてたまに怖くなる…」
さくら「もぉ~、幸せなのになんで怖くなるの~?かっきー、変なの(笑)」
遥香「えへへ…あっ、そういえばさくちゃん今また『もぉ~』って言ったよ?」
さくら「えっ?あっ…!ほんとだ…たしかに、結構言ってるかもね…ふふっ…」
そうして私たちは、体を寄せ合って笑い合った。
(ほんとに、夢みたいだよ…?大好きなかっきーがいてくれて、笑顔になってくれて…)
かっきーの笑顔を眺めながら、幸せを噛みしめていると…
遥香「ねえ、さくちゃん……さくちゃんも、私の声なら当てられそう?」
さくら「えー…?あんなに短い一言だけで分かるかなぁ……かっきーの声なら当てたいけど、自信ないよ~…」
付き合い始めてから、かっきーの声をいちばん聴いてるのは私だという自信はある。
それでも、あの一言でかっきーの声だと聞き当てるのは相当難しいだろう。
適当に答えるわけにもいかず、私は正直に自信がないと答えた。
遥香「そっかぁ~……じゃあ、覚えてもらえるように、私の声をもっと聞いてもらおうかなぁ~…」
(………この声の感じは……なんか…いやな予感が……)
かっきーが何か企んでいる時の声だ…
がしっ…!
気付いた時には遅かった。
私の右隣に座っていたかっきーの左腕が私の左肩に回されて、がっしりと固定された。
さくら「ひゃっ…?!…か、かっきー…?」
驚いて右を向こうとしたけど、かっきーの顔が近くにあり過ぎて恥ずかしさで直視できなかった。
咄嗟に正面に向き直すと、私の右耳にかっきーの唇が近付いてきた。
吐息まで感じられる距離から、かっきーがいつもより低く落ち着いた声で囁く。
遥香「これくらい近くで聞けば……覚えられそう…?」
さくら「えっ…ちょっ、と…そんな、かっきー…近すぎっ…」
上半身をひねって距離を取ろうとしても、肩を固定しているかっきーの腕が許してくれない。
おまけに、右手は私のアゴのあたりにそっと添えられている。
遥香「だーめ……♥️私の声、もっと聞いて、体で覚えてもらうから…」
さくら「かっ、きー……もぉ~……いじわる……あぁっ…♥️」
それから私は、かっきーに吐息混じりの愛の言葉や甘いセリフを囁かれ続けて…
耳どころか、全身がとろけてしまいそうだった。
~おしまい~
※付き合い始めるまでの物語は『さくらと遥香』46時間TV編をお読み下さい。
遥香「うぅ~…自分で自分の動画を見るのは恥ずかしいなぁ…」
さくら「えー?ちょっとだけだから、ね?私、すっごく嬉しかったんだもん!」
今夜も、かっきーが私の部屋へ泊まりに来てくれている。
お風呂から上がった私たちは、ベッドで横に並んで座っていた。
私が持っているタブレットで"とある動画"を一緒に見るためだ。
その動画は、私たちの同期の美緒ちゃんがゲストを招いてトークするTwitter上の企画に、かっきーが呼ばれた時のもの。
私たちメンバーは個人でTwitterアカウントを持つことは禁止されているけど、いわゆる『見る専』のアカウントは与えられている。
それでTwitterをチェックしていた時に見つけた動画だった。
かっきーは美緒ちゃんと対決する形で、メンバーの声だけを聞いて誰なのかを当てるクイズに挑戦していた。
私がすごく嬉しかったのは、私の声が出題された時のこと。
かっきーが、みごと私の声を聞き当てて正解してくれたのだ。
私の声は「もぉ~」というだけの、ほんの短い一言だったのに。
そのシーンを2人で見終えたところで、喜びの声をかっきーに直接伝える。
さくら「かっきー、よく私の声だって分かったね!美緒ちゃんだって分からなかったのに…」
美緒ちゃんは、私のことを推しメンだと公言し続けてくれている同期の子だ。
『さくちゃーん❤️』と言いながら笑顔で近付いてきてくれる姿は冠番組の収録で大いに盛り上がったし、ファンの皆さんの間でも有名だと思う。
その美緒ちゃんですら聞き分けられなかった私の声。
それを、かっきーは聞いた瞬間に分かっていたように見えた。
遥香「うん、なんたって、さくちゃんの声はいちばん聞いてる自信あるからね!それに、さくちゃんよく私に向かって『もぉ~』って言うし…」
さくら「え~?そんなに言ってるかなぁ…?」
遥香「ふふふ、結構言ってるかも。それに、さ…」
さくら「ん…?それに…?」
遥香「なんていうか…ほら、さくちゃんは私の、彼女…だし…やっぱり、大好きな彼女の声は自分で当てたい、じゃん…?だから、ピーンとひらめいたのかな……えへへ…」
照れながらも、とんでもないことを言ってくれるかっきー。
他のメンバーが聞いたら、かっきーの新たな「イケメン」エピソードの一つにカウントされるだろう。
そういう私も、かっきーの言ってくれた言葉がすごく嬉しくて…すごく恥ずかしい…
さくら「……そんなの言われたら照れちゃうじゃん…でも、彼女って…そっか、私、かっきーの彼女、かぁ…」
遥香「え~?さくちゃん自覚なかったの~?」
さくら「ううん、付き合ってる自覚はもちろんあったけど。彼女、なんだなぁって。かっきーも、私の彼女なんだなぁ、って」
遥香「そうだね。どっちも彼女になっちゃうんだよね、女の子同士のカップルって…」
さくら「うん。なんか不思議な感じだけど……私は、すっごく嬉しいよ?かっきーが彼女なんて、いまだに夢みたい…」
遥香「それはこっちが言いたいよ~。さくちゃんと付き合ってるなんて、幸せ過ぎてたまに怖くなる…」
さくら「もぉ~、幸せなのになんで怖くなるの~?かっきー、変なの(笑)」
遥香「えへへ…あっ、そういえばさくちゃん今また『もぉ~』って言ったよ?」
さくら「えっ?あっ…!ほんとだ…たしかに、結構言ってるかもね…ふふっ…」
そうして私たちは、体を寄せ合って笑い合った。
(ほんとに、夢みたいだよ…?大好きなかっきーがいてくれて、笑顔になってくれて…)
かっきーの笑顔を眺めながら、幸せを噛みしめていると…
遥香「ねえ、さくちゃん……さくちゃんも、私の声なら当てられそう?」
さくら「えー…?あんなに短い一言だけで分かるかなぁ……かっきーの声なら当てたいけど、自信ないよ~…」
付き合い始めてから、かっきーの声をいちばん聴いてるのは私だという自信はある。
それでも、あの一言でかっきーの声だと聞き当てるのは相当難しいだろう。
適当に答えるわけにもいかず、私は正直に自信がないと答えた。
遥香「そっかぁ~……じゃあ、覚えてもらえるように、私の声をもっと聞いてもらおうかなぁ~…」
(………この声の感じは……なんか…いやな予感が……)
かっきーが何か企んでいる時の声だ…
がしっ…!
気付いた時には遅かった。
私の右隣に座っていたかっきーの左腕が私の左肩に回されて、がっしりと固定された。
さくら「ひゃっ…?!…か、かっきー…?」
驚いて右を向こうとしたけど、かっきーの顔が近くにあり過ぎて恥ずかしさで直視できなかった。
咄嗟に正面に向き直すと、私の右耳にかっきーの唇が近付いてきた。
吐息まで感じられる距離から、かっきーがいつもより低く落ち着いた声で囁く。
遥香「これくらい近くで聞けば……覚えられそう…?」
さくら「えっ…ちょっ、と…そんな、かっきー…近すぎっ…」
上半身をひねって距離を取ろうとしても、肩を固定しているかっきーの腕が許してくれない。
おまけに、右手は私のアゴのあたりにそっと添えられている。
遥香「だーめ……♥️私の声、もっと聞いて、体で覚えてもらうから…」
さくら「かっ、きー……もぉ~……いじわる……あぁっ…♥️」
それから私は、かっきーに吐息混じりの愛の言葉や甘いセリフを囁かれ続けて…
耳どころか、全身がとろけてしまいそうだった。
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