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さくら1st写真集 編
さくら1st写真集編 5〜作戦〜
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見せてもらった動画は、マネージャーさんが言っていた通り途中までしか撮れていないものだった。
ただ、私にはハッキリと分かったことがある。
この間、かっきーが申し訳なさを感じて電話をくれた理由。
(これじゃ、かっきーが責任を感じちゃうのもしょうがないか……誰もかっきーを責めたりしないだろうけど)
もしも逆の立場だったら、私も同じように申し訳なく感じるだろう。周りのスタッフさんはフォローしてくれるだろうけど、それでもミスしてしまった記憶は拭い切れないと思う。
(このままで、いいのかな…?)
何年か後に、かっきーが私の写真集を読んでくれた時。
この日を思い出して、申し訳なくなっちゃうのかな…
自分のせいで撮影が中止しちゃったって、感じちゃうのかな…
だとしたら…
(このままで、いいわけない…!)
写真集発売をいちばん喜んでくれたのは、かっきーだから。
かっきーにとって、この写真集が良い思い出になってほしい。私のワガママだとしても、それだけは譲れなかった。
でも、一体どうすればいいのか分からない。
過ぎたことはどうやったって変えられない。
世間には公開されないとはいえ、いま私が見た映像の中で起きた出来事は事実だから。
時間を巻き戻しでもしない限り、その事実は消せない。
(……映像……時間……巻き戻す……?……そういえば…)
不思議と、頭の中に浮かんだいくつかの単語が1本の線でつながりそうな感覚があった。
直感的に、タブレットのタイムバーを指でゆっくりなぞり、コマ送りで映像を巻き戻していく。
(そう…ここだ…このシーン……)
普通、こういう動画では写真集の中身が映らないように気を付けながら読むものだ。
でも、かっきーもこの時だけはそんな余裕がなかったんだろう。写真集を汚さないよう高く掲げるときに、中身がしっかり映っていた。公開する予定もない動画だから、編集で隠されてもいない。
(このページで、かっきーはいちばんドキドキしてくれた…ってことだよね…?)
その瞬間、私はある"作戦"を思い付いた。
(そうだ…起きた出来事を消せないんなら…もっと、もっと強く印象に残る出来事を…)
~~~~~~~~~
さくら「あのっ…!」
マネ「うわっ?!さくちゃん、どうしたの?!」
動画を見終わった私は、マネージャーさんがいる部屋へノックもせずに入っていった。勢いよくドアを開け過ぎたせいで驚かせてしまったらしい。
さくら「あっ、すみません……あの、動画、見終わったので。これ、ありがとうございました」
マネ「あっ、そうだったね。びっくりしたでしょ?かっきーね、あのあと本当に申し訳なさそうにしてたの。さくちゃんの写真集の魅力を広めたい気持ちは、誰よりも強いのかも。ほんと、良い相棒だね」
さくら「はい。本当に、大好きで、最高の……その…パートナーです!」
彼女や恋人と言うわけにはいかず、咄嗟に出たパートナーって言葉だったけど。口に出してみたら意外としっくり来た。
マネ「ふふ、パートナーか。そうだね」
そうだ。パートナーだからこそ、私がかっきーに何か出来るなら、なんでもしたい。
ここから、私の"作戦"が動き出した。
さくら「あの、それで、写真集で着たあの衣装なんですけど…」
~続く~
ただ、私にはハッキリと分かったことがある。
この間、かっきーが申し訳なさを感じて電話をくれた理由。
(これじゃ、かっきーが責任を感じちゃうのもしょうがないか……誰もかっきーを責めたりしないだろうけど)
もしも逆の立場だったら、私も同じように申し訳なく感じるだろう。周りのスタッフさんはフォローしてくれるだろうけど、それでもミスしてしまった記憶は拭い切れないと思う。
(このままで、いいのかな…?)
何年か後に、かっきーが私の写真集を読んでくれた時。
この日を思い出して、申し訳なくなっちゃうのかな…
自分のせいで撮影が中止しちゃったって、感じちゃうのかな…
だとしたら…
(このままで、いいわけない…!)
写真集発売をいちばん喜んでくれたのは、かっきーだから。
かっきーにとって、この写真集が良い思い出になってほしい。私のワガママだとしても、それだけは譲れなかった。
でも、一体どうすればいいのか分からない。
過ぎたことはどうやったって変えられない。
世間には公開されないとはいえ、いま私が見た映像の中で起きた出来事は事実だから。
時間を巻き戻しでもしない限り、その事実は消せない。
(……映像……時間……巻き戻す……?……そういえば…)
不思議と、頭の中に浮かんだいくつかの単語が1本の線でつながりそうな感覚があった。
直感的に、タブレットのタイムバーを指でゆっくりなぞり、コマ送りで映像を巻き戻していく。
(そう…ここだ…このシーン……)
普通、こういう動画では写真集の中身が映らないように気を付けながら読むものだ。
でも、かっきーもこの時だけはそんな余裕がなかったんだろう。写真集を汚さないよう高く掲げるときに、中身がしっかり映っていた。公開する予定もない動画だから、編集で隠されてもいない。
(このページで、かっきーはいちばんドキドキしてくれた…ってことだよね…?)
その瞬間、私はある"作戦"を思い付いた。
(そうだ…起きた出来事を消せないんなら…もっと、もっと強く印象に残る出来事を…)
~~~~~~~~~
さくら「あのっ…!」
マネ「うわっ?!さくちゃん、どうしたの?!」
動画を見終わった私は、マネージャーさんがいる部屋へノックもせずに入っていった。勢いよくドアを開け過ぎたせいで驚かせてしまったらしい。
さくら「あっ、すみません……あの、動画、見終わったので。これ、ありがとうございました」
マネ「あっ、そうだったね。びっくりしたでしょ?かっきーね、あのあと本当に申し訳なさそうにしてたの。さくちゃんの写真集の魅力を広めたい気持ちは、誰よりも強いのかも。ほんと、良い相棒だね」
さくら「はい。本当に、大好きで、最高の……その…パートナーです!」
彼女や恋人と言うわけにはいかず、咄嗟に出たパートナーって言葉だったけど。口に出してみたら意外としっくり来た。
マネ「ふふ、パートナーか。そうだね」
そうだ。パートナーだからこそ、私がかっきーに何か出来るなら、なんでもしたい。
ここから、私の"作戦"が動き出した。
さくら「あの、それで、写真集で着たあの衣装なんですけど…」
~続く~
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