10 / 70
やり直し
覚悟 2
しおりを挟む
なんとも妙な心地だった。あの時あれほどの怒りに身体を支配されていたというのに、今のおれの中には恨みつらみは微塵もなかった。しかしなくてよかったとも思う。もし今もそんな感情を持っていたとしたら、今すぐにでもきっと復讐に走っただろう。いまだ何も知らない子供相手に。
政府の決めた正義に従う軍人たちを、どこかで機械のような傀儡のような、情も涙も持たぬようなものだと思っていた。しかしこうして、未来の敵の養父を知り、途端に大将フスティシア・マルト―は人間味を帯び始めた。最期のあのときだけ、上からの命令に背き、メンテに話をさせたあの男は、人間だったのだ。だから、どうだと言うわけでもないけど。
前回一度たりとも顔を合わせたことのなかった、ラルジュ・マルト―は、初代革命軍総長アンタス・フュゼ率いる革命軍との戦い、大火炎の戦いで命を落とす。おれとメンテはまだ若かったため、戦いに参加することは許されなかった。大火炎の戦いは、王国軍、革命軍共に戦力の全てを注ぎ込み、結果双方主戦力を失った。王国軍は弱体化し国内の治安は悪くなり、革命軍は壊滅状態で解散してしまった。
以前の恩人である初代総長アンタス・フュゼ、彼もまたあと十年もしないうちに大火炎の戦いの中死ぬ。かつて力なく、救うどころか戦いにすら参加できなかったことに歯噛みし、崩壊し散り散りになる仲間たちの背中を、苦虫を噛み潰してただ見送った。力さえあれば、と思いながら。
だが今回、おれはかつての恩人を助けるために奔走しようとは思えない。
今から18年後のアサンシオン広場でメンテ・エスペランサの処刑は行われるだろう。例えおれが側にいなくとも、メンテは革命軍を再興し、二代目総長の席に収まる。あいつにはそれだけの器があった。
なぜあのとき、革命軍の長たるメンテが王国軍に拘束されたのかを、おれは知らない。
なぜ仲間に何一つ言葉を残さず、一人敵地に乗り込んだのかを。
しかし王国軍に在籍することで、その理由を知ることができるかもしれない。だが実のところ、理由なんてどうでもよかった。
おれにとって大切なのは、処刑のまさにその瞬間だけだ。
処刑の日まで、アルマ・ベルネットはメタンプシコーズ王国軍の軍人であり続ける。かつて肩を並べ戦った同士たちと戦うこともあるだろう。かつての仲間を手にかけることもあるかもしれない。だがそれ以上におれは、他の何を犠牲にしてでもあの日届かなかった手を、もう一度伸ばす。メンテに触れるために、あいつを救うために、その時をまるで飼いならされた忠実な犬のように、静かに待つのだ。噛みつく牙も引き裂く爪も、その本懐も暖めるように大事に隠して。
すこしでも気が逸れれば、より多くを望んでしまえば、本当に欲しいものはいとも簡単に手から逃れてしまうのだ。
一際大きな扉の前で、少し前を歩いていたカルムクールが足を止めた。
「ここが、執務室?」
「ああ……。その、アルマ。」
少佐はその扉に手を掛けることなく、先程の中将と同じようにおれの前にしゃがみ込んだ。目線を合わせるような体勢だというのに、その琥珀の目とおれの目は交わらない。もごもごと何やら言い辛そうに口を動かすカルムクールに探るような視線を送るとそれに気が付いたようで誤魔化すように口の端だけで下手くそに笑った。
「何……?」
「連れてきておいて、おれが言うことじゃないっていうのはわかってるんだが、アルマ、本当に軍人になっても良いのか?」
「……どういうことだ?」
説明し辛そうに片手でガシガシと頭を掻く。相変わらずカルムクールの視線はあっちへこっちへ落ち着かないとかバツが悪いとかいうように泳いでいた。
「おれが軍人になるのは、だめなのか?大尉も、嫌がってた。」
「いや、そうじゃないんだ。ラパンはまあ、あれだ、子供慣れしてないだけでお前だからってわけじゃないぞ。……ただ今からここに入って、総統から許可が下りればもうお前は正式に軍に身を置くことが決まる。他の子供みたいに遊んだりできる時間は短いし、アルマにとって大変なこともあるかもしれない。」
ようやく合わされた目は微かに罪悪感に揺れていた。だがそれからは純粋に幼子を心配しているのが伝わる。中身が一応大人だということに関して後ろめたさや申し訳なさを感じるほどおれは殊勝ではない。ただ目の前の軍人は随分と真面目な大人だというのはわかった。
「軍人になったら戦わなきゃならない。危険な目にあうことも多い。……最悪任務で死ぬかもしれない。……今ならここまでの話をなかったことにして安全なとこに連れていける。アルマは本当に、軍人になってもいいのか。」
じっと真っ直ぐと訴えるように向けられる目から、おれは逸らせなかった。似ていないはずなのに、この男はどこか似ているように思えてしまう。重ねてしまうことに苛立ちを感じるはずなのに、それを打ち消すようにその眼に惹かれてしまう。
あの琥珀は、いけない。
「良い。もう決めた。」
「……そうか、アルマが良いならいいんだ。」
少し困った風に笑っておれの頭を撫でた。遠慮がちなその手付きに困惑する。どうでも良いはずなのに、脳裏にはあいつが過ってしまい、なぜそんな顔をするのかと思わずにはいられなくする。
立ち上がり次こそ扉を開けようとするカルムクールをグイ、と引っ張る。頭では違うとわかっているのに、その瞳の底に憂いの色を残したままにするのが、何でか嫌だった。よろめく男を気にすることなくデルフト・ブルーのコートにしがみ付く。
「アルマ……?」
「……あんたは何も気にしなくていい。」
見上げた先の双眸が丸くなる。
「おれは死なない。絶対に。」
絶対に死なない、絶対に死ねない。少なくともメンテを助けるその日まで。
言う必要などないのにわずかに零した言葉は、目の前のカルムクールに対するものだったのか、瞳の奥のずっと奥、透かすように見えるメンテに対するものだったのか俺自身にもわからなかった。
「……そうか、死なないか。」
コートにしがみ付く手をやんわりと上から大きな手で包み、支部で見たときのようにカルムクールは快活に笑って見せた。それこそ自身の組織のトップの執務室前と言うこともあり、笑い声は控えめだが憂いや罪悪感など吹き飛ばすような笑顔だった。ただ男が思い切り笑うとき目元に皺が寄ることに気づいて、やはり別人なのだと、現実に引き戻されるような感覚を味わった。あの琥珀を抉り取ればあいつになるのかと一瞬そんな考えが浮かぶがそんなはずもない。
今あいつは生きているのだから。
「じゃあ行くぞ。覚悟は良いな?」
「……ああ。」
革命軍のアルマ・ベルネットは、王国軍のアルマ・ベルネットになる。
なぜ死んだはずの自分がこうして生きて、やり直しているのかわからない。だがそんなことはいくら考えてもわかるはずもない。人智を超えた力などといえば胡散臭いが、その表現以外ふさわしい言葉をおれは知らない。どんな理由であろうと、零れ落ちた水を再び盆に返す機会が与えられた。ならば後悔を雪ごう。
すべては18年後あの日をもう一度やり直すために。
政府の決めた正義に従う軍人たちを、どこかで機械のような傀儡のような、情も涙も持たぬようなものだと思っていた。しかしこうして、未来の敵の養父を知り、途端に大将フスティシア・マルト―は人間味を帯び始めた。最期のあのときだけ、上からの命令に背き、メンテに話をさせたあの男は、人間だったのだ。だから、どうだと言うわけでもないけど。
前回一度たりとも顔を合わせたことのなかった、ラルジュ・マルト―は、初代革命軍総長アンタス・フュゼ率いる革命軍との戦い、大火炎の戦いで命を落とす。おれとメンテはまだ若かったため、戦いに参加することは許されなかった。大火炎の戦いは、王国軍、革命軍共に戦力の全てを注ぎ込み、結果双方主戦力を失った。王国軍は弱体化し国内の治安は悪くなり、革命軍は壊滅状態で解散してしまった。
以前の恩人である初代総長アンタス・フュゼ、彼もまたあと十年もしないうちに大火炎の戦いの中死ぬ。かつて力なく、救うどころか戦いにすら参加できなかったことに歯噛みし、崩壊し散り散りになる仲間たちの背中を、苦虫を噛み潰してただ見送った。力さえあれば、と思いながら。
だが今回、おれはかつての恩人を助けるために奔走しようとは思えない。
今から18年後のアサンシオン広場でメンテ・エスペランサの処刑は行われるだろう。例えおれが側にいなくとも、メンテは革命軍を再興し、二代目総長の席に収まる。あいつにはそれだけの器があった。
なぜあのとき、革命軍の長たるメンテが王国軍に拘束されたのかを、おれは知らない。
なぜ仲間に何一つ言葉を残さず、一人敵地に乗り込んだのかを。
しかし王国軍に在籍することで、その理由を知ることができるかもしれない。だが実のところ、理由なんてどうでもよかった。
おれにとって大切なのは、処刑のまさにその瞬間だけだ。
処刑の日まで、アルマ・ベルネットはメタンプシコーズ王国軍の軍人であり続ける。かつて肩を並べ戦った同士たちと戦うこともあるだろう。かつての仲間を手にかけることもあるかもしれない。だがそれ以上におれは、他の何を犠牲にしてでもあの日届かなかった手を、もう一度伸ばす。メンテに触れるために、あいつを救うために、その時をまるで飼いならされた忠実な犬のように、静かに待つのだ。噛みつく牙も引き裂く爪も、その本懐も暖めるように大事に隠して。
すこしでも気が逸れれば、より多くを望んでしまえば、本当に欲しいものはいとも簡単に手から逃れてしまうのだ。
一際大きな扉の前で、少し前を歩いていたカルムクールが足を止めた。
「ここが、執務室?」
「ああ……。その、アルマ。」
少佐はその扉に手を掛けることなく、先程の中将と同じようにおれの前にしゃがみ込んだ。目線を合わせるような体勢だというのに、その琥珀の目とおれの目は交わらない。もごもごと何やら言い辛そうに口を動かすカルムクールに探るような視線を送るとそれに気が付いたようで誤魔化すように口の端だけで下手くそに笑った。
「何……?」
「連れてきておいて、おれが言うことじゃないっていうのはわかってるんだが、アルマ、本当に軍人になっても良いのか?」
「……どういうことだ?」
説明し辛そうに片手でガシガシと頭を掻く。相変わらずカルムクールの視線はあっちへこっちへ落ち着かないとかバツが悪いとかいうように泳いでいた。
「おれが軍人になるのは、だめなのか?大尉も、嫌がってた。」
「いや、そうじゃないんだ。ラパンはまあ、あれだ、子供慣れしてないだけでお前だからってわけじゃないぞ。……ただ今からここに入って、総統から許可が下りればもうお前は正式に軍に身を置くことが決まる。他の子供みたいに遊んだりできる時間は短いし、アルマにとって大変なこともあるかもしれない。」
ようやく合わされた目は微かに罪悪感に揺れていた。だがそれからは純粋に幼子を心配しているのが伝わる。中身が一応大人だということに関して後ろめたさや申し訳なさを感じるほどおれは殊勝ではない。ただ目の前の軍人は随分と真面目な大人だというのはわかった。
「軍人になったら戦わなきゃならない。危険な目にあうことも多い。……最悪任務で死ぬかもしれない。……今ならここまでの話をなかったことにして安全なとこに連れていける。アルマは本当に、軍人になってもいいのか。」
じっと真っ直ぐと訴えるように向けられる目から、おれは逸らせなかった。似ていないはずなのに、この男はどこか似ているように思えてしまう。重ねてしまうことに苛立ちを感じるはずなのに、それを打ち消すようにその眼に惹かれてしまう。
あの琥珀は、いけない。
「良い。もう決めた。」
「……そうか、アルマが良いならいいんだ。」
少し困った風に笑っておれの頭を撫でた。遠慮がちなその手付きに困惑する。どうでも良いはずなのに、脳裏にはあいつが過ってしまい、なぜそんな顔をするのかと思わずにはいられなくする。
立ち上がり次こそ扉を開けようとするカルムクールをグイ、と引っ張る。頭では違うとわかっているのに、その瞳の底に憂いの色を残したままにするのが、何でか嫌だった。よろめく男を気にすることなくデルフト・ブルーのコートにしがみ付く。
「アルマ……?」
「……あんたは何も気にしなくていい。」
見上げた先の双眸が丸くなる。
「おれは死なない。絶対に。」
絶対に死なない、絶対に死ねない。少なくともメンテを助けるその日まで。
言う必要などないのにわずかに零した言葉は、目の前のカルムクールに対するものだったのか、瞳の奥のずっと奥、透かすように見えるメンテに対するものだったのか俺自身にもわからなかった。
「……そうか、死なないか。」
コートにしがみ付く手をやんわりと上から大きな手で包み、支部で見たときのようにカルムクールは快活に笑って見せた。それこそ自身の組織のトップの執務室前と言うこともあり、笑い声は控えめだが憂いや罪悪感など吹き飛ばすような笑顔だった。ただ男が思い切り笑うとき目元に皺が寄ることに気づいて、やはり別人なのだと、現実に引き戻されるような感覚を味わった。あの琥珀を抉り取ればあいつになるのかと一瞬そんな考えが浮かぶがそんなはずもない。
今あいつは生きているのだから。
「じゃあ行くぞ。覚悟は良いな?」
「……ああ。」
革命軍のアルマ・ベルネットは、王国軍のアルマ・ベルネットになる。
なぜ死んだはずの自分がこうして生きて、やり直しているのかわからない。だがそんなことはいくら考えてもわかるはずもない。人智を超えた力などといえば胡散臭いが、その表現以外ふさわしい言葉をおれは知らない。どんな理由であろうと、零れ落ちた水を再び盆に返す機会が与えられた。ならば後悔を雪ごう。
すべては18年後あの日をもう一度やり直すために。
0
あなたにおすすめの小説
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~
タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。
時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま!
「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」
ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは――
公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!?
おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。
「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」
精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる