凹凸コンビ~8年の青春日記~

壽倉雅

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第1話 初の声掛けは「お疲れ」

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木内雅也が専門学校に入学したのは、2014年4月のことであった。
高校まで自転車通学だったので、電車通学に慣れるのには正直時間がかかった。私鉄と地下鉄の乗り換えで片道1時間40分、自宅から最寄り駅までの移動含めたら約2時間の通学。都会の空気が合わなかったのか、学校に通うまでで相当なエネルギーを使っていた。
「ああ、高校に戻りたいなぁ」
と、高校からの友達が一人もいなかったことでホームシックになるときもある。
時間割や自習の都合で、朝の9時から夜の9時まで、1日の半分を学校で過ごすことも日常茶飯事。当然夕方になると、眠気が襲ってくることもあった。

専門学校の生活が始まって、まだ2週間も経っていないある夕方。
うとうとしながら、コンビニで買った菓子パンを食べていると、
「お疲れ」
と、声をかける男子学生が目の前にいた。
(え、誰?)
雅也は内心思った。
「お疲れ」
気づいたら、雅也は返事を返していた。シナリオ学部に所属する雅也が、この声をかけてきた学生、眞榮田浩平のことを知るわけがなかった。何故なら浩平は映像学部で、普段の授業で被ることはなく、複数の専攻が必須で受ける合同授業で週に2回会うだけだった。しかもその授業でも、まだ雅也と浩平は話をしたことがなかった。合同授業には何十人もの学生が同じ教室の中にいたため、そもそも雅也は浩平の存在を認識していなかったのだ。

眼鏡でスポーツ刈りで身長もそれほど高くない雅也に対し、浩平はコンタクトでメッシュの入った茶髪で身長も大きい。当然横に並べば、明らかに雅也は公開処刑の状態である。
これが、浩平との最初の出会いになったわけだが、雅也は浩平が今後の学生時代の中で欠かせない存在になるとは思ってもみなかったのである。
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