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青春の再会
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高校時代付き合ったケンは2つ年上だった。
ケンは情に熱い人間だが、友達も少なく一匹狼だった。
高校生にして横浜市のボロアパートで1人暮らし。ケンが好きだった私は通い妻をしていた。
当時、母親の手伝いすらしたことがなかった私は、見よう見まねでケンにご飯を食べさせたく、魚をおろしたりした。
それがまぁ惨殺事件の様な魚になってしまった。
「みうは料理が下手くそだなぁ」
「これから上手くなるの!」
新婚の様な会話も私の胸をキュンとさせる。
ケンとはそんな毎日だった。
また初めて身体を許した人でもある。
やはり高校生ともなると、性にも興味があり、セックスの気持ちよさを知ると日常茶飯事になった。
周囲の事も考えず、お互い首には常にキスマークをつけていた。キスマークを付けることで、他の人間を近付けさせないと言う意味もあった。
高校生の私達には、そんな事しか考えられなかったのだ。
ケンが18になった。車の免許を取り、私を色んな場所へ連れていってくれた。車の中ではラジオが流れる。
「みうの好きなドリカム流れてるね」
「私も歌手になりたい!」
そんな話をしていると、いつの間にか夜になっていた。ケンは必ず私を車で送ってくれた。
「また明日ね」
毎日が私達なりの輝きだった。ケンとは高校時代3年間ラブラブだった。
しかし人間は不思議なものだ。
私は他の男に恋をしてしまった。きっかけは学園祭で盛り上がり、勢いで仲良くなったようなもの。
「好き」と言われ、簡単に私も好きになってしまった。
ケンになんて言えばいいか… 殴られるんじゃないか。色々考えた。正直に話すとケンはあっさり引き下がった。
高校時代の3年間の青春はこうしてあっさり幕を閉じた。
そして新しく付き合った彼はアクセサリーの様な男だった。
一緒に居るだけで目立つ様な男。 そんな彼と結婚することになる。
授かり婚だった。
やがて結婚式も終え、子供も産まれ、生活が子供中心になった。
しかし価値観が合わない私と彼はギスギスした生活になり、数年で別居。結婚生活5年で離婚をする。
「どうしてパパは一緒に帰らないの?」
無垢な顔で息子が言った。私は何も言えずにいた。薄っぺらい5年だった。
一方ケンは、連れ子がいる女と結婚。更に3人子供が出来た。大家族の中ケンは必死に働き、必死に踏ん張っていた。
そんなケンもすれ違いから離婚をすることになる。
月日は経ち、気が付くとケンと別れて15年が経っていた。
私は息子と2人暮らしで奮闘していた。
そんなある日私の携帯が鳴る。相手は…公衆電話だ。恐る恐る電話に出てみた。
「もしもし、みうさんの携帯ですか?」
この声は…! ケンだった。15年ぶりのケンの声。
「ケン?久しぶり!どうしたの?」 私はあえて平静を装う。
「言いづらいんだけどさ、風呂貸して!」
「え?どういうこと?」
「事情は後で説明するからファミレスで会える?」
「わかった!」
15年ぶりのケン。変わってないといいな。声だけ聞くと変わってなかった。
「久しぶりー!」
ケンの笑った顔、変わってなかった。しかし変わった所があった。両腕、背中に刺青が入っていると言う。
離婚して追い出され、家もなく公園で寝泊まりし、会社には行ってるから風呂に入りたいけど刺青があるので銭湯へも行けない…。
そこで「風呂貸して」の電話だった。当時ケンは携帯も持っていなくて、唯一覚えていた私の番号に掛けてきたのだ。
それにしても15年ぶりの再会がこれか…。
私は少しガッカリしていた。
ファミレスでの話し合いの結果、3ヶ月だけ私と息子が住むマンションに同居をすると言う話になった。
しかし一度落ちた恋は再び戻るのにそう時間はかからなかった。
次の日にはワクワクしながらケンに携帯電話をプレゼントした。思い出話に花を咲かせ、少しずつ私はまたケンに恋心を抱いていた。
その日の夜だった。ケンと一緒に寝たくなりケンがいる和室に入った。最初は戸惑っていたケンだが、いつも通り接してくれた。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
そして寝る前に私は勝負に出る。
「ねぇ…腕枕くらいしてくれないの?」
このセリフは私が勇気を振り絞って出して言ったのだ。今でも鮮明に覚えている。
「いいよ」
優しいケンの声と同時に腕枕をしてくれる。
そう。この腕枕。懐かしいなぁ。そう思っていると…いつの間にか抱き合い、15年ぶりに私達は一つになった。
3ヶ月同居の予定だったのが気がつけば7年同棲していた。
そろそろ…と言うケジメで昨年ケンと結婚。
人生なにがあるかわからない。15年の遠回りをしたけれど、高校時代の青春が15年ぶりに戻ってきた感覚だ。
今は二人で音楽活動をしている。
喧嘩もするけれど、一生共に生きていたい。
それは高校時代に少し思っていた事はケンには秘密なのである。
ケンは情に熱い人間だが、友達も少なく一匹狼だった。
高校生にして横浜市のボロアパートで1人暮らし。ケンが好きだった私は通い妻をしていた。
当時、母親の手伝いすらしたことがなかった私は、見よう見まねでケンにご飯を食べさせたく、魚をおろしたりした。
それがまぁ惨殺事件の様な魚になってしまった。
「みうは料理が下手くそだなぁ」
「これから上手くなるの!」
新婚の様な会話も私の胸をキュンとさせる。
ケンとはそんな毎日だった。
また初めて身体を許した人でもある。
やはり高校生ともなると、性にも興味があり、セックスの気持ちよさを知ると日常茶飯事になった。
周囲の事も考えず、お互い首には常にキスマークをつけていた。キスマークを付けることで、他の人間を近付けさせないと言う意味もあった。
高校生の私達には、そんな事しか考えられなかったのだ。
ケンが18になった。車の免許を取り、私を色んな場所へ連れていってくれた。車の中ではラジオが流れる。
「みうの好きなドリカム流れてるね」
「私も歌手になりたい!」
そんな話をしていると、いつの間にか夜になっていた。ケンは必ず私を車で送ってくれた。
「また明日ね」
毎日が私達なりの輝きだった。ケンとは高校時代3年間ラブラブだった。
しかし人間は不思議なものだ。
私は他の男に恋をしてしまった。きっかけは学園祭で盛り上がり、勢いで仲良くなったようなもの。
「好き」と言われ、簡単に私も好きになってしまった。
ケンになんて言えばいいか… 殴られるんじゃないか。色々考えた。正直に話すとケンはあっさり引き下がった。
高校時代の3年間の青春はこうしてあっさり幕を閉じた。
そして新しく付き合った彼はアクセサリーの様な男だった。
一緒に居るだけで目立つ様な男。 そんな彼と結婚することになる。
授かり婚だった。
やがて結婚式も終え、子供も産まれ、生活が子供中心になった。
しかし価値観が合わない私と彼はギスギスした生活になり、数年で別居。結婚生活5年で離婚をする。
「どうしてパパは一緒に帰らないの?」
無垢な顔で息子が言った。私は何も言えずにいた。薄っぺらい5年だった。
一方ケンは、連れ子がいる女と結婚。更に3人子供が出来た。大家族の中ケンは必死に働き、必死に踏ん張っていた。
そんなケンもすれ違いから離婚をすることになる。
月日は経ち、気が付くとケンと別れて15年が経っていた。
私は息子と2人暮らしで奮闘していた。
そんなある日私の携帯が鳴る。相手は…公衆電話だ。恐る恐る電話に出てみた。
「もしもし、みうさんの携帯ですか?」
この声は…! ケンだった。15年ぶりのケンの声。
「ケン?久しぶり!どうしたの?」 私はあえて平静を装う。
「言いづらいんだけどさ、風呂貸して!」
「え?どういうこと?」
「事情は後で説明するからファミレスで会える?」
「わかった!」
15年ぶりのケン。変わってないといいな。声だけ聞くと変わってなかった。
「久しぶりー!」
ケンの笑った顔、変わってなかった。しかし変わった所があった。両腕、背中に刺青が入っていると言う。
離婚して追い出され、家もなく公園で寝泊まりし、会社には行ってるから風呂に入りたいけど刺青があるので銭湯へも行けない…。
そこで「風呂貸して」の電話だった。当時ケンは携帯も持っていなくて、唯一覚えていた私の番号に掛けてきたのだ。
それにしても15年ぶりの再会がこれか…。
私は少しガッカリしていた。
ファミレスでの話し合いの結果、3ヶ月だけ私と息子が住むマンションに同居をすると言う話になった。
しかし一度落ちた恋は再び戻るのにそう時間はかからなかった。
次の日にはワクワクしながらケンに携帯電話をプレゼントした。思い出話に花を咲かせ、少しずつ私はまたケンに恋心を抱いていた。
その日の夜だった。ケンと一緒に寝たくなりケンがいる和室に入った。最初は戸惑っていたケンだが、いつも通り接してくれた。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
そして寝る前に私は勝負に出る。
「ねぇ…腕枕くらいしてくれないの?」
このセリフは私が勇気を振り絞って出して言ったのだ。今でも鮮明に覚えている。
「いいよ」
優しいケンの声と同時に腕枕をしてくれる。
そう。この腕枕。懐かしいなぁ。そう思っていると…いつの間にか抱き合い、15年ぶりに私達は一つになった。
3ヶ月同居の予定だったのが気がつけば7年同棲していた。
そろそろ…と言うケジメで昨年ケンと結婚。
人生なにがあるかわからない。15年の遠回りをしたけれど、高校時代の青春が15年ぶりに戻ってきた感覚だ。
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