助けた旅人が隣国の第三皇子!? 運命的な出会いからの即日プロポーズ! 婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!・完結

まほりろ

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7話「リリアナ、悪魔から魔石を作る」

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「勘当された?
 何故ですか?」

「その話はおいおいお話いたしますわ。  まずはそこに転がっている悪魔を屋敷に運んで魔石にしてしまいましょう」

「僕には見えないので、お手伝い出来なくて申し訳ないです」

「お気になさらないで下さい。
 カイロス様がいらしたから生きの良い悪魔が手に入ったのですから」

私は悪魔を二、三体纏めてポイポイと馬車に放り込みました。

「客席が悪魔でいっぱいなので、御者席に乗りましょう。
 あとカイロス様の馬と馬車を頂いてもよろしいですか?
 私の馬車はボロボロなので」

「どうぞ、婚約したので馬も馬車もあなたの物です」

カイロス様は気前がいいです。

私は自分の馬車から馬を外し、カイロス様の馬車につなぎ直しました。

ついでに自分の荷物も移動しました。

そして道すがら、私の生い立ちや、第二王子と婚約していたことや、商売敵の聖女様が現れて婚約破棄された事を伝えました。

私の事情を説明し終えたあと、カイロス様の生い立ちや素性をお聞きしようと思った時、屋敷についてしまいました。

カイロス様の事情は、あとで伺うことにしましょう。




◇◇◇◇




「ところでこの部屋の三分の一を占める巨大な機械は一体?」

カイロス様、説明セリフありがとうございます。

それは人の背丈よりも遥かに大きく、大人が両手を広げて三人並んだぐらいの横幅がありました。

屋敷に着いた私達は、真っ直ぐ魔晄炉のある部屋に向かいました。

それで、部屋に入ったカイロス様の開口一番のセリフが機械への質問だった訳です。

「これは祖父が作った魔晄炉です」

「これが、前フロスト伯爵が作った魔晄炉?」

「はい」

大きすぎて国外には持ち運べません。

このまま祖国に残しても、悪用される恐れもありますし、ある意味破壊命令が出て良かったかもしれません。

その前に悪魔を溶かして魔石に変えさせていただきますけど。

「今から悪魔を溶かして魔石に変えます。
 悪魔を溶かすとき、黒板を爪で引っ掻いた時の百倍不快な音がします。
 カイロス様は耳を塞いで外で待機していて下さい」

私は悪霊の断末魔を聞くのが好きでした。

悪魔はどんな断末魔を上げるのかしら?

楽しみだわ。

「えっ? そうなの?
 そんな不快な音が……!
 でも魔石に変えられるのは僕を苦しめていた悪魔だ!
 僕には悪魔の姿は見えないけど、せめて魔石に変わる所を見届けたい!」

カイロス様、結構根性ありますね。

「わかりました。
 でも耳だけは塞いでいて下さいね」

私は最後に倒した七色の悪魔を残して、残り七体の悪魔を魔晄炉に放り込みました。

赤、青、緑、黄色、オレンジ、水色、紫……彼らを溶かしたらどんな色の魔石ができるのかしら?

上手く行けば七色の魔石ができるかもしれません!

蓋をして、魔晄炉のスイッチを入れました。

悪霊だとこのあと「ギェェェーー!!」的な断末魔を上げるのですよ。

悪霊を溶かすのは初めてですが、彼はどんな断末魔を上げるのでしょう?

わくわくするわ!

悪魔が魔晄炉の中でどんどん溶けて行きます。

そろそろ断末魔が聞こえるころですね。

どんな悲鳴を上げるのかそわそわしながら待っていると、聞こえて来たのは鈴を鳴らしたような歌声でした。

なんだか拍子抜けですね。

鈴を鳴らしたような歌声が彼らの断末魔なんて。

ですがこれなら、近所迷惑にならないかもしれません。

「もう終わったのかい?
 断末魔は?」

「悪魔の断末魔は鈴のような歌声だったようです。
 拍子抜けです」

「僕は少しホッとしてるよ」

カイロス様が額の汗を拭いました。どうやら彼は強がっていましたが、悪魔の断末魔が怖かったようです。

「それより見て下さい。
 魔石ができましたよ」

出来立てほやほやの魔石を魔晄炉から取り出し、カイロス様に見せました。

「凄い……七色に輝いている!
 こう言ってはなんだがとても綺麗だ……!」

カイロス様は魔石を見て感動しているようでした。

「カイロス様に取り憑いていた悪魔は赤、青、緑、黄色、オレンジ、水色、紫の七色だったのです。
 それで彼らを同時に魔晄炉に放り込んだらどうなるのか実験してみました。
 良い感じに混ざったみたいです」

我ながら良い出来だと思います。

それにこの七色の魔石は、今まで作ったどの魔石より強いパワーを持っています。 

一応、ネクロマンサー兼錬金術師なので、それくらいのことは魔石を見ただけでもわかりますよ。

悪霊より悪魔の方が魔石の材料に適しているようです。

「では次は、新たにカイロス様に取り憑いた悪魔を魔晄炉に入れます。
 カイロス様には見えないですが、なんと彼は七色に光ってるんですよ。
 彼一体でも七色の魔石が出来るのか、ちょっとわくわくしますね」

私はドキドキしながら、七色に輝く悪魔を魔晄炉に入れました。

そしてポチッとスイッチを押しました。

鈴のような軽やかな断末魔を残し、悪魔は魔石に変わりました。

「やりました!
 私の予想通り七色の魔石に変わりました!
 二回続けて七色の魔石ができるなんて!
 ついてますわ!」

ああ、楽しいです!

もっと実験したいです!

同じ色の悪魔を纏めて数体魔晄炉に入れたら、濃い色の魔石ができるのかしら?

赤と黄色の悪魔を同時に魔晄炉に入れたら、緑色の魔石ができるのかしら?

それは緑色の悪魔から作る魔石とはどう違うのかしら?

ああ、色々と実験してみたいです!

カイロス様が早く次の悪魔に取り憑かれないかしら?

いえいえ、これは流石に不謹慎でしたね。

「リリアナ様、あなは想像以上に凄い人だ!
 恐ろしい悪魔を、いとも簡単にこんな美しい魔石に変えてしまうのだから!」

「そんな、褒め過ぎでよ」

でも褒められるのって悪い気がしません。

錬金術を褒められるなんて、祖父が生きていた時以来ですから。

「でも問題はこの魔晄炉だ。
 こんな大きな機械を、どうやって僕の国まで運べばよいのか……?
 そっと運ばないと壊れてしまうだろうし、馬車には乗せられないだろうし、こんな大きな物を動かすと目立つし、こっそり慎重に運ぶにはどうしたらよいのか……?」

「あっ、そのことなら心配いりませんよ。
 この魔晄炉は壊してしまいますから」

「はっ?
 ええっ?!
 君はこんな貴重な魔晄炉を壊すというのかい?
 正気かい?」

「はい。
 第二王子から魔晄炉を壊すように命が下されましたので」

「こんな貴重な物を壊せと命じるとは、この国の第二王子は相当浅はかなようだ。
 少し前まで自分もこの魔晄炉とリリアナ様のお世話になっていたのに、そのどちらもあっさりすてるなど……なんと恥知らずで、なんと恩知らずな……!」

「カイロス様、私の為に怒って下さるのは嬉しいですが、それ以上言うと不敬罪になりますよ。
 私のことは気にしないで下さい。  婚約破棄されましたが、殺せとまでは命令されませんでしたから」

「同じことです。
 若い娘が人前で、しかも王子から婚約破棄されたら、傷物になります。
 あなたの人生を破壊されたも同然です」

こんな風に私の為に怒ってくれる人に出会ったのは、亡くなった祖父以来初めてです。

「私の為に怒って下さりありがとうございます。
 でも私は、こんなことで壊れるほどやわではありませんから」

商売柄、人様に陰口を叩かれるのなんて慣れっこです。

「やわでないからといって、傷つかないわけではありません」

カイロス様は本当に良い方ですね。

私は素敵な旦那様をゲットしたようです。

「何故、笑っているのですか?」

「いえ、カイロス様のお言葉が嬉しかったのでつい」

「僕はそんなに特別な事を言った覚えは……」

「私の心には響きましたわ」

人の優しさとは不思議です。

こんなにも心のすみずみに響き、荒んでいた心を癒やして行くのですから。

「あなたの心を少しでも癒すことができたのならよかったです」

「ええ、とても癒やされました。
 それより本題です!
 この魔晄炉を壊しても問題ないと言ったのには理由があるのです!」

「理由とは?」

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