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9話「新発見!」
しおりを挟むカイロス様は青空の下そよ風に吹かれながら、悪魔に取り憑かれ地面に倒れていました。
「ちょっと目を離した隙に三体もの悪魔に取り憑かれるなんて……カイロス様は本当に悪魔ホイホイですね」
【こんなところに上質の魔力を持った男がいるなんて最高じゃない】
【私、彼のことわりと好みだわ。私たちに取り憑かれ魔力と生気を奪われた彼が、痩せ細えていく姿を見てみたいわ】
【あなたって本当に趣味よね。私も同じこと考えたけど】
いえ、ここまでくると悪魔たらしと言った方がいいかもしれませんね。
「悪魔三人娘さん、悪いんですけどカイロス様は私のものなんです。手出さないでくださいね」
私はカイロス様に取り付いていた三体の悪魔をぶっ倒し、魔晄炉二号持ち運び便利君に放り込みました。
「今回の悪魔は全員青色をしてました。
三体の青色の悪魔を詰め込んだらどんな色の魔石ができるのでしょうか?
楽しみです!」
魔晄炉のスイッチを押して数秒、出来上がった魔石は濃い青色をしていました。
「なるほど同じ色の悪魔を一度に何体も詰め込むと、濃い色の魔石ができる。
新発見です」
緑と赤など相反する色同士の悪魔を同時に入れたら、どんな色の魔石ができるのでしょう?
今度実験してみたいですね。
「ん……僕は何を?」
そうこうしているうちにカイロス様が目覚めたようです。
悪魔と魔石に夢中になって、彼のことを忘れていたわけではないですよ。
ええ、決して忘れてなんかないですよ!
悪魔よりも魔石よりも、悪魔ホイホイのカイロス様の方が大事ですから!
「カイロス様、お気づきになられましたか?
悪魔に取り憑かれて倒れていたんですよ」
「急にめまいと立ちくらみがしたと思ったら……そんなことになっていたのですね」
「ご安心ください。
カイロス様に取り付いていた悪魔は、魔晄炉にぶち込んで魔石に変えて置きましたから。
見てください。
こんな綺麗な濃い青色の魔石ができたんですよ」
「すいません。
またリリアナ様にご迷惑おかけしまって……本当にダメですね僕は」
「何をおっしゃっているのですか!
カイロス様の悪魔ホイホイの能力は私が喉から手が出るほど欲しい能力です!
ですが悲しいかな、私にはその素質はないのです……。
王都中、いえ国中を探し回っても、カイロス様ほどの悪魔ホイホイ体質の人間を見つけることはできません!
私の研究は悪魔や悪霊あってのもの!
魔石を作るには原料となる悪魔が必要であるように、ネクロマンサーの私には悪魔召集体質のカイロス様が必要なのです!
カイロス様あっての私!
私あってのカイロス様です!」
私、熱弁する内容の方向性を間違えたのでしょうか?
盛大に空回ってる気がします!
カイロス様がドン引きしてるじゃないですか!
カイロス様を優しく包み込むようにしなくては!
「だからご自分の体質に誇りを持ってください」
私は帰ろう様の手を取り、出来るだけ優しく穏やかな笑顔で微笑みました。
「僕の体質のことを褒めてくださったのはリリアナ様が初めてです。
僕にとってあなたはかけがえのない存在です。
どうか許されるなら、一生僕の傍にいてください」
よかった。
カイロス様に嫌われていなかったようです。
まさかここに来て二度目のプロポーズをされるとは思いませんでした。
「もちろんです。
カイロス様が嫌だと言っても、私はあなたに張り付いて離れませんからね」
カイロス様にとって必要なのはネクロマンサー兼、錬金術師としての私でしょう。
カイロス様の顔立ちはとても整っています。
悪魔に力を吸い取られることがなくなったら、顔色も良くなり、目の下のくまも消え、体力もついてくるでしょう。
カイロス様の着ている服や乗っていた場所から推測するに、彼はいいところのお坊ちゃんみたいですし、彼が健康になったら周りの女性がほっとかないでしょう。
そうなったら伯爵家を勘当された平民の私ではなく、いいところのお嬢様と結婚してしまうかもしれません。
その時は彼の愛人にしてもらって、魔石だけは作らせていただきましょう。
カイロス様に捨てられないように、私がいかに有能なネクロマンサー兼、錬金術師か今のうちにたっぷり売り込んでおかなくてはけませんね。
愛人になってもお手当てはもらいません。その代わり悪魔だけは下さいと、しっかりとお願いしておかなくてはいけませんね。
カイロス様に私の他に愛する人ができる……?
想像したら胸の音がズキリと痛みました。
何でしょうこの胸の痛みは?
アルバート殿下と婚約していた時は、殿下に何度が浮気されても何とも思わなかったのに……。
私の心臓どうしてしまったのでしょうか?
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