助けた旅人が隣国の第三皇子!? 運命的な出会いからの即日プロポーズ! 婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!・完結

まほりろ

文字の大きさ
14 / 16

14話「目覚めたら鳥がチュンチュン鳴いていたら、朝チュンですわ!」

しおりを挟む


小鳥が窓の外でチュンチュン騒いでます。

朝……?

うーん、嫌です……登城したくないです。

アルバート殿下の愚痴を聞きたくないです……ああでも、生きの良い悪霊が彼に取り憑いていたら、とっ捕まえて魔晄炉に焚べてやりたいです……。

「リ、リリアナ様……」

「う~~ん、お母様……あと五時間……スピー」

「僕はお母様ではありませんよ。
 それにあと五時間も寝ていたらお昼になってしまいますよ」

ふむふむ……この冷静なツッコミ、家族ではないようです。

それに自宅のベッドよりふかふかです。

それにいい匂いがしますし、綺麗な声も聞こえます……まるで天使のような……。

んん……? 天使……?

そうでした!

私、実家から勘当され旅にでした!

アルバート殿下には婚約破棄されて、彼の新しい婚約者はボンキュボンのナイスバディの商売敵の聖女様で……!

いえ、そんなことはどうでもいいことです!

私の新しい婚約者は、天使のように汚れない心を持った美少年の……。

「お、おはようございます……カイロス様」

視界いっぱいに、カイロス様の美しいお顔が広がっていました。

あれ? カイロス様がこんなに近くに……?

昨日は確か、ベッドの端と端に別れて寝たはず。

起き上がって自分の寝ている位置を確認しました。

どうやら私は寝ている間にベッドの端から端まで移動していたようです。

「す、すみません!
 私ったら寝相が悪くて……!」

私は急いでカイロス様から距離を取りました。

昨夜カイロス様には指一本触れないと、約束したばかりなのに……!

まさかしらない間に移動して、彼にピッタリくっついて、眠っていたのは!

「あの……大丈夫ですから。
 不可抗力だと分かっていますから」

なんて無垢な瞳をしているのでしょう!

彼の信頼を裏切りたくありません!

「それよりリリアナ様は昨日、あまり眠れなかったのではありませんか?
 目の下にくまが出来ていますよ」

「えっ?」

ベッドから下りて、部屋に取り付けられている鏡に顔を映すと、目の下にうっすらくまができていました。

なんということでしょう! ただでさえ平凡な容姿なのに、くままで作ってしまうとは!

カイロス様に「不美人な嫁はいりません」と言われてしまいます。

こ、これからは美容と健康にも気を使わなくては……!

「疲れすぎていると眠れない事があると聞いたことがあります。
 リリアナ様は僕に取り憑いた悪魔を祓ったり、魔晄炉を破壊したり、荷物を運んだり、馬車の操縦をしたり、山賊を追い払ったり、宿駅の手配をしたりで、疲労していたのかもしれません。
 すみません、僕が役に立たないばかりに、リリアナ様だけに負担をかけてしまって」

カイロス様がしょんぼりしてしまいました。

「ち、違いますよ!
 私が寝不足なのは昨日カイロス様の寝込みを襲ってきた悪魔をやっつけていたからで……けっして昨日の疲れがでたからでは……」

「えっ? 悪魔が僕の寝込みを……?」

迂闊でした!

カイロス様を不安にさせないために、彼が悪魔に寝込みを襲われたことは内緒にするハズだったのに……!

まだ、寝ぼけていたとはいえ、とんでもない大ポカを……!

「ああ、でも悪魔はちゃんとやっつけたのでご心配なく!
 朝一番に魔晄炉で溶かして魔石に変えてやりましょう!」

「リリアナ様……!」

「はい……!」

彼が大きな声を出すなんて珍しいですね。

悪魔の姿はカイロス様には見えません。下手な言い訳と思われたでしょうか?

彼は裸足で私の傍まで来ると、私の手をギュッと握りしめました。

「それで寝不足だったのですね。
 僕の為に夜中まで戦ってくれたのに、僕は何も気づかなくてすみません」

「悪魔に寝込みを襲われた話、信じてくれるのですか?」

「リリアナ様の言葉を疑う理由がありません」

ピュアです! カイロス様の心が眩しいくらいにピュア過ぎます!

彼は絶対良いところの御曹司です! そして家族に大切に育てられたに違いありません!

でなければ、この年まで純粋無垢なまま育つ筈がありません!

「それに昨日はぐっすり眠れたのです。
 旅の疲れが出たからかと思いましたが、旅に出たあともリリアナ様と出会う前は旅に毎晩うなされていました。
 だから昨日僕がぐっすり眠れた理由が、リリアナ様が一晩中僕を守ってくれたからだと仮定すると、納得がいくんです」

「カイロス様が昨日ぐっすり眠れたのならよかったです。
 こころなしかあなたの目の下のくまが薄くなってます。
 それに血色も良くなってるみたいです」

「僕の代わりにリリアナ様がやつれていくのは嫌です!
 だから僕のことはいいですから、リリアナ様も夜はしっかり眠ってください」

「その結果、カイロス様が悪魔に取り憑かれてるのに気づかず、あなたがうなされているのを放置するのは嫌ですわ」

何か対策を考えなくてはいけませんね。

浄化力の高い聖女様なら傍にいるだけで、悪魔や悪霊を消し去ってくれるんでしょうけど。

私にはそのような力はありません。

起きていて悪魔を拳で黙らせるのが手っ取り早いんですよね。

「悪魔はネクロマンサーのリリアナ様を恐れているかもしれません。
 リリアナ様が僕を抱きしめて眠れば悪魔も襲ってこないかも……」

「えっ? カイロス様を抱きして眠るんですか……?」

「す、すみません!
 考えなしに大胆な提案を……!」

「い、いえ、起きになさらず……!」

カイロス様が私からパッと手を離し、慌てた様子で私から距離を取りました。

私がカイロス様を抱きしめて眠るのは最終手段として、何か対策を考えなくてはいけないのは事実ですね。

【けっ、朝っぱらからイチャイチャしてんじゃねーよ!】

ふと部屋の隅に目をやると、昨夜げんこつで黙らせ、特殊なロープで縛り上げ、す巻きにして転がしておいた悪魔が不貞腐れた表情で悪態をついてました。

カラス除けの為に、畑に死んだカラスを吊るしておくと良いと聞いたことがあります。(※良い子は真似しないで下さい)

「カイロス様、心配いりませんよ。
 悪魔避けの良い解決策が見つかりましたから」

私が悪魔に向かってニコッと微笑むと、悪魔が【ヒッ……!】と短く悲鳴を上げました。



◇◇◇◇◇


どついてボコボコにした悪魔を特殊なロープで縛り、ロープを馬車の後ろにくくりつけ馬車で引きずることにしました。

そうしてボロボロになった悪魔を宿駅の部屋の窓から吊るして置きました。

なんと効果てきめん!

ボロボロの悪魔に恐れをなしたのか、その晩は他の悪魔に寝込みを襲われることはありませんでした。

【頼む……殺して……】

よく朝、朝露に濡れた悪魔を取り込むとき、悪魔が何か言っていましたが、悪魔の言葉を聞いてやる義理はありません。

ネクロマンサーを舐めないで下さい。

悪魔と取り引きなんかしませんからね。

しかもこいつは、ひ弱なカイロス様の寝込みを襲い馬乗りになってた悪魔です。

簡単に魔石に変えて楽になんかしてやるもんですか。

「なぜか昨日はぐっすり眠れました」

「私もです」

こうして私達は悪魔の犠牲の上に安眠を手に入れたのです。



しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された令嬢は、“神の寵愛”で皇帝に溺愛される 〜私を笑った全員、ひざまずけ〜

夜桜
恋愛
「お前のような女と結婚するくらいなら、平民の娘を選ぶ!」 婚約者である第一王子・レオンに公衆の面前で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢セレナ。 彼女は涙を見せず、静かに笑った。 ──なぜなら、彼女の中には“神の声”が響いていたから。 「そなたに、我が祝福を授けよう」 神より授かった“聖なる加護”によって、セレナは瞬く間に癒しと浄化の力を得る。 だがその力を恐れた王国は、彼女を「魔女」と呼び追放した。 ──そして半年後。 隣国の皇帝・ユリウスが病に倒れ、どんな祈りも届かぬ中、 ただ一人セレナの手だけが彼の命を繋ぎ止めた。 「……この命、お前に捧げよう」 「私を嘲った者たちが、どうなるか見ていなさい」 かつて彼女を追放した王国が、今や彼女に跪く。 ──これは、“神に選ばれた令嬢”の華麗なるざまぁと、 “氷の皇帝”の甘すぎる寵愛の物語。

大嫌いな令嬢

緑谷めい
恋愛
 ボージェ侯爵家令嬢アンヌはアシャール侯爵家令嬢オレリアが大嫌いである。ほとんど「憎んでいる」と言っていい程に。  同家格の侯爵家に、たまたま同じ年、同じ性別で産まれたアンヌとオレリア。アンヌには5歳年上の兄がいてオレリアには1つ下の弟がいる、という点は少し違うが、ともに実家を継ぐ男兄弟がいて、自らは将来他家に嫁ぐ立場である、という事は同じだ。その為、幼い頃から何かにつけて、二人の令嬢は周囲から比較をされ続けて来た。  アンヌはうんざりしていた。  アンヌは可愛らしい容姿している。だが、オレリアは幼い頃から「可愛い」では表現しきれぬ、特別な美しさに恵まれた令嬢だった。そして、成長するにつれ、ますますその美貌に磨きがかかっている。  そんな二人は今年13歳になり、ともに王立貴族学園に入学した。

妹に命じられて辺境伯へ嫁いだら王都で魔王が復活しました(完)

みかん畑
恋愛
家族から才能がないと思われ、蔑まれていた姉が辺境で溺愛されたりするお話です。 2/21完結

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

悪役令嬢ベアトリスの仁義なき恩返し~悪女の役目は終えましたのであとは好きにやらせていただきます~

糸烏 四季乃
恋愛
「ベアトリス・ガルブレイス公爵令嬢との婚約を破棄する!」 「殿下、その言葉、七年お待ちしておりました」 第二皇子の婚約者であるベアトリスは、皇子の本気の恋を邪魔する悪女として日々蔑ろにされている。しかし皇子の護衛であるナイジェルだけは、いつもベアトリスの味方をしてくれていた。 皇子との婚約が解消され自由を手に入れたベアトリスは、いつも救いの手を差し伸べてくれたナイジェルに恩返しを始める! ただ、長年悪女を演じてきたベアトリスの物事の判断基準は、一般の令嬢のそれとかなりズレている為になかなかナイジェルに恩返しを受け入れてもらえない。それでもどうしてもナイジェルに恩返しがしたい。このドッキンコドッキンコと高鳴る胸の鼓動を必死に抑え、ベアトリスは今日もナイジェルへの恩返しの為奮闘する! 規格外で少々常識外れの令嬢と、一途な騎士との溺愛ラブコメディ(!?)

「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜

鷹 綾
恋愛
公爵令嬢アリシア・ルナミアは、幼い頃から「癒しの聖女」として育てられ、オルティア王国の王太子ヴァレンティンの婚約者でした。 しかし、王太子は平民出身の才女フィオナを「真の聖女」と勘違いし、アリシアを「偽りの聖女」「無能」と罵倒して公衆の面前で婚約破棄。 王命により、彼女は辺境の荒廃したルミナス領へ追放されてしまいます。 絶望の淵で、アリシアは静かに真実を思い出す。 彼女の本当の能力は「呪い解き」——呪いを吸い取り、無効化する最強の力だったのです。 誰も信じてくれなかったその力を、追放された土地で発揮し始めます。 荒廃した領地を次々と浄化し、領民から「本物の聖女」として慕われるようになるアリシア。 一方、王都ではフィオナの「癒し」が効かず、魔物被害が急増。 王太子ヴァレンティンは、ついに自分の誤りを悟り、土下座して助けを求めにやってきます。 しかし、アリシアは冷たく拒否。 「私はもう、あなたの聖女ではありません」 そんな中、隣国レイヴン帝国の冷徹皇太子シルヴァン・レイヴンが現れ、幼馴染としてアリシアを激しく溺愛。 「俺がお前を守る。永遠に離さない」 勘違い王子の土下座、偽聖女の末路、国民の暴動…… 追放された聖女が逆転し、究極の溺愛を得る、痛快スカッと恋愛ファンタジー!

王太子に愛されないので、隣国王子に拾われました

鍛高譚
恋愛
「王太子妃として、私はただの飾り――それなら、いっそ逃げるわ」 オデット・ド・ブランシュフォール侯爵令嬢は、王太子アルベールの婚約者として育てられた。誰もが羨む立場のはずだったが、彼の心は愛人ミレイユに奪われ、オデットはただの“形式だけの妻”として冷遇される。 「君との結婚はただの義務だ。愛するのはミレイユだけ」 そう嘲笑う王太子と、勝ち誇る愛人。耐え忍ぶことを強いられた日々に、オデットの心は次第に冷え切っていった。だが、ある日――隣国アルヴェールの王子・レオポルドから届いた一通の書簡が、彼女の運命を大きく変える。 「もし君が望むなら、私は君を迎え入れよう」 このまま王太子妃として屈辱に耐え続けるのか。それとも、自らの人生を取り戻すのか。 オデットは決断する。――もう、アルベールの傀儡にはならない。 愛人に嘲笑われた王妃の座などまっぴらごめん! 王宮を飛び出し、隣国で新たな人生を掴み取ったオデットを待っていたのは、誠実な王子の深い愛。 冷遇された令嬢が、理不尽な白い結婚を捨てて“本当の幸せ”を手にする

【完結】魔力の見えない公爵令嬢は、王国最強の魔術師でした

er
恋愛
「魔力がない」と婚約破棄された公爵令嬢リーナ。だが真実は逆だった――純粋魔力を持つ規格外の天才魔術師! 王立試験で元婚約者を圧倒し首席合格、宮廷魔術師団長すら降参させる。王宮を救う活躍で副団長に昇進、イケメン公爵様からの求愛も!? 一方、元婚約者は没落し後悔の日々……。見る目のなかった男たちへの完全勝利と、新たな恋の物語。

処理中です...