【完結】「幼馴染が皇子様になって迎えに来てくれた」

まほりろ

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4話「それぞれの過去」

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「どういうことなのレイ! 
 説明して!」

「お嬢様、お顔が怖いですよ。
 美人が台無しです」

思わずレイに詰め寄ってしまった。

レイは苦笑いを浮かべ困った顔をしている。

「実はですね……」

レイは十二歳のとき、冒険者になると言って家を出ていった。

レイはロイエンタール侯爵家の住み込みの使用人の息子だった。

レイの父親は庭師のラルドおじさん、母親はメイドのカーラおばさん。

二人ともとても気さくで良い人たちだった。

ラルドおじさんとカーラおばさんは、侯爵夫人だった母と仲が良かった。

そのせいか、私とレイは幼いときから兄弟のように育ち、何をするのも一緒だった。

だからレイが冒険者になると言って、屋敷から出て行ってしまったときはショックだった。

冒険者になるために家を出たレイは、メキメキと頭角を現し、四年でAランク冒険者になったそうだ。

ある日、レイは冒険者ギルドからの依頼を受けて、シュテルンベルク帝国にモンスター退治に行った。

依頼自体は簡単なもので、すぐに達成できたらしい。

帰りに帝都に寄ったとき、レイの前に一台の豪華な馬車が止まり、貴婦人が降りてきて、
「レイナード! 生きていたのね!!」
と言ってレイを抱きしめたそうな。

「その貴婦人が僕の生き別れの母親で、皇帝の側室だったんですよ。
 実母は十六年前、皇后一派との勢力争いに巻き込まれ、赤ん坊だった僕は皇后派に誘拐された。
 ちなみに実母が僕が生き別れの息子だと気づいたのは、皇帝の若い頃の顔に、僕がそっくりだったからです。
 実母との再会後、僕は宮廷で魔力鑑定を受け皇帝の実の息子だと判明しました。
 何年も前に皇后一派は一掃され、今は政権が安定しているので、僕がお嬢様を連れてシュテルンベルク帝国に行っても問題ありません」

「じゃあ、ラルドとカーラは……」

「僕の本当の親ではありません。
 何らかの理由で誘拐犯が死んだか、誘拐犯が僕を手放した。
 義父母は赤ん坊の僕を拾い、実の子として育ててくれたのです」

「ラルドとカーラに会えたの?
 あの二人は三年前に……」

「知ってます。
 先代の奥様が亡くなったときに解雇されたんですよね?
 大丈夫ですよ、育ての親のことは必ず探し出して保護しますから」

「ごめんなさい。
 二人を守ってあげられなくて。
 あの二人が解雇されたのは私のせいなの。
 ラルドとカーラは、継母と腹違いの妹から私をかばってそれで……」

母が亡くなってすぐ、父は愛人と結婚した。

父と愛人の間には、私の一つ下の妹がいた。

私に味方する使用人は次々と解雇され、その中にはラルドとカーラもいた。


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