義妹を溺愛するヤンデレ公爵令息は、ハニートラップに引っかかり義妹を傷つけたアホ王子を許さない・完結

まほりろ

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3話「計画に狂いが生じる」

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なにせ俺を好きすぎて、俺の想い人であるクロリスに嫌がらせするぐらいだからな。

そしたらもっと酷い言葉を浴びせ、奴のプライドをズタズタに引き裂いてやる。

こいつはクロリスに酷いことをしたんだから、これぐらいされて当然だ。

そんなことを考えていたらにやけが止まらなかった。

横目でソフィアの様子を窺うと、奴は泣くどころか眉一筋動かさず無表情で突っ立っていた。

なぜだ? なぜ泣かないんだ?

好きな男にあんな酷いことを言われたら、普通の令嬢なら号泣するところだろう? 

こいつには人の血が通ってないのか??

呆然とソフィアの顔を眺めていると、奴は感情のこもらない声で、

「お言葉承りました。
 殿下のお言葉はそのままソフィアお嬢様にお伝えいたします」

と言った。

「えっ?」

今たしかに目の前にいる女は「ソフィアお嬢様」と言った?

こいつがソフィア・バウムガルトナーではなかったのか?

「お、お前は誰だ……?!
 ソフィアではないのか!?」

「申し遅れました。
 私はバウムガルトナー公爵家で、ソフィアお嬢様の家庭教師をしておりますルーリー・フートと申します」

ルーリーと名乗った女はその場でカーテシーをした。

カーテシーの見本のような美しいお辞儀だった。

「家庭教師だと……?
 では本物のソフィアはどこにいる?」

「はい王妃様とのお約束の時刻には少し時間がありましたので、お嬢様は父親であるバウムガルトナー公爵に呼ばれ、宰相閣下の執務室に参っております」

「宰相の部屋だと……?」

母上の名前を騙って手紙を出したことが宰相にばれるとまずい。

「ならさっさと呼んでこい、もうすぐ母上との約束の刻限だろ!」

俺がソフィアの家庭教師を名乗る女を怒鳴りつけたとき、応接室の扉が外から開いた。

「その必要はございません殿下。
 娘のソフィアならここにおります」

扉の向こうに立っていたのは鬼の形相をした宰相と、宰相の補佐をしているソフィアの義理の兄フォンゼル・バウムガルトナー公爵令息だった。

宰相は金髪碧眼の長身の美丈夫。公爵家の養子であるフォンゼルは銀髪紫眼の美青年。

二人とも美しい顔を歪ませ、人を殺せるほど殺気の籠もった目で俺を見据えている。

俺はおしっこをちびりそうになったが、王太子としての矜持でなんとかこらえた。

二人の後ろから金色の長い髪をたなびかせ、美しい少女が現れた。

よく手入れされた腰まで届く黄金色のストレートヘア、
湖面のようにきらきらと輝くサファイアブルーの瞳、
白磁のようにきめの細かい白い肌……今まで見たどんな貴族の令嬢よりも愛らしい顔立ちをした少女は、
俺の前に進み出ると優雅にカーテシーをした。

「お初にお目にかかります。
 ソフィア・バウムガルトナーと申します。
 第一王子殿下にあらせられましてはご機嫌麗しく、恐悦至極に存じ上げ奉ります」

小鳥のさえずりのような美しい声、優雅な所作、鼻筋の通った優美な顔立ち。

彼女の周りは神々しい光に満ちていて、俺は天使が空から舞い降りてきたのかと錯覚した。








☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

今日(2022/12/07)から投稿したこちらの作品もよろしくお願いします!!
「私が彼から離れた七つの理由」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/37699061 #アルファポリス
異世界恋愛、幼なじみざまぁもの、ハッピーエンドです。
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