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7話「アホ王子とその親」ざまぁ
しおりを挟む「自分からバウムガルトナー公爵令嬢との縁を切っておいて何を今更都合のいいことを言っている!
余がバウムガルトナー公爵令嬢をお前の婚約者候補に立てるために、どれだけ手を尽くしたと思っているのだ!」
父上が声を荒げた。父上がこんなに激昂したのを見るのは初めてだ。
「お前への罰は幽閉でも生ぬるい。
しかしバウムガルトナー公爵令嬢から、アルウィンとクロリスの減刑を求められている」
「ソフィアから……!」
もしかしてソフィアも俺のことを……!
「『真実の愛を見つけられたアルウィン様とクロリス様にはいつまでも仲睦まじく暮らしてほしい』……それがバウムガルトナー公爵令嬢の望みだ」
かすかに灯った俺の希望は粉々に打ち砕かれた。
「違う……!
俺が好きなのはソフィアだ!
クロリスじゃない!
俺はクロリスには騙されていただけだ……!
公爵、フォンゼル!
ソフィアに俺の想いを伝えてくれ……!」
しかし二人は俺に蔑みの眼差しを向けるだけで微動だにしない。
二人の放つ冷気が強まり、椅子が凍りついた。
「愚か者めもう遅いのだ、何もかもな……。
衛兵、アルウィンを北の塔に連れて行け!」
衛兵が扉を開けて入ってきて、座っていた俺を椅子ごと拘束した。
おしっこが凍りついて椅子から離れられなくなってしまったのだ。
「寂しがることはないぞアルウィン。
追ってお前の愛しいクロリスも同じ所に送ってやるからな。
もっとも一人用の牢なので家具などは一人分しか用意されてないがな。
食事も一人分しか届かないと思った方が良いだろう。
仲良く半分にするようにな」
父上が、冷めた表情で言った。
「陛下その心配には及びませんよ。
殿下とクロリスはなにせ真実の愛を誓い合った仲なのですから」
「そうだな、心配はいらぬな」
「ええ、少ない食料を巡り争うなど真実の愛で結ばれた二人の間には起こり得ぬことです」
少ない食料を巡って争う……?
今までの人生で経験したことのない出来事に、未来への絶望が増した。
執務室から連れ出される俺を、父上も母上も公爵も無言で見送る。
「父上、聞いてください!
俺は騙されただけなんです!
愛しているのはソフィアなんだ!」
俺の叫びは誰にも届くことはなく、虚しく廊下に響いた。
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