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9話「妹が好きすぎる」
しおりを挟むどうやって第一王子を失脚させ、ソフィアの名に傷をつけることなく、義妹を第一王子の婚約者候補から外せるだろうか……毎日義父と一緒に考えた。
そんなときヴァイグル侯爵がクロリスという男爵令嬢を使い、アルウィンにハニートラップを仕掛けているという情報を掴んだ。
上手くいけばソフィアを第一王子の婚約者候補から外せる上に、何かと公爵家を目の敵にしてくるヴァイグル侯爵家を失脚させることができる。
愚かな第一王子はクロリスのハニートラップにまんまと引っかかり、クロリスの言うことなら何でも信じるようになっていた。
第一王子はソフィアがクロリスに嫉妬し、意地悪をしているのだと本気で信じていた。
公爵家もクロリスをただ泳がせて置いたわけではない。
クロリスが自らバケツの水をかぶったり、自分のメイド服に紅茶をかけてわざと染みを作ったり、母親の形見(と本人が言ってるだけの安物)のブローチを壊している瞬間を記録玉に記録していた。
それからクロリスがヴァイグル侯爵令息から密命を受けているところと、情事を交わしているところもしっかり記録しておいた。
そろそろ何か仕掛けて来る頃かなと思っていたとき、王妃からソフィア宛の手紙が届いた。
手紙の内容はソフィアを王宮でのお茶会に招待したいというものだった。
王妃の筆跡ではないのはすぐにわかった。
第一王子が王妃の名を騙って出した手紙だ。手紙は第一王子を失脚させる証拠の一つだ。
第一王子がアホだとは聞いていたが、ここまで愚か者とは思わなかった。
母親とはいえ王妃の名を騙って公爵家を欺いて、ただで済むはずがない。
第一王子に騙されたふりをしてソフィアを王宮に向かわせた。
ソフィアの身に万が一のことがあっては困るので、護衛兼記録係としてソフィアの家庭教師のルーリー先生を義妹と一緒に王宮に行かせた。
ルーリー先生はソフィアの語学教師として隣国から呼び寄せた、伯爵令嬢だ。彼女は護身術の心得もあるので頼りになる。
先生の年は二十歳だが彼女は童顔なので、義妹と同じ歳ぐらいに見える。
ソフィアが王城に着いたら知らせるように部下に指示しておいた。
招待状に記されていたお茶会の時間にはまだ時間があったので、ソフィアを宰相の執務室に呼び出した。
ソフィアは金色の髪に青いリボンを結び、アクアマリン色のドレスを身にまとっていた。
ソフィアは初めての登城とこれから王妃のお茶会に参加することに緊張しているのか、普段より落ち着きがなかった。
そわそわしているソフィアも生まれたての仔猫のようで何とも可愛らしい。
こんな愛らしい義妹を第一王子のいる部屋に送り出すなんて無理だ。
色々と仕掛けはしてあるがやはり心配だ。
ルーリー先生が同席するとはいえ絶世の美少女である義妹を、第一王子が見たらどんな凶行に及ぶか分からない。
僕と義父は応接室の扉の外で控え、ソフィアの様子を見守ることにした。
応接室に向かうためにソフィアを連れて廊下を歩いているとき、すれ違う文官や武官がソフィアのことをジロジロと見ては顔を真っ赤に染めていた。
僕はそのたびに義妹を自身の背に庇い、すれ違った男全員を睨みつけた。
ソフィアのことを不躾に見つめてきた男どもの顔は全員覚えた! 奴らは絶対に出世させん! このロリコンどもめ!
応接室にたどり着き義父が扉を軽く開けた時、中から第一王子の声が聞こえた。
約束の時間にはだいぶ早かったが、第一王子はすでに応接室に来ているようだった。
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