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10話「鏡に映る美しい少女」
しおりを挟む目を開けるとソファーに黒い髪にわしのような鼻の醜い女が、先程まで私の着ていた地味なドレスを着て倒れていた。
バサバサの髪、ボロボロの肌、そばかすだらけの顔、形の悪い鼻……。
「私って客観的に見るとこんなにも醜かったのね」
先ほどまで自分の体だった黒髪の女の体を揺する、だが女は目を覚まさなかった。死んでしまったのかと一瞬ヒヤリとしたが、胸に手を当てると、静かに脈打っていた。
生きているのが分かりホッと息を付く、どうやら私の体に入った妹は、体が入れ替わったショックで気を失ってしまったようだ。
「そうだ呪いの魔本は?」
呪いの魔本は体が入れ替わる前は私の膝の上にあった。だが元の体の膝の上を見たが呪いの魔本は見当たらなかった、念のためにソファーの下やテーブルの下も探したが呪いの魔本は見つからなかった、私がほんの数秒目を閉じている間にどこかに行ってしまったらしい。
悪魔とは元来気まぐれなものだ、私は呪いの魔本を探すのを諦めた。そんなことより……。
「本当に私、エマの体に入れたのかしら?」
姿見の前に移動すると、金色のストレートの髪、サファイアのような青い目、すらりと通った鼻筋、透き通るような白い肌、整った容姿の可憐な美少女が鏡に映っていた。
「これが私……とても美しいわ。素敵、今日からエマの人生が私のものになるのね」
私は鏡の前で一回転した、桃色のスカートの裾がふわりと揺れる。今すぐ踊り出したい気分だがそれを抑える。
長椅子に腰掛け、元の体を優しく撫でる。
栄養失調と過労と睡眠不足で髪も肌も爪もボロボロの元の私の体、もっと栄養のあるものを食べ、休養を取り、高価な美容品を使っていれば、顔の作りが悪くても、もう少し見られたかもしれない
……今更言ってもどうにもならないが。
「エマ、心と体が入れ替わったショックであなたが死ななくて本当に良かったわ。だってあっさり死なれたらつまらないもの。あなたには【アダリズ】として生きて、私が味わってきた苦しみを知ってもらいたいの。エマ、今はゆっくりお休みなさい、明日から地獄の日々が始まるのだから……」
アダリズは明日横領の罪で捕まる、エマがアダリズの体で生きるのは処刑されるまでの期間、およそ一カ月ほどだろう。エマは残りの人生の大半を牢獄で過ごすことになるのね。
「残された期間、アダリズとしての人生を楽しんでね、エマ」
私はアダリズの体に入り気を失っているエマにそう声をかけ、そっと部屋を後にした。
☆☆☆☆☆☆☆☆
ごめんなさい、先に12話が公開されてました。しおりをはさんでくださった100人以上の方すみません!m(__)m
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