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二章
32話「紐なしバンジー! ぴゅーーん!」ざまぁ
しおりを挟む「このクソ猫!
美しいわたしの顔に『阿婆擦れ』『尻軽』『ビッチ』と書くなんて!
わたしはあなたを絶対に許さないわ!」
王太子妃が私を指差しながら、何か話している。
私は本当のことを書いただけだ。
私は部屋に残っていたケットシーの一族の者に合図を出した。
私の指示を受けた一族の者が、王太子妃を取り押さえた。
「離しなさいよ!」
取り押さえられながらも、王太子妃は元気に喚いている。
これから王太子妃には大きな声を出してもらうので、あのくらい元気な方が都合がいい。
「王太子妃を窓から捨てなさい」
私が一族の者に指示を出すと、それまで騒いでいた王太子妃が急に大人しくなった。
「王太子のようにお漏らしはしないでくださいね。
ケルベロスにキャッチしてもらえなくなりますから」
こいつらにはまだまだたくさん罰を受けてもらわなくてはいけない。簡単に死なれては困る。
「やりなさい」
私の命をを受けた一族の者は、王太子妃を持ち上げ窓から豪快に放り投げた。
「ぎゃああああああああっっ!!」
品のない叫び声を上げながら王太子妃が落下していく。
窓の下にはケルベロスがいて、王太子妃を口で上手にキャッチした。
王太子妃の匂いが不快だったのか、ケルベロスはすぐに彼女をペッと吐き出した
ケルベロスの唾液でベトベトになった王太子妃の体が庭に転がる。
今の衝撃で気を失ったのか、王太子妃は庭にうつ伏せに倒れたまま起き上がらない。
まあ、水でもかければ目を覚ますでしょう。
会場にいる人間たちは、王太子妃に起きた一連の出来事を真っ青な顔で眺めていた。
もはや己の顔に書かれた文字のことなど、誰も気にしていない。
「このあと皆さんにも王太子妃と同じ方法で飛び降りてもらいます。
当初は階段を使って庭まで降りてもらう予定でしたが、愚かな王太子と王太子妃の発言を聞いて気が変わりました。
聖女であるリコ様を蔑ろにし、民に圧政を強いる皆様には、重い罰が必要だって思ったのです」
私の言葉を聞いて人間たちはガチガチと歯を鳴らしながら震えている。
「怖いのはわかりますが、お漏らしはしないほうが身のためですよ。
ケルベロスはお漏らしをした人間を口でキャッチするのを嫌がりますから。
ケルベロスにキャッチされなかった方は、そのまま地面に衝突することになります。
あっさり死なれたら困るんですよ。
これから皆様には庭でケルベロスと追いかけっこをしてもらう予定ですから」
人間たちの顔は青を通り越して紫だった。
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