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二章
34話「雷竜の電撃は悪人には痛い。どのくらい痛いかというと……」ざまぁ
しおりを挟む「聖女様を蔑ろにしたこと……まことに申し訳なかった」
国王が床に膝を付き、私に向かって頭を下げた。
ようやくまともな謝罪が聞けました。
もっともこの程度のことで許す気はありませんが。
「し、しかし聖女様の召喚の件は神も了承していると聞きました……。
過去にも何人かの聖女様が神の導きのもと、この国に召喚されています……」
国王は言い訳を始めた。
「あなた方が『神』と呼んでいる存在は、本当の神ではない!」
「なんと……! そんな……まさか!」
私の言葉を聞いた国王は、驚きを隠せないようだ。
「瘴気を浄化する能力を持ちながら仕事を怠け、自分が楽をするために人間に聖女召喚の儀式を許可し、あまつさえ聖女召喚に協力した見返りに多額の供物を要求し、聖女に仕事を押し付けて遊び呆け、怠惰な暮らしをするような奴が神様なはずが無い!」
少なくともケットシーの一族はあんな奴を神とは認めない!
いけませんね、私としたことが思わず冷静さを欠いてしまいました。
私は気を取り直し穏やかに言葉を紡ぐ。
「でもまぁそうは言っても、瘴気に苦しんでいるときに、不思議な力を持つ自称神が現れ、聖女を召喚するように言われたら、ただの人間にすぎないあなた方には断るのは難しかったでしょう」
「では許してくださるのですか?」
私の言葉を聞いた国王の目に希望の光が宿る。
「そうですね、私も鬼ではありません。
国民と善良な貴族は許します」
国王が安堵の表情を浮かべる。
「安心するのはまだ早いですよ。
許すのは善良な人間だけです。
悪人にはもれなく罰を与えたます」
私がそう伝えると、国王は安堵の表情から一転し不安気な表情を浮かべた。
「大丈夫ですよ、罰と言っても命までは取るつもりはありませんから。
ちょっと窓から落下して貰って、少しだけケルベロスの口に入って貰って、最後に庭でケルベロスの一族と追いかけっこをして貰うだけですから。
追いかけっこの時間は夜が明けるまでの数時間を想定していますが、ケルベロスの気分次第では延長もあります。
心配はいりませんよ、長くても三日あれば終わるでしょうから。
そうそう、追いかけっこだからと気を抜かない方がいいですよ。
なにせケルベロスの一族は遊びに夢中になると、手加減が出来なくなりますから。
こちらとしてはあなた方が死にさえしなければ、手や足の一本や二本無くなっても気にしないので、充分に注意を払ってケルベロスとの追いかけっこを楽しんでくださいね」
私が笑顔でそう告げると、国王は口から泡を吹いて倒れてしまった。
庭を見るとケルベロスが五頭に増えていた。
スイーツの食べ放題と追いかけっこにつられたケルベロスの親族が、集まってきたようですね。
ケルベロスが五頭もいれば、鬼役には困らないでしょう。
「ケルベロスとの追いかけっこの後は、雷竜の電撃を全身に浴びてもらいます。
雷竜の電撃は善人にはピリッとくるぐらいで問題ありませんが、悪人が電撃を浴びるととっても痛いです。
例えるなら馬車に引かれたあとムチで打たれ、その後手と足の指を一本一本針でザクザク刺されるぐらいの痛みです。
痛みに耐えきれなくて、魂が口から抜け出してしまわないように気をつけてくださいね」
私がそう説明すると、「ひぃぃぃっ!」と悲鳴を上げ気を失って倒れるご婦人が続出した。
気を失ったぐらいでは許さない。気を失ったご婦人方には後で水をかけてやろう。
私の考えた罰からはここにいる誰一人逃げられないんだよ。
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