幼なじみに婚約破棄された僕が、隣国の皇子に求婚されるまで・BL・完結・第9回BL小説大賞、奨励賞受賞作品

まほりろ

文字の大きさ
1 / 131

一話「婚約破棄」

しおりを挟む

濁流にのまれ、体が沈んで行く……あっ、俺死んだな。

せっかく前世の記憶を取り戻したのに、即行バッドエンドかよ……。



◇◇◇◇◇



「ザフィーア・アインス! 貴様に婚約破棄を言い渡す!」

凛とした声が響き、皆の注目が一人の男性に集まる。

栗色の髪、黄玉おうぎょくの瞳、濃紺のジュストコールに身を包んだ若く凛々しい王太子殿下。

王宮の大広間、今日は王立学園の卒業パーティ。卒業生の他に一、二年生も数多く参加している、僕もその一人だ。

会場がざわめく中、僕は王太子殿下のご友人に取り押さえられ床に膝をついた。

見上げれば氷のように冷たい顔をした王太子殿下と、その隣に今にも泣き出しそうな顔の神子様がいた。

「エルガー様、これは……いったい」

訳が分からず婚約者に……いえ今となっては元婚約者というべきでしょうか? 幼なじみの王子様に助けを求める。

筆頭公爵家に生まれた僕は、生まれる前から王太子のエルガー様との結婚が決められていた。

僕はずっとエルガー様のためだけに生きてきた。

エルガー様が長い髪が好きとおっしゃったから髪を腰まで伸ばした、獣臭い男は嫌いだとおっしゃるからその日から肉も魚も口にしなくなった。

今日もエルガー様から贈られた黒のジュストコールを身に着けてきました。

着るものも、読む本も、聴く音楽も、全てエルガー様の趣味に合わせて来たのになぜ? どうしてそのようなことをおっしゃるのですか?

「分からないという顔をしているな、ならば皆の前で貴様の犯した罪を言ってやろう!」

僕が犯した罪?

エルガー様がまるでゴミでも見るような目を僕に向ける。

僕はエルガー様に何をしてしまったというのですか?

「貴様は水の神子であるアオイに嫉妬し、アオイに対し数々の嫌がらせをしてきた!」

エルガー様が隣に立つ神子様の肩に手を置く。神子様はエルガー様の濃紺のジュストコールをキュッと掴んだ。

ズキリと心臓が痛む。

立花葵様は一年前に異世界から現れた。

この世界にはない神秘的な黒の髪と黒真珠のような瞳を持つ、華奢で儚げな少年。

アオイ様は神竜メルクーア様の加護を受け、水の神子としてこの国に迎えられた。

水の神子は神竜に祈りを捧げ、雨を降らすことができる。

アオイ様も二度、その奇跡を起こされている。

雨の国と言われるレーゲンケーニクライヒ国では、百年のうち十年間天候が乱れ雨の降らない日が続く。

異世界から現れた神子様が水竜メルクーア様の加護を受け、祈りを捧げることで天候は安定し、その後九十年間の安寧が得られる。

そういう理由があって、水の神子様は国王陛下の次に大切にされている。

その水の神子様に……アオイ様に僕が嫉妬? 嫌がらせ?

「アオイの悪い噂を流し孤立させ、食事に虫を入れ、階段から突き落としケガをさせた! それだけは飽き足らず男にアオイを襲わせた!」

エルガー様が何を言っているのか、僕には分からない。

「エルガー様、僕はそんなこと……」

「しらばっくれるな! 証人がいるんだ!」

証人? やってもいないことに証人がいる?

「証人、前へ!」

いつの間にか僕たちを取り囲むように人だかりができていた。やじ馬の中から少年が四人、王太子殿下の前に進み出た。

四人とも見たことがない生徒だった。

「順番に自分のしたことを話せ!」

「はい、ぼくはザフィーア様に言われ神子様の悪口を広めました」

「俺はザフィーア様の命令で、神子様の食事に虫を入れました」

「私は、ザフィーア様に金をもらい神子様を階段から突き落としました」

「オレはザフィーア様に脅され神子様を襲うように言われました。神子様を人気のない場所に呼び出して押し倒したのですが、途中で怖くなって……そこに王太子殿下が」

この人たちは何を言っているの?

身に覚えのない罪を並べられ、困惑で言葉が出てこない。

「オレが通りかからなかったらどうなっていたことか!」

「エルガー様、ボク怖かった」

アオイ様がエルガー様に抱きつき、エルガー様が神子様の頭をよしよしとなでる。

純白の衣に身を包み、目に涙を浮かべるアオイ様は天使のようだった。

僕の心臓がバクバクと嫌な音を鳴らす。目の前でエルガー様とアオイ様の仲睦まじい姿を見せられ、胸が張り裂けそうになる。

「その目、アオイが現れてから貴様はいつもその目をオレやアオイに向けてきた! 陰気で淀んだ悪魔の瞳で!」

エルガー様は僕の目がそんなに気に触ったのだろうか? エルガー様が嫌うなら目をくり抜いてもよかったのに……。

「エルガー様、僕は……!」

「うるさい! 貴様の声など聞きたくない! 耳障りだ!」

僕はただエルガー様のお側にいたかっただけなのです。

エルガー様がアオイ様に格別な思いを抱いていることに気づいていました。アオイ様がエルガー様を慕っていることにも。

僕はエルガー様をお支えできるなら、婚約者でなくてもよかった。愛人でも、家臣でもよかった。

なのにエルガー様は、僕が側にいることすら許してくださらないのですね。

「これだけ証人がいて、まだ白を切るというのか!」

「僕は……」

僕には何一つ身に覚えのない事です。

「もういい尋問はプロに任せる! 連れて行け!!」

僕を取り押さえていた男に無理やり立たされ、突き飛ばされ強引に歩かされた。

「エルガー様、僕は何も……!」

エルガー様は僕を見ていなかった、エルガー様の視線はアオイ様に注がれていた。

僕と目があったアオイ様が、口元を歪ませくすりと笑ったように見えた。

僕はアオイ様にはめられたのだとこの時気付いた。


◇◇◇◇◇


暗い部屋、冷たい床、ベッドも椅子もない。

僕は部屋の隅にうずくまり、膝を抱えていた。

二つの足音が近づいてきて、牢の前で二、三話したあと、一つの足音は遠ざかっていった。

ガシャンと音がして、鉄格子の扉が開く。

「なんてざまだ」

「お父様……!」

泣き腫らした顔で見上げると、銀色のジュストコールが目に入った。

「お父様、僕は……」

パン! と音がして、左頬がじんじんと腫れ殴られたのだと気づいた。

「アインス公爵家の恥さらしが!」

僕を見るお父様の顔は冬の空のように凍てついていた。

「……ごめんなさい、でも僕は」

「お前が何をしたかは問題ではない、お前は政治的な駆け引きで異世界から来たぽっと出の子供に負け、王太子の婚約者の立場を失った、お前を見限るにはその事実だけで十分だ」

お父様の言葉が暗い地下室に響く。

「ですがエルガー様は僕に服を……」

僕がパーティで身に着けていた漆黒の服は、王太子殿下に贈られたもの。

「お前には夜を連想させる真っ黒な服を、神子には天使のような純白の服を着せたか、あの王子にしてはうまく演出したものだ」

お父様が鼻で笑う。

「えっ……?」

今日パーティで僕が着ていた服は、昨日王太子殿下の名前で公爵家に届けられたものだ。

王太子殿下からの初めての贈り物に、僕は舞い上がっていた。

「その服を贈った時点で王太子はお前を断罪することを決めていた。そうとも知らずお前は王太子から贈られた服を着てのこのことパーティ会場に現れたわけだ」

「そんな……」

両手で自分の体を抱きしめ、服をぎゅっと掴む。

「私の力で尋問は無くした、陛下が不在ゆえ王太子に掛け合い国外れの教会で数年過ごすだけですむことになった。教会から出たあとのお前の使い道はそのとき考えるとしよう」

「……はい、お父様」

お父様にとって僕は、公爵家のための道具でしかないのですね。

「教会から逃げ出そうなど無駄なことは考えるな、これ以上公爵家の名に傷をつけるな」

「……はい」

それだけ言うと、お父様は牢から出て行った。


◇◇◇◇◇


翌日、教会まで移送されることになった。

粗末な白の上下の服に着替えさせられ、国外れにある教会まで歩いて向かう。

罪人が馬車を使うなどぜいたくだそうだ。

靴がないので裸足だ。

王都から街道に出るための道にはたくさん人が集まっていた。

罪人の護送は娯楽の少ない民にとって、格好の見せ物で憂さ晴らしなのだ。特に身分の高いものが落ちぶれて都を去って行く姿を見ると、日頃のうっぷんが晴れるらしい。

「今度の罪人は随分と幼い子だね、何をやらかしたんだい?」
「知らないのかよ、水の神子様に毒をもったんだぜ!」
「それはとんでもない性悪だね!」

いつの間にか僕の罪状には尾ひれがついていた。

「神子様を屋上から突き落とそうとしたり、柄の悪い男たちに襲わせたこともあるらしい」
「神竜メルクーア様に愛される神子様になんて罰当たりな、可愛い顔してやってることは悪魔だね」
「水の神子様のおかげで日照り続きの大地に雨が降ったっていうのに、とんだ罰当たりだ」
「そんなことをしでかした奴は当然死刑なんだろ?」
「それが、お偉い公爵様の息子らしく教会に幽閉されるだけで済むらしい」
「そんなバカな話があってたまるかい!」
「そうだろう、だからオレたちで天誅を下してやろうぜ! 死ね! 悪魔!」

民が投げた小石が僕の体に当たる。

「くらえろくでなし! 天誅!」
「消えろ!」
「くたばれ! 化け物!」

汚い言葉とともに、石や果物などを投げつけられる。

手を縛られている僕には防ぎようがない。もっとも手を縛られていなくても、防ぐ気力も起きないが……。

「止めろ! 罪人の護送中だ!」

兵士の一人が止めに入るが、民衆からの罵声は王都を出るまで止むことはなかった。



◇◇◇◇◇



国境の近くに建てられた古い教会まで、馬車で一日、徒歩で三日。

三日の間に服の裾は擦りきれ、道端の石ころが僕の足に傷をつけた。

回復魔法を使えるが、そんなことをして何になるのか。

王太子殿下に疎まれ、お父様に捨てられた僕に、生きてる価値など……。

「着きましたよ、ザフィーア様」

兵士の言葉に顔を上げる。

だがそこには教会はなく深く切り立った崖がどこまでも続いていた。谷底を流れる川の音が耳に届く。雪解けの季節で川の水が増しているのか、ゴーゴーと流れる水の音は嘆き声のように聞こえた。

「恨みはないのですが、死んでいただきます」

兵士の一人が剣を抜くと、他の兵士も剣を抜き僕に向かって構えた。

後ろは崖、前には複数の兵士、逃げ場はない。

王太子殿下は僕をそこまで嫌っていらしたのですね……。

それともこれは神子様の……。

どちらでもいい、もうどうでもいい。

王太子殿下のお側にいられないなら、僕に生きる意味などないのだから。

そんなものを使う必要はないよ、僕は一人で死ねるから」

僕は崖を背に立ち、背中に体重をかけた。体が傾き地面が遠くなっていく。

兵士たちが崖の縁に駆け寄り、落ちていく僕を呆然と眺めていた。

さよなら、エルガー様。

エルガー様が死ねと望むなら、僕は喜んで死を選びます。

こんなことになっても僕はあなたのことを……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する

SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する ☆11/28完結しました。 ☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます! 冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫 ——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」 元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。 ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。 その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。 ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、 ——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」 噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。 誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。 しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。 サラが未だにロイを愛しているという事実だ。 仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——…… ☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

優秀な婚約者が去った後の世界

月樹《つき》
BL
公爵令嬢パトリシアは婚約者である王太子ラファエル様に会った瞬間、前世の記憶を思い出した。そして、ここが前世の自分が読んでいた小説『光溢れる国であなたと…』の世界で、自分は光の聖女と王太子ラファエルの恋を邪魔する悪役令嬢パトリシアだと…。 パトリシアは前世の知識もフル活用し、幼い頃からいつでも逃げ出せるよう腕を磨き、そして準備が整ったところでこちらから婚約破棄を告げ、母国を捨てた…。 このお話は捨てられた後の王太子ラファエルのお話です。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

処理中です...