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三十話「駅馬車の旅⑥」
しおりを挟む森の中をものすごいスピードで駆けぬける。
強盗犯に手を引かれ転ばないように走っていた。
馬車から離れた所まで行ったら、魔法で強盗を攻撃するつもりだ。
俺になってから、魔法を使ったことがないのでどの程度威力があるのか分からない。
周りを巻き込まないために馬車から離れた方がいいと判断した。
ザフィーアの記憶を紐解く、えっとザフィーアが習得している呪文は……回復と最大・回復……ってそれは回復呪文だ。攻撃呪文か相手を行動不能にする呪文は……?
「眠り!」
そう眠り……相手を眠らせる呪文……って、えっ?
「ここでお別れだお嬢ちゃん、眠ってる間に指輪はいただくぜ!」
強盗犯の体がぐらりと揺れたように見えた。
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