幼なじみに婚約破棄された僕が、隣国の皇子に求婚されるまで・BL・完結・第9回BL小説大賞、奨励賞受賞作品

まほりろ

文字の大きさ
48 / 131

四十八話「白のベビードール②」*


ノヴァ視点

昨日までシエルの着ていた服と、シエルの使用したバスローブやタオル類などはコレクションとして魔法の空間ツァウバー・ラウムにしまった。

着る服がなくて全裸なのは分かる、だが抱きつかれた理由が分からない。

理由はどうあれシエルから抱きついてくる事などめったにないので、シエルの背に手を回し、すべすべした肌の感触を堪能する。

手を下に移動し尻をもみしだこうとしたとき、シエルのすすり泣く声が聞こえた。

心臓がドクドクと音を鳴らす、どうしてシエルは泣いているのだ??

尻を撫でるのを諦め、頭をそっと撫でる。

「ノヴァさんのバカ! どこに行ってたんですか!?」

シエルが上目遣いで私を見据える。

「起きたら隣にノヴァさんがいないし、お風呂にもトイレにも隣の部屋にもいないから……消えちゃったのかと」

シエルの瞳は涙で濡れていた。

「すまない、不安にさせた」

シエルに一声かけてから部屋を出るべきだった。

私が部屋を空けたのは五分ほどだが、その間に目覚めたシエルには長く感じたのかもしれない。

「うっ、ひっく……怖かった……、ノヴァさんに、捨てられたのかと思った」

瞳をうるうるさせて震えるシエルも愛らしい、押し倒したい!

いや違う、図らずもシエルを泣かせてしまった。

「私がシエルを捨てるはずがない!」

頬の涙を拭い、桃色の唇に自身の唇を重ねる。

「俺、ノヴァさんがいない生活なんて……もう出来そうにないです」

可愛い顔でなんといじらしい事をいうのだ! シエルの背に腕を回し強く抱きしめた。

「それは私も同じだ! シエルのいない世界で生きていくなんて考えられないし、耐えられない!!」

そんな悲しい想像をさせないでくれ! 

「愛しているシエル!」

「俺も……ノヴァさんが好きです」

唇を重ね舌を口内に侵入させ舌を絡めとる。シエルの小さな尻をもみしだき、アナルに指を入れ中を解かそうとしたとき……。

「ん、だめ……! ノヴァさんが黙って部屋を出ていった理由を説明するのが先です!」

胸を叩かれ拒否されてしまった。ポカポカと私の体を叩く仕草もキュートだ。シエルは愛らしさの塊だ。

初めて会ったとき、人工呼吸をキスと勘違いされ頬を殴られた。あの時から、私はシエルに殴られる事に密かに快感を覚えている。

その華奢な体と可憐な手でもっと私を殴ってくれ……!

竿に熱が集まる、硬くなった肉棒をシエルの細い腰に押し付けると、シエルに頬をつねられた。

「ノヴァさん……!」

私を睨むシエルの目が笑っていない。これは真剣に謝らないと半日無視されるパターンだ!

「すまない、食事と服を取りに行っていた。黙って部屋を出たのはシエルが気持ちよさそうに寝ていたからだ」

「本当にそれだけですか?」

シエルが私の胸に顔を埋め、くんくんと服の匂いを嗅ぐ。

そういえば先ほどの従業員は香水の匂いがきつかったな、食事を運ぶ者としては失格だ。

「シエル、この匂いはその……」

やはりあの従業員は殺しておくべきだった。

「ごめんなさい、俺ノヴァさんのこと疑ってました……部屋に入って来たときノヴァさんからいつもと違う香水の香りがしたから……でもノヴァさんの服からはその香りはしなくて」

従業員の香水の匂いは私にはうつっていなかったのようだ。ホッと息を吐く。

「服と食事を運んできた従業員の匂いだ、やたら香水がきつい男だったからな、匂いが廊下に充満していたのだろう」

「そうだったんですね、ごめんなさい」

シュンとうなだれるシエルが可愛い♡ 許す! シエルが何をしても私は許す自信がある!

これはまさか嫉妬? シエルがヤキモチをやいてくれたのか?

出会ったばかりの頃、酒臭い男について行こうとしたり、娼館で働こうかと口にしていたシエルが、私と離れたくないと涙ぐみ、他の男の匂いに嫉妬してくれるなんて! 嬉しくて死ねる! いやシエルを残しては死ねん!!

「シエルを一人にし不安にさせたのは私だ。全部私が悪い」

「ノヴァさん……!」

シエルの心臓がキューン♡と音を立てた、私には聞こえた!

シエルの表情に私の心臓もキュンキュン♡している!

「食事にしよう」

「その、先に服を見せてもらってもいいですか? 昨日まで俺が着ていた服と靴、それから宿のバスローブとタオルが見当たらなくて……」

シエルが使用したものは、全て魔法の空間ツァウバー・ラウムに保存している。

シエルの使用済みパンツは最優先で回収している。

私と二人きりのときシエルには全裸でいてほしい! 宿にいる間中、私のペニスをシエルのアナルに入れっぱなしでいたい!

「今までの服では防御力が心配なので、新しい服を用意した」

小さな村で間に合わせに買ったものだからな、防御力には不安があった。シャツ一枚で外をうろうろするよりはましというレベルだ。

この宿に入るとき、シエルの服装を見て眉間にシワを寄せた従業員もいる。着ているものでしか人を判断出来ない俗物め、後で消そう。

「旅はいつどこで何が起こるか分からない。防御力は高いに越したことはない」

金に糸目をつけずこの街で手に入る最上級の装備を用意した! 王都に着いたら兄上に相談し、この国の最強の装備を贈ろう!

「そうだったんですね、でも俺お金持ってなくて……」

シエルが申し訳なさそうに言う。

私の妻になったのだから、金のことなど心配しなくてよいのに。

そんな慎ましやかなところも、シエルの美点だ。

「気にするな、シエルには最高の品を身に着けていてもらいたい」

「でも……」

「装備とは別に趣味で用意した服がある。その服を着てくれたら他の服はプレゼントしよう、それでどうだ?」

「ノヴァさんが趣味で用意した服ですか?」

キョトンした顔でシエルが小首をかしげる。

可愛い! 今すぐに押し倒したい!! 入れたい! 喘がせたい! シエルの感じる所を突きまくりたい! 中に出したい!!

生唾を飲み込み、僅かな理性で欲望を抑える。

「着てくれるのか?」

「えっ? そうですね……ノヴァさんにはいつもお世話になってますし」

「着てくれるのだな?」

「はい」

はにかみながらシエルがこくん頷く。

よし! 言質げんちは取った!

「で、ではこの服を着てくれ!」

その服を着たシエルと愛し合いたい……!

私が紙袋から取り出した服を見て、シエルが顔を赤らめる。

胸元を飾る小さなリボン、ウエストを彩るレース、透け感のある長めのスカート。

ラグドール……いや違うそれは猫の種類だ。ロング丈のベビードール、色は清楚な白。

「へ、変態……!」

パシン! と音がして左頬がヒリヒリと痛む。

シエルの清らかな口から「変態」などという、俗世の言葉が出て来ようとは……!

萌える! 平手打ちも痺れた!

「白は嫌だったか? なら黒や赤、水色やピンクのベビードールを……!」

紙袋から別のベビードールを取り出すと、シエルの顔が耳まで赤くなった。

バシーン! 反対の頬も殴られた。シエルは照れ屋だな。

「ベビードールは嫌いか? では、ブラジャーとパンツだけでも……」

私が取り出したのは三角形に編まれた紐が乳首を強調しているデザインのブラジャーと、レースのTバック。

色はホワイト、シエルには純白が似合う。

「シエルの胸はちょっとの刺激でも感じてしまうだろ?」

シエルの胸の突起を指で突くと「ひやっ♡」と愛らしい声を上げ、シエルが胸を抑えた。

私が毎日、舐めたり、吸ったり、指でいじったりした甲斐があった。指の隙間から覗くシエルの胸の飾りは、ぷっくりと立ち上がっていた。

「シエルにはブラジャーが必要だ」

指で軽く触れただけでもこんなに感じてしまうのだ、激しい運動などをして服で乳首が擦れたらどうなってしまうことか。

紐のブラジャーを手にシエルに迫ると、顔面をグーで殴られた。シエルの愛情表現は過激だ。



◇◇◇◇◇

あなたにおすすめの小説

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する

スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。 そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。 完結しました!ありがとうございました。

【完結。一気読みできます!】悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!!