92 / 131
九十二話「アモルド・ジーゲル①」***
しおりを挟むーーアモルド・ジーゲルーー
「あっ、あっ! ん……はっ、ふぁっ……! いいよ、ふっ、あっ、はぁ……! なかなか上手じゃないか!くっ殺兵士くん……!」
私の上ではしたなく乱れる裸の男。頬を紅潮させ、口の端は邪悪に弧を描く。
わたしの両手、両足を拘束する鎖がガチャガチャと音を立てる。
王太子殿下の婚約者の身分にありながら、他の男の竿を咥えるなど……なんと下劣な! この男は聖なる神子などではない、アバズレだ!
「くっ……!」
「ふぁああっ……!」
こんな男の尻に私のものなど入れたくない! イきたくない! なのに体が勝手に反応してしまう……!
「いっぱい出たね、溜まってた?」
「くっ……!」
「いいね、その反抗的な目。さすがくっ殺兵士くん」
お前のせいでザフィーア様は……!
母と妹が人質に取られていなければ、この手で殺している!
両手、両足を鎖で繋がれていても、気合で殺してやる!
「童貞の男根はいいね! おいしかったよ、くっ殺兵士くんごちそうさま」
そう言って水の神子は、唇を醜く歪めた。
神子が尻を上げると、だらり白濁液が流れ落ちる。
「妊娠のことは心配しなくていいよ、ちゃんと避妊薬を飲んでるからね。流石に王太子以外の子を生むのはまずいでしょ?」
この国はセックスは子作りのために仕方なく~なんて古臭い考えの人しかいないから、避妊薬を手に入れるのに苦労しちゃったよ、と神子は続けた。
この男に王太子殿下を裏切っていることへの罪悪感など微塵もない。とことん見下げ果てた奴だ。
「神子様、王太子殿下がお呼びです」
治療魔法士が神子の体を清め、ローブを着せる。
「えーまたなの? このあと二、三人童貞を食う予定だったのに」
神子がめんどくさそうに答える。
「王太子殿下は神子様と床を共にしたいそうです」
王太子はザフィーア様を裏切り、こんな男と婚姻前に性行為を重ねているのか! 獣共め!
しかも今は四句節、復活祭の前、四十日間は性行為は禁止されている!
民の身本になるべき王太子がなんと淫らな!
やり場のない怒りがこみ上げ、奥歯をぎりりと噛む。
「あの王子様、下手くそだから嫌なんだよね。下手のくせに体位を変えて二回も三回もやりたがるし」
性行為は子作りの為に一度だけするものだ! 全裸でしてはいけないし、夫婦間でしかしてはならない、体位も正常位のみときめられている!
神子も神子なら王太子も王太子だ! この二人に倫理観はないのか!
「やれやれ性欲の強い王子様の子守も大変だ。くっ殺兵士くん、君の男根なかなか良かったよ、気に入ったからまた遊んであげるね」
神子がわたしに向かってウィンクをする。
このような下劣な行為の相手を、今一度させるというのか! なんたる屈辱……!
「神子様に飽きられた者は…………ーア様の胃におさまるしかないというのに……。神子様に二度も相手をしていただけるなどとても幸運なことですよ。己の運の良さに感謝しなさい」
治療魔法師がしたり顔でほざく。
ふざけるな! 誰が汚れた神子になど感謝するか!
神子と治療魔法師が部屋を去ると、白い服を来た男たちが部屋に入ってきた。
白い服の男たちに体を拭かれる、奴らは体を拭き終えると、私の鼻に布を当てた。
その途端視界がぐらりと揺れ、意識が朦朧とした。
薄れていく意識の中、両手、両足を拘束していた手錠が外される音が聞こえた。
◇◇◇◇◇
271
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆4月19日18時から、この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」を1話ずつ公開予定です。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
優秀な婚約者が去った後の世界
月樹《つき》
BL
公爵令嬢パトリシアは婚約者である王太子ラファエル様に会った瞬間、前世の記憶を思い出した。そして、ここが前世の自分が読んでいた小説『光溢れる国であなたと…』の世界で、自分は光の聖女と王太子ラファエルの恋を邪魔する悪役令嬢パトリシアだと…。
パトリシアは前世の知識もフル活用し、幼い頃からいつでも逃げ出せるよう腕を磨き、そして準備が整ったところでこちらから婚約破棄を告げ、母国を捨てた…。
このお話は捨てられた後の王太子ラファエルのお話です。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる