【完結】転生したら少女漫画の悪役令嬢でした〜アホ王子との婚約フラグを壊したら義理の兄に溺愛されました〜

まほりろ

文字の大きさ
6 / 50

六話「ディアーナ・フォークト、十三歳の春」②

しおりを挟む


ふかふかのベッド、甘い香り、頭を撫でる大きな手……。

どこだろうここ……? 天国……?

「ディアーナ、気がついたかい?」

プラチナブロンドの髪、サファイアの瞳、白磁のようにきめ細やかな肌、神様に愛されて造形された美しい顔。

まだ幼さを残す整った顔、少年と青年の間の一番いい時期。

天使だ、天使がいる……やっぱり私死んでしまったのね。

「ディアーナ、僕が誰だか分かるかい?」

細くて形の良い眉、長くて綺麗なまつ毛、涼やかな目元、すっと通った鼻筋、ピンク色の唇、やや低めの美声。

どっかで見たことがあるような……ああそうだ、部屋に貼ってあったポスター。

「愛しのフリード様だぁぁ……ポスターから抜け出して来たの?」

私の言葉を聞いた天使が顔を赤らめる。

「愛しのフリード様……? ディアーナは僕をそんな風に思っていたのか? いや、それよりも呼び方……!」

天使が驚いた顔をしている。

美少年はびっくりした顔も絵になるなぁ。

というか、さっきからディアーナって呼ばれてるけど……ディアーナって誰?

聞いたことはあるんだよね、なにかの漫画に出てきたような?? なんだったかな??

思い出した! 少女漫画「クリンゲル学園の天使」の悪役、公爵令嬢のディアーナ・フォークト!

金髪碧眼の美少年がフリード公子で、私をディアーナって呼んでいる……?

んんんん??

「ちょっと待って、私ディアーナ・フォークトになっちゃったの!!」

かばっと上半身を起こすと、めまいがした。

「急に起き上がってはだめだよ、まだ横になっていないと」

ベッドの横に座る美少年が私の頭を撫でる。

やさしい手つきだなぁ、寝ているときに頭を撫でてこの手だった気がする。

じゃなくて……!

「フリード様……じゃない、お兄様、鏡、鏡ありますか?」

取り乱す私をキョトンとした顔で見ているフリード様。

「大丈夫、顔に傷は出来てないよ」

フリード様の手が私の頬に触れる。

距離が……! 漫画のイチ推しキャラとの距離が近い!
 
「そうかもしれないですが、鏡を今すぐ見て自分の目で確かめたいのです」

フリード様から顔をそむけ、手で顔を覆う。

きっと今真っ赤な顔をしている。義理とはいえ兄に顔を触られて赤面するとか……絶対変に思われた!

「少し待っていてくれ」

フリード公子が席を立ち、鏡台から手鏡を持ってきてくれた。

「ありがとうございます、お兄様」

「どういたしまして」

フリード様が笑顔で手鏡を手渡してくださる。

推しの笑顔が尊い……! 眼福、眼福!

喜んでいる場合ではない。フリード様から受け取った手鏡を覗き込む。

太陽のように輝く金色のウェーブのかかった髪、蒼玉色の瞳、ちょっとツリ目がちな大きな目、雪のように白くきめ細かな肌、桃色の唇。

勝ち気そうな美少女が困惑した表情をしている姿が写っていた……これが私!?

この顔間違いない、漫画より幼いけど、「クリンゲル学園の天使」の悪役令嬢、ディアーナ・フォークトだ!
 
嫌ーー! 少女漫画で断罪されて殺される悪役令嬢になってるーーーー!!

バタリ……!

私は鏡を持ったまま失神した。

「ディアーナ、しっかり!」

フリード様の美声が部屋の中に響いた。



しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

婚約破棄で、おひとり様になれるはずだったのに!?

パリパリかぷちーの
恋愛
主人公ルシアン・ヴァイオレットは、「悪役令嬢」として振る舞う孤独愛好家の公爵令嬢。念願だった第一王子アランとの婚約破棄を言い渡されると、内心では歓喜し、大都会の喧騒から逃れて森の奥の廃墟同然の別荘へと引きこもる。ルシアンの目的は、誰にも邪魔されない至高の静寂ライフを満喫することだった。 しかし、彼女の理想郷にはすでに先客がいた。それは、無口で無愛想だがハイスペックな謎の男、キース。実は彼は、王国の裏社会を統べる『影の英雄』と呼ばれる辺境伯であり、ルシアンの孤高の姿に心奪われた重度の隠れファンだった。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

悪役令嬢発溺愛幼女着

みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」  わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。  響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。  わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。  冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。  どうして。  誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

処理中です...