【完結】転生したら少女漫画の悪役令嬢でした〜アホ王子との婚約フラグを壊したら義理の兄に溺愛されました〜

まほりろ

文字の大きさ
14 / 50

十四話「フリード様と仲良くしよう」②

しおりを挟む

キィィン! カキィィン!

剣と剣がぶつかり合う音。

フリード様が剣を振るう度に揺れる金色の髪、飛び散る汗。

今まで見たどのスチル絵より、麗しいおフリード様がそこにいた。

相手が膝をつくとフリード様が剣を振り下ろした。

パキィィィィィンン!

相手の剣が折れ、剣先はくるくると回転して訓練場の端に突き刺さる。

フリード様が相手の首もとに剣を突きつける。

「降参です、フリード様、腕を上げられましたね」

相手の男が両手を上げて降参のポーズを取る。

「今日はたまたま運が良かっただけです。僕などまだまだですよ、先生」

フリード様が剣を鞘にしまい、相手の男に手を差し出す。

フリード様の相手をしていたのは、剣術の先生だったのね。

さすが剣神の才能もちのフリード様、十五歳にしてその才能を発揮。先生すらもはや敵ではないのね。

「うわぁぁ! すごいです! お兄様!」

パチパチパチパチと拍手を送ると、フリード様は驚いた顔でこちらを見た。

「ディアーナ来ていたのか?」

「はい、お兄様の剣術の訓練を見学したくて」

フリード様の顔がほころぶ。

「お邪魔でしたか?」

コテンと首をかしげると、フリード様の頬が赤らむ。フリード様は手で口元を抑え私から視線を逸した。

「いや、邪魔ではないが危ないから……次からは見学するときは事前に知らせてくれ、訓練場に結界を張っておく」

「はい」

そういえば、漫画のディアーナはフリード様に斬られて死ぬのよね。

フリード様をなんとか味方に出来ないかしら?

私はユリアに意地悪する気も殺す気もない、だけど何が起きるか分からない。漫画の強制力で冤罪を着せられ、断罪されるかもしれない。

フリード様と仲良くしておけば、卒業パーティーで斬り殺されるところを、峰打ちで済ませてもらえるかもしれない。

「お兄様、お茶をお持ちしました」

「ありがとう」

「お茶を淹れたのも運んだのもメイドさんで、私はメイドさんの後をついてきただけなんですが」

「それでも嬉しいしよ、ありがとう」

フリード様が私の頭をよしよしと撫でる。

金色の髪、サファイアの瞳、白磁のようにきめ細やかな肌、やっぱり近くで見ると美形だ。(遠くから見てもかっこいいけど)

フリード様のお顔が近い、唇が触れ合ってしまいそう。

「あの、私帰りますね」

「待ってディアーナ」

ふわわわっ!! フリード様に手を掴まれてしまった!

「せっかくだから一緒にお茶を飲もう」

「えっ、ですが……」

チラリとティーセットを見る、ティーカップが二つ、フリード様と先生の分では。

「先生、今日の訓練はここまでにしましょう」

フリード様が私の考えている事が分かったようで、先生に視線を向ける。

「そうだね、弟子にお気に入りの剣を折られてメンタルボロボロなので今日の訓練はここまでにしよう。それに私がいたらお邪魔なようだしね」

先生はフリード様にウィンクをすると、折れた剣先を拾い帰って行った。

「君ももう下がっていいよ」

「かしこまりました」

フリード様に言われ、ティーセットを運んでくれたメイドさんも帰っていく。

「これで邪魔者はいなくなった……」

「はいっ?」

フリード様、今何かおっしゃいました。

「なんでもないよ、こちらの話だ」

フリード様がにこりと笑う。

爽やかな笑顔やばい! 好きになってしまう!


しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

モブ令嬢、当て馬の恋を応援する

みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。

婚約破棄で、おひとり様になれるはずだったのに!?

パリパリかぷちーの
恋愛
主人公ルシアン・ヴァイオレットは、「悪役令嬢」として振る舞う孤独愛好家の公爵令嬢。念願だった第一王子アランとの婚約破棄を言い渡されると、内心では歓喜し、大都会の喧騒から逃れて森の奥の廃墟同然の別荘へと引きこもる。ルシアンの目的は、誰にも邪魔されない至高の静寂ライフを満喫することだった。 しかし、彼女の理想郷にはすでに先客がいた。それは、無口で無愛想だがハイスペックな謎の男、キース。実は彼は、王国の裏社会を統べる『影の英雄』と呼ばれる辺境伯であり、ルシアンの孤高の姿に心奪われた重度の隠れファンだった。

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

転生ガチャで悪役令嬢になりました

みおな
恋愛
 前世で死んだと思ったら、乙女ゲームの中に転生してました。 なんていうのが、一般的だと思うのだけど。  気がついたら、神様の前に立っていました。 神様が言うには、転生先はガチャで決めるらしいです。  初めて聞きました、そんなこと。 で、なんで何度回しても、悪役令嬢としかでないんですか?

ルンルン気分な悪役令嬢、パンをくわえた騎士と曲がり角でぶつかる。

待鳥園子
恋愛
婚約者である王太子デニスから聖女エリカに嫌がらせした悪事で婚約破棄され、それを粛々と受け入れたスカーレット公爵令嬢アンジェラ。 しかし、アンジェラは既にデニスの両親と自分の両親へすべての事情を説明済で、これから罰せられるのはデニス側となった。 アンジェラはルンルン気分で卒業式会場から出て、パンをくわえた騎士リアムと曲がり角でぶつかって!?

ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
ヒロインがいない。 もう一度言おう。ヒロインがいない!! 乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。 ※ざまぁ展開あり

処理中です...