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十四話「フリード様と仲良くしよう」②
しおりを挟むキィィン! カキィィン!
剣と剣がぶつかり合う音。
フリード様が剣を振るう度に揺れる金色の髪、飛び散る汗。
今まで見たどのスチル絵より、麗しいおフリード様がそこにいた。
相手が膝をつくとフリード様が剣を振り下ろした。
パキィィィィィンン!
相手の剣が折れ、剣先はくるくると回転して訓練場の端に突き刺さる。
フリード様が相手の首もとに剣を突きつける。
「降参です、フリード様、腕を上げられましたね」
相手の男が両手を上げて降参のポーズを取る。
「今日はたまたま運が良かっただけです。僕などまだまだですよ、先生」
フリード様が剣を鞘にしまい、相手の男に手を差し出す。
フリード様の相手をしていたのは、剣術の先生だったのね。
さすが剣神の才能もちのフリード様、十五歳にしてその才能を発揮。先生すらもはや敵ではないのね。
「うわぁぁ! すごいです! お兄様!」
パチパチパチパチと拍手を送ると、フリード様は驚いた顔でこちらを見た。
「ディアーナ来ていたのか?」
「はい、お兄様の剣術の訓練を見学したくて」
フリード様の顔がほころぶ。
「お邪魔でしたか?」
コテンと首をかしげると、フリード様の頬が赤らむ。フリード様は手で口元を抑え私から視線を逸した。
「いや、邪魔ではないが危ないから……次からは見学するときは事前に知らせてくれ、訓練場に結界を張っておく」
「はい」
そういえば、漫画のディアーナはフリード様に斬られて死ぬのよね。
フリード様をなんとか味方に出来ないかしら?
私はユリアに意地悪する気も殺す気もない、だけど何が起きるか分からない。漫画の強制力で冤罪を着せられ、断罪されるかもしれない。
フリード様と仲良くしておけば、卒業パーティーで斬り殺されるところを、峰打ちで済ませてもらえるかもしれない。
「お兄様、お茶をお持ちしました」
「ありがとう」
「お茶を淹れたのも運んだのもメイドさんで、私はメイドさんの後をついてきただけなんですが」
「それでも嬉しいしよ、ありがとう」
フリード様が私の頭をよしよしと撫でる。
金色の髪、サファイアの瞳、白磁のようにきめ細やかな肌、やっぱり近くで見ると美形だ。(遠くから見てもかっこいいけど)
フリード様のお顔が近い、唇が触れ合ってしまいそう。
「あの、私帰りますね」
「待ってディアーナ」
ふわわわっ!! フリード様に手を掴まれてしまった!
「せっかくだから一緒にお茶を飲もう」
「えっ、ですが……」
チラリとティーセットを見る、ティーカップが二つ、フリード様と先生の分では。
「先生、今日の訓練はここまでにしましょう」
フリード様が私の考えている事が分かったようで、先生に視線を向ける。
「そうだね、弟子にお気に入りの剣を折られてメンタルボロボロなので今日の訓練はここまでにしよう。それに私がいたらお邪魔なようだしね」
先生はフリード様にウィンクをすると、折れた剣先を拾い帰って行った。
「君ももう下がっていいよ」
「かしこまりました」
フリード様に言われ、ティーセットを運んでくれたメイドさんも帰っていく。
「これで邪魔者はいなくなった……」
「はいっ?」
フリード様、今何かおっしゃいました。
「なんでもないよ、こちらの話だ」
フリード様がにこりと笑う。
爽やかな笑顔やばい! 好きになってしまう!
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