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十五話「訓練場のお茶会」①
しおりを挟むアップルティーの甘い香りが鼻をくすぐる。
青い空、白い雲、木々の緑が目に眩しく、小鳥がさえずり、紅茶が喉を潤し、ココナッツクッキーが腹を満たす。
目の前には紅茶を啜る麗しい少年、はぁ眼福。
至福ってこういうことをいうのね。
ニコニコしながらクッキーを頬張っていると、フリード様と目が合った。
フリード様は私と目が合うと、ニッコリとほほ笑まれた。
良い! 今の笑顔すごくいい! 神絵師さんかスチル絵にしてください! いや動画で録画したい! スマホ! スマホがあれば……!
「体調はどう?」
「えっ?」
「池に落ちたあと寝込んでいたから心配した」
「えっ? あっ……はい! それはもうバッチリです! 全快しました! 元気はつらつですわ!」
腕をまげ力こぶを作る動作をすると、フリード様がくすくすと笑った。
漫画ではくすりともしないクールビューティーだったフリード様。こんなに爽やかに笑う人だったんだぁ。
フリード様の無邪気な笑顔に思わず見惚れてしまう。
「改めてお礼を言います。池に飛び込んでまで私を助けて下さりありがとうございます」
昨日の朝食のときお礼を言ったけど、改めてお礼を伝える。
「前にも行ったけど、当たり前のことをしたまでだよ」
フリード様はお優しい。
「実は僕がディアーナにしたことは、池に飛び込んで助けただけじゃないんだ」
「はいっ?」
「池から引き上げたディアーナは息をしていなかったから、人工呼吸をした」
「ふぇっ……?!」
人工呼吸って、マウストゥーマウス!?
それってつまり、唇と唇の触れ合い……!
ふわわわわわわっっ!!
顔に熱が集まる、多分今耳まで赤くなってる!
前世彼氏いない歴=年齢の私。
前世含めてファースト……キ、ス……!!
フリード様の唇を見る、あのぷるぷるとしたさくら色の唇と、私の唇が触れ……!
「ごめん、嫌だった……?」
フリード様が眉を下げる。
推しを悲しませてしまった……!
「だ、大丈夫です……! お、お兄様は私を助けようとして、人工呼吸をしてくださったんですよね……! だから、全然嫌じゃないです!!」
「そう、よかった」
フリード様が眉根を下げる。天使のほほ笑み!
「そうか……ディアーナは私にキスされても嫌じゃないんだね……」
フリード様がボソボソと呟く。えっ? 今何かおっしゃいました?
フリード様が私の手に自身の手を重ねる。
「ふわっ!」
突然の接触に心臓が跳ねる。
「ディアーナは僕のことが好き?」
フリード様がコテリと首をかしげる。
「ええっ?!」
動揺するな私! フリード様は「兄として好きか?」と尋ねているのよ!
フリード様と仲良くなるチャンスじゃない!
「す……す、す、す、好きです! 大好きです!!」
フリード様のお顔を直視出来なかった。
心臓がバクバクしている。
チラリとフリード様を見る。
「そう、ありがとう」
フリード様が頬を染めにこやかに笑う。
ズキューン! 推しのはにかんだ顔尊い!!
「ディアーナの気持ちが僕と同じで嬉しいよ」
やった! フリード様もディアーナが好きなんだ! この時点での兄弟の仲は良好!
破滅フラグをへし折るのに一歩近づいたわ!
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