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30話「【運命の出会い】という名の強制力」
しおりを挟む「フリード様ーー!」
フリード様とはぐれて十分が経過しました。私は広い庭園内を彷徨いながらフリード様を探している。
人の波にのまれ、気がつけば知らない場所にぽつんと立っていました。
両サイドに生えているのは大人の背より高い木々。フリード様を探し歩き回るうちに、いつの間にか綺麗に刈り込まれた木々による迷路に迷い込んでしまったようです。
「片方の壁(木)に手をつけながら歩けば入口か出口のどちらかに出られるはずなのですが……」
前世で得た知識をもとに美しく刈り込みされた木々の間を歩くこと二十分、なんとか迷路の外に出ることが出来ました。
迷路から出ると、そこには色とりどりの華麗な花が咲き乱れる庭園が……。
「わぁ~」
あまりの壮麗さに思わず息を呑む。
さすが王室、公爵家の庭園も美しかったけど規模が違う。まるでおとぎ話の世界に迷い込んだみたい。
とことこと歩いて行くと薔薇のアーチのトンネルが見えました。
アーチを見た瞬間私の心臓がドクン……! と嫌な音を立てる。
なぜ花々の咲く美しい庭園を見て気づかなかったのかしら……。
この薔薇のアーチは、ディアーナと第二王子のコーエンが初めて出会う場所!
「早くここから離れないと……!」
踵を返すと同時に髪につけたリボンがするりと落ちた。突風が吹き赤いリボンを風が運ぶ、リボンは少年の足に当たり止まった。
栗色の髪、黒曜石の瞳、目鼻立ちの整った顔…………間違いない第二王子のコーエンだ!
「これ君の?」
コーエン王子がリボンを拾い、小首をかしげる。
このあとディアーナは第二王子にプロポーズされる。『一目惚れした、結婚してくれ!』と言われて……。
そして一年後『赤いリボンが縁で俺たちは出会った、リボンは俺たちを結ぶ運命の赤い糸だったんだね』今日の出来事を振り返りながらコーエン王子はそう話すのだ。
ディアーナに王子の仕事を全て押し付けディアーナから家族と過ごす時間を奪い、学園に入学したら生徒会の仕事をディアーナに押し付けディアーナから友達を作る時間を奪い、男爵令嬢に一目惚れし「真実の愛を見つけた!」と言って浮気を正当化して、今まで尽くしてくれたディアーナを蔑ろにする……最低最悪のくそ王子と出会ってしまった!
今はあどけなさの残る可愛らしい少年だが、その本性がゲスであることを私は知っている、成長するとともにそのゲスさが増していくことも。
悪夢だ! 一生関わりたくない人物に、出会ってはいけない場所で出会ってしまった!
これが漫画の強制力なの?! 助けてフリード様!
「違います! そんなリボン見たこともありません! 失礼します!!」
私は赤いリボンは自分のものではない主張し、踵を返し一目散にその場をあとにした。
「待って!」
走って逃げる私をコーエン王子が追いかけてくる。
ある日森の中で偶然出会った熊に追いかけられている気分だ! 捕まったら死ぬ!
死亡フラグをへし折るため、私は全速力で走った!
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