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40話「王妃更生施設」王妃視点※ざまぁ回
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――シェーン・グランツ王妃視点――
城の隅にある離宮に閉じ込められて三日。
ここには何もない。
豪華な調度品も、綺麗な宝石も、美しいドレスも、きらびやかな晩餐会も、華やかなパーティーも、賑やかなお茶会もない。
あるのは質素なベッドと無地のカーテン、小さなクローゼットと、簡易のテーブルとイスのみ。
クローゼットの中身はパジャマと無地のワンピースが数着。
これが王妃の部屋だというの? 王宮ではメイドの部屋だってもっと華やかだわ!
ノブを掴み回してもガチャガチャと音を立てるだけで、扉は開かない。外から鍵がかかっているのね。
窓から助けを呼ぼうとしたけど、押しても引いても開かない。
アーサーはいったいどういうつもりで私をこんなところに閉じ込めたの? 生みの親にこんな扱いをして許されると思っているのかしら!
親を軟禁するなんて、アーサーは正気じゃないわ。
「開けなさい! 私はこの国の王妃よ! 王太子の生みの親よ! 第二王子の母親なのよ!」
扉をバンバンと叩いて声の限り叫ぶが、誰も来ない、人の気配すら感じない。
いい加減叫ぶのも疲れたわ、手も痛いし。
喉にいいハーブティーを飲みたいわ、回復魔法が使える者に手の治療もさせたい。
でも……ここではそれすら叶わない。
諦めてため息をついたとき、窓が【ガタリ!】と震えた。
窓に目をやると、はめ殺しの窓の向うに黒いモヤが見えたわ。
何なのあの黒色モヤは? 誰かのいたずらかしら でもおかしいわね? ここは三階よ?
真っ黒なモヤが窓の隙間から入ってくる、酷い匂いだわ、魚が腐ったみたい……鼻がもげそう。
漆黒のモヤは部屋に入ってくると、人の形を作った。
骨に腐っ肉がかろうじてくっついてるだけの……漆黒の肌の怪物!
【君、ノ息子ハ酷、イネ……僕ノ、家ヲ壊シタ……ナノニ、謝リ、モシナイナンテ……】
「ひっ……!」
地獄の底から響いてくる低い声に背筋が凍りつく。
【契約、ニ違反シタ……ダカ、ラ君ノ息子ヲ食ベタ……君ノ息子ニ家、ヲ壊サレタ……ダカラ……親ニ責、任ヲ取ッテモラ、ウヨ】
骸骨に腐った肉をくっつけた化け物が足を引きずりながらこちらに近づいてくる。
「ひぃぃぃ……っ!!」
迫ってくる怪物から距離を取ろうと後退るが、ドアにぶつかってしまう。
「誰か! 誰かいないの! 助けてなさいっ! ここを開けなさいよっ! 化け物が……化け物が部屋の中にいるのよぉぉぉっっ!!」
ドアを回してもガチャガチャと無機質な音を立てるだけだし、扉を叩いても何の反応もない。
だけど開かないと分かっていても、ドアノブを回さずにはいられなかった。
肩に何が触れる感触があり振り向くと、
【掴、マエタ……君ノ、息子ハ美味、シカッタ、ケド……君、ノ味ハドウ、カナ?】
怪物が私の髪を掴み、大きく口を開けていた。
「い゛にゃ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…………っっ!!」
【ゲェップ……! 美味シ、カッタ、ヨ……ゴチソ、ウサマ】
城の隅にある離宮に閉じ込められて三日。
ここには何もない。
豪華な調度品も、綺麗な宝石も、美しいドレスも、きらびやかな晩餐会も、華やかなパーティーも、賑やかなお茶会もない。
あるのは質素なベッドと無地のカーテン、小さなクローゼットと、簡易のテーブルとイスのみ。
クローゼットの中身はパジャマと無地のワンピースが数着。
これが王妃の部屋だというの? 王宮ではメイドの部屋だってもっと華やかだわ!
ノブを掴み回してもガチャガチャと音を立てるだけで、扉は開かない。外から鍵がかかっているのね。
窓から助けを呼ぼうとしたけど、押しても引いても開かない。
アーサーはいったいどういうつもりで私をこんなところに閉じ込めたの? 生みの親にこんな扱いをして許されると思っているのかしら!
親を軟禁するなんて、アーサーは正気じゃないわ。
「開けなさい! 私はこの国の王妃よ! 王太子の生みの親よ! 第二王子の母親なのよ!」
扉をバンバンと叩いて声の限り叫ぶが、誰も来ない、人の気配すら感じない。
いい加減叫ぶのも疲れたわ、手も痛いし。
喉にいいハーブティーを飲みたいわ、回復魔法が使える者に手の治療もさせたい。
でも……ここではそれすら叶わない。
諦めてため息をついたとき、窓が【ガタリ!】と震えた。
窓に目をやると、はめ殺しの窓の向うに黒いモヤが見えたわ。
何なのあの黒色モヤは? 誰かのいたずらかしら でもおかしいわね? ここは三階よ?
真っ黒なモヤが窓の隙間から入ってくる、酷い匂いだわ、魚が腐ったみたい……鼻がもげそう。
漆黒のモヤは部屋に入ってくると、人の形を作った。
骨に腐っ肉がかろうじてくっついてるだけの……漆黒の肌の怪物!
【君、ノ息子ハ酷、イネ……僕ノ、家ヲ壊シタ……ナノニ、謝リ、モシナイナンテ……】
「ひっ……!」
地獄の底から響いてくる低い声に背筋が凍りつく。
【契約、ニ違反シタ……ダカ、ラ君ノ息子ヲ食ベタ……君ノ息子ニ家、ヲ壊サレタ……ダカラ……親ニ責、任ヲ取ッテモラ、ウヨ】
骸骨に腐った肉をくっつけた化け物が足を引きずりながらこちらに近づいてくる。
「ひぃぃぃ……っ!!」
迫ってくる怪物から距離を取ろうと後退るが、ドアにぶつかってしまう。
「誰か! 誰かいないの! 助けてなさいっ! ここを開けなさいよっ! 化け物が……化け物が部屋の中にいるのよぉぉぉっっ!!」
ドアを回してもガチャガチャと無機質な音を立てるだけだし、扉を叩いても何の反応もない。
だけど開かないと分かっていても、ドアノブを回さずにはいられなかった。
肩に何が触れる感触があり振り向くと、
【掴、マエタ……君ノ、息子ハ美味、シカッタ、ケド……君、ノ味ハドウ、カナ?】
怪物が私の髪を掴み、大きく口を開けていた。
「い゛にゃ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…………っっ!!」
【ゲェップ……! 美味シ、カッタ、ヨ……ゴチソ、ウサマ】
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