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23話「人気者のアリシア」

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「女王陛下、もしかして私に会わせたかった人と言うのは……」

「アリシアは勘がいいわね、そうルシャードのことよ」

女王陛下から贈られたドレスはルシャード様の髪の色と同じ黄色、アクセサリーはルシャード様の瞳の色と同じ青く輝くサファイア。

女王陛下は私とルシャード様の仲を取り持ちたいようです。

「ルシャード様は隣国のスコルピオーン王国に留学されていたのではありませんか?」

ルシャード様の留学は勉学のためだげではない、スコルピオーン王国とマイスター王国の縁を繋ぐためのもの。

スコルピオーン王国にはルシャード様と同じ年の王女がいらっしゃいますし。

「スコルピオーン王国で色々あってね、帰って来たんだよ」

「色々……?」

「その話はここでするのはちょっと……後日改めて話すよ。それより僕と一曲踊っていただけますか?」

ルシャード様が私に手を差し出す。

「申し訳ありません、まだ一緒に来た父と踊っていませんので」

パーティーの最初のダンスは同伴者と踊る仕来りがある。パーティーのエスコートは婚約していれば婚約者が行い、婚約していなければ身内のものが務める。

「そうか、ではフィルタ侯爵の後に……」

「残念ですが王子殿下、義弟の次は私と踊ることになっております」

「コアト伯父様」

母の兄のコアト・シュティーア公爵が、ルシャード様と私の間に割って入る。

「その次は私が踊ることになっているのですよ」

「ベン叔父様」

父の弟のベン・クレープス公爵がコアト伯父様の隣に立つ。

気がつけば私は二人の紳士に両サイドを固められていた。

「コアト伯父様、ベン叔父様、先程は助けて下さりありがとうございました」

ザックス男爵家とトーマ男爵家とコッホ男爵家とヴァイル準男爵家は、シュティーア公爵家とクレープス公爵家から取り引きを断たれ、領地に立ち入ることを禁止された。

貴族としても商会としても酷い痛手だ。

「なぁにあのくらい大したことないさ。可愛い姪を守るためなら、脅しの一つや二つや三つや四ついつでもかけるよ」

「小悪党たちのうろたえる顔が見られて楽しかったよ」

コアト伯父様、ベン叔父様が私の手を取りにっこりとほほ笑む。
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