ヤンデレ小話

柊原 ゆず

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あなたのシンデレラになりたい

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 可愛いは正義ってその通りだなって思うの。フリルのついたワンピースにメイクをすればふわふわ幸せになれる。甘くて可愛いお菓子も、口の中から幸せがあふれてくる。私は可愛いものが大好き。甘い可愛いお菓子も、フリフリのお洋服も、……それからね、私の幼馴染のみーちゃん。みーちゃんはお姫様みたいで可愛いの。私のお洋服も似合うし、甘いお菓子も美味しそうに食べる。……ああ、いいなあ。 

「つばさちゃん、どう?」 

 私のワンピースを着たみーちゃんが頬を赤くして私を見つめる。 可愛くてお気に入りのワンピースだけど、みーちゃんの大きくてくりくりした瞳や長い睫毛、ぷっくりとした唇には敵わない。みーちゃんはとってもとっても可愛い。

「みーちゃん、似合ってる!」 
「可愛いかな?」 
「可愛いよ!」 

 私の言葉に、ぱあっと顔に花を咲かせたみーちゃん。可愛い。みーちゃんは可愛いなあ。大好き。 

「ふふ、みーちゃん大好き!」 
「ほんと?」 
「ほんとのほんとだよ」 
「わたしも、つばさちゃんが大好き!」 

 ぎゅう、とみーちゃんに抱きしめられて、私も抱きしめ返す。大好きな幼馴染。みーちゃんは男の子だけど、これからもこうしてずっと仲良くしていけると信じて疑わなかった。





 わたしは、可愛ければ何でもいい。 

「未来、お前のことが好きなんだ。……お前が男でも構わない」 

 目の前の男の戯言を聞く時間なんてわたしにはない。男の言葉を無視して通り過ぎようとすると、腕を掴まれる。 

「なあ、お願いだ。聞いてくれ」 

 わたしは腕を払いのける。 

「聞きたくない」 
「……そんなことしても翼は振り向かないぞ」 

 苦し紛れに放った男の言葉に眉根に皺を寄せる。

「黙れ。お前に何が分かる」 

 つばさちゃんがわたしを可愛いって思ってくれたら何でもいい。わたしがつばさちゃんの一番になれればそれでいい。一番になれるのなら何だってする。だからね、つばさちゃん。ずっとずっとわたしのこと可愛がってね。

Fin.
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