ダンジョンリフォーマー〜リフォームで魔王と仲良くなる異世界放浪記〜

竜頭蛇

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チートは無能に持たせても意味がない

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 俺は女子寮に来ていた。
 普通はドキドキとワクワクが止まらないだろうが、俺の心臓は1ミクロンも喜びに震えていない。
 何故ならここは確かに女子寮の敷地の中だが、庭だし。目の前にいるのは、たくさんの女の子ではなく大きな腹なしハリボテだからだ。

「実験つっても、お前のハリボテをどうするていうんだ?」

 この女子寮侵入というイベントを発生させてくれた張本人―――エラーに尋ねる。
 俺の声がやる気がなかったせいか、奴は地団駄を踏む。ハリボテを装着していなので、小さな女の子が癇癪を起しているようにしか見えない。
 実際、そのとおりなのだが。なぞの違和感を感じる。
 俺には、エラーは大男であれかしと訳の分からないフィルタ―がついてしまったようだ。

「あんた現金な奴ね。人から頼みごとされる時だけやる気がなさすぎでしょ! そいつに魔力を送ってやるだけじゃない」

 やる気がなくても、仕方ないだろ。頼み事をされるときは毎回ろくでもないことに目に合っているんだから。
 迷宮でスプラッタ。金の亡者の襲撃。幻覚見せるモンスターに遭遇。
 こんな目にあっても、ルンルン気分で頼みを遂行できる人間がいるか? いるとしたら、見てみたい。
 おそらくそいつはもはや人間をやめているだろう。

 少し離れた位置にあるハリボテに原っぱを横切って近づいていく。

「こうか?」

 ハリボテの肩に触れて、魔力を流し込む。
 ハリボテは体をガタガタ揺らし始めた。

「流しすぎ! ストップストップ!」

 止めるが、張りぼての振動は止まらない。
 何だかやばい! 俺は後方に走り、地面にハリウッドダイブする。

 少し遅れて爆発音が聞こえ、頭上を何かが通り過ぎていた。
 起き上がってみるとハリボテが消え、そいつがあっただろう地面がめくりあがっている。
 どう見ても、爆心地にしか見えない。

「だからとめろっていたじゃない。そいつは魔力増幅器なのにそんなに流したら、持たないに決まってるでしょ」
「……そういうことは早く言ってくれ」

 おかげでよくわからんところでバッドエンドになるところだった。
 何だか、緊張と弛緩が一気に来たためか。虚脱感がこみあげてくる。
 エラーが爆発した破片を観察しているさまを眺める。

「というよりも、なんでお前は魔力増幅器なんて作ってるんだ?」
「わたくしが平凡だから、使える魔力を多くしてそこらへんにいる才能のある奴らに追いつきたいだけよ」

 何処が平凡だというんだ。中学生くらいで一級魔術を使えるのだ。
 十分天才な部類だろうが。

「その年で一級魔術が使えるんだ。別にブーストをしなくても十分だろ」

 俺がそういうと、エラーは俺を睨みつけた。
 特にお世辞を言ったつもりではないのだが、世辞に受け取られただろうか。

「リード、あんた白々しいわよ。それだけバカみたいな魔力を持っていてよく言えるものね」

 馬鹿みたいな魔力?魔力なんてどいつもこいつも変わらないだろうに。

「魔力ていっても、持っている魔力何ぞ全員等しく変わらないだろ」
「何を根拠に言ってるの?」
「どいつもこいつも魔力切れを起こさないからだ。魔力は無限に湧いてくるもんだろう?」

 実際、俺の周りの人間は俺含めて、魔力切れを起こしたところを見たことない。
 おそらくこの世界の魔力は使った端からすぐに生成されて尽きることがないんだろう。
 ゲームと同じで、つかってもすぐに回復するのだ。

「魔力切れなんていつも起こしてるわよ。実際、わたくしの魔力は昼の時点でなくなっているし。しかも魔力は使った端からすぐ補填されるわけじゃない。完全に回復するまでに相応の時間がかかるわ。わたくしの場合は、明日の朝にならないと完全回復しないし」

 エラーはまくしたてるように、俺の魔力の固定観念を壊すような事実を列挙していく。
 そしてエラーは俺に指を突き付け、

「あんた、自分が特異体質だって理解してないでしょ」

 と言い放った。

 なるほど。俺は魔力は切れないものだと思っていたがそれはただの勘違いだったのか。
 魔力は切れるもので、俺が特異体質で切れなかっただけという事だ。
 つまり俺はチート能力を一つ所持していたことになる。
 だというのに、俺は迷宮のモンスターも満足に倒せないのはどういうことだ?
 チート能力を持っててもなお無能てことじゃねえか。
 俺はおそらく奴が狙ってないところで大きな衝撃を受け、打ちひしがれた。

「なんであんたがダウンしてんのよ。こっちがしたいんだけど……」

 四つんばいになって地面をみつめていると、エラーの情けない声が聞えた。
 お前はチートつけてなお無能の俺よりはダメージが小さいからいいだろ。

「リード、君は何をしてるんだ?」

 しばらく地面を見ていると、声が聞えた。
 見ると、茂みの中から、懐かしい人物の顔が見えた。




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