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城内侵攻
しおりを挟む住民たちの壁を越えて、しばらく走っていくと行き止まりになっていた。
行き止まりの壁には真上に伸びるはしごだけが用意されており、それを登れということらしい。
おそらく敵はこちらが来るともう知っているようだが、はしごを上っている途中に上から何かしら攻撃してこないか心配だ。
上から熱湯何ぞ浴びらせられたらたまったものではない。
俺の心配をよそにレッドたちは、迷うことなくはしごに足をかけていく。
肝が据わっているなあと思いながら、俺も足をはしごにかける。
「すいません、レッド隊長。俺この道戻ります」
すると背後からそんな声が聞えた。
耳を疑った。どうして戻るなどといえるのか。
戻ったとしても、住民たちに罵倒され、ホット達の戦いに巻き込まれるだけだというのに。
退路はいうまでもなく塞がれていることは、わかっているはずだ。
何処に戻る意味などあるのか?
「バルザック、なんのためにそんな事をする?」
はしごを上っているレッドが一度手を止めて、バルザックに声をかける。
「ミーシャが――恋人があの住民の中に居たんです。あの住民たちは正常ではありません。恋人をあの中に置いておくことはできません。我々のことをあれだけ嫌悪していたのです。関係がばれれば、何をされるのか分かったものじゃない」
そういい終わらないうちに、バルザックは元来た道を戻って行ってしまった。
「バルザック!」
レッドが止めるようにそう奴の名を呼んだが、奴の姿は通路の闇の中に消えていた。
「くそ! 馬鹿野郎……」
レッドはこらえるようにそうつぶやくと歯を軋ませた。
そして動かない手を無理やり動かすような乱暴さで、はしごをまた昇り始めた。
続くリザードマンたちもレッドと同じ様子ではしごを上っていく。
レッド達の言動でバルザックがこいつらにとってどれだけの存在だったか何となく理解できた。
おそらくこいつらは、魔王を撃退するという作戦がなければ、バルザックを連れ戻しに行ったのだろう。
階段を上り終わると、
「魔王を早く撃退して、あの馬鹿を連れ戻しに行くぞ!」
レッドは自らに発破をかけるようにそういった。
「「「了解であります!」」」
リザードマンたちにその声に応えるように返事をした。
レッドはそれを見るともなしに、階段を昇ってたどり着いた物置の部屋を飛びでっていく。
慌てて俺もそれについていく。
「俺には奴がいるだろう場所がわかる」
レッドはそうつぶやきながら、城内の廊下を駆けていく。
すると突き当りで、大きな門に遭遇した。
「ここだ……」
レッドはその大きな門を両手で押して開けた。
扉の先には絢爛豪華な空間が広がていた。
シャンデリアに、壁には金の装飾で彩られた武具の数々、そしてひときわ目立つ大きな玉座。
その大きな玉座にはひどく不釣り合いな男が座っていた。
ところどころから無骨な鎧が垣間見えるボロボロなローブを着た男だ。
「兵士諸君、久しぶりの邂逅だな。この国の王と認められたので今回は正式に名乗ろう。私はこの国の新しい王ボルフレディ・セベスだ」
玉座に座った魔王だろう男は、自分がこの国の王であると僭称した。
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