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明かりが点いてない(・・・)

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「遅くなっちゃったねー……(うつらうつら)」

「ああ」

 鐵也と1日、買い物とセックス漬けのせいで、オレは、すっかりクタクタで、背負われながら帰宅していた。

 行きと異なり、ショートパンツにブラウス、パーカー、ハンチング帽というボーイッシュスタイル。

 もちろん、これでもセックスしたんだけど、鐵也が凄く燃えてた。

『こういう男の子っぽい服のほうが好きなの?』

『好きといえば好きなんだが……』

 尋ねたら、はぐらかされた。

 うーん、好きなら好きでいえばいいのに、どうしたんだろ?

 それはともかく、家が見える距離まで戻ってきたんだけど。

「……あれ?」

 家の明かりが点いてなかった。

「何で真っ暗なの?」「争った気配はないが……」

 鐵也が、四方に注意を払いながら、ゆっくり進む。

 扉の鍵は掛かっていなかった。

(え……、本当に、何かあった?)

 思わず良からぬ想像に背筋が凍る。

(ぽんぽん)

 しっかりしろとばかりに、鐵也が、抱えてるオレの腿を軽く叩く。

 徹哉と背負われたオレが進み、……そして、居間。

 月光差す薄暗がりに、倒れている二人の影が見えた……気がした。

「えっ?!」

 あまりに驚いたから、思わず悲鳴を漏らした。

「……んー?」

 それに釣られるように、影の一つ、母さんが起き上がった。

「「あ」」

 オレと鐵也の声がハモる。

 母さんは、全裸だった。

「ん~? 何なん、……どわあっ?!」

 もう一つの影も起きて、驚愕の声を上げた。

 父さんだった。

 全裸だった。

 父さんはともかく。

 月明かりに照らされたぼーっとした表情の母さんは。

 整った顔立ち、澄んだ緑の髪、スレンダーだけど形のいい乳房にくびれた腰、しなやかな脚。

 まさしくエルフの王女といった風情で凄く綺麗でエロくて……。

「鐵也だめーーーーーーーーーっ!」

「ぐわーーーーーーーーーーーっ?」

 背後からとっさに鐵也の両目を隠そうとして、軽くサミング。

「あっ、ご、ごめんっ」

「ふおおおおおおおおおおっ?」

 うずくまる鐵也。

「か、母さん、早くこの毛布をっ」

「あははははっ、父さん、アレみて、鐵也くん、たのしーっ♪」

「母さんっ! 笑ってる場合か! お前らも早く出ていきなさいっ!」

「でも、鐵也、今、目がっ」

「わ、わかっています! ぐぐっ、手探りで、何とか」

「ひゃーーーーーーーっ?」

 鐵也、そこオレの(殆どないけど)おっぱいっ!

「あーっはっはっはっはっはっはっ!」

「いいから、未玲っ、鐵也くんの手を引いてってあげなさい!」

 どうしてこうなった?!

 ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇

 30分ほど経って、1階に呼ばれた。

 タートルネックにジーンズを羽織った母さんはニコニコ。

 着崩したワイシャツにスラックスをまとった父さんは疲れ気味。

 凄く対照的だった。

「いやねー、昨晩二人が帰らないって聞いて、つい、ね」

 口火を切ったのは、母さんだった。

「母さん、説明せんでよろしい」

 うん、まあ、「セックスしてた」ってことだよね。

 うん、両親のセックス話は、何かよくわかんないけど、その、やめてほしいかなあ。

「久しぶりの避妊なしだからお父さんったら凄く燃えて燃えて」

 でも、母さんは止まらない。

「母さん、だからね」

 父さんも何だか泣きそう。

「それで、昨晩一睡もさせてくれなくてね。3時頃に疲れて寝ちゃった♪」

 幸せそうに告白する母さん。

「だーから、母さん、説明しなくていいと」

 父さん必死。

「えー、別にいいじゃないですかー、二人もオトナなんだし」

 ちらっちらっとこっちを見る母さん。

 確かにオトナなんだけどっ。

 ううっ、下手に反論とか言い返したら、今日一日のプレイでイジられそう。

 鐵也を見ると、同じように困惑した顔してたけど、母さんは、それも楽しんでる風で。

「……そういう問題ではないと思うんだが」

 突っ伏してる父さん。

 うん、その……、ご愁傷さま。

「というわけで、父さん、母さんは、二人でお風呂に入るから、二人は寝てね?」

「えっ?」

 私たちのお風呂は?とつい聞き返してしまう。

 失敗だった。

「え? 自動追尾してた精霊ちゃんの報告だと、帰宅前に、ラブホでしっかりお風呂……」

 ひゃーっ?!

「明日の朝、シャワーにします!」

「ふわっ?」

 鐵也が慌てて、私をお姫様抱っこして、階段を駆け上がっていく。

「ところで、未玲は、妹と弟どっちが……」

 今晩、おかずは何にする的な軽さで母さんの言葉が聞こえたけど。

 鐵也が私の部屋の扉を締めた途端、聞こえなくなった。
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