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体育(ストレッチ)

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 授業開始前の校庭の一角にて、鐵也に更衣室での一件を報告した。

「それで女子が騒いでいるのか」

 オレたちを遠目にわいのわいのしてる女子を見て、鐵也が呆れたように嘆息する。

「……ごめん」

「いや、まあ、起きてしまったことは仕方ないが……」

 頭を掻きつつ、鐵也がまじっとこっちを見てる。

「……体操服、へん?」

「いや? 凄くカワイイぞ」

「よかった♪」

 鐵也がけなすことは想像しづらいけど、改めて聞くと、一安心。

「この高校、体操服も制服同様にセンスがイイんだよね」

 白地に青のラインが入っていて、身体にフィットするメッシュ製で着心地もいい。

「お前の身体のラインがキレイに出てるのが特にいいけどな」

「ちょっ? 鐵也っ?」

 あまりにストレートなものいいに、思わず二の腕で身体を隠すようにして抗議するけど。

「夫が妻の身体を褒めて何が悪い?」

「……、……、……確かに」

 よく考えたら、もっと恥ずかしいところや状態ももっと見られてるんだよね。

「てっても、みんなもいるのに、あんまりあけすけな言い方は……」

「わかってる。ついだ、つい」

 鐵也が手を振りながら照れたように視線を反らす。

「そういえば、鐵也の体操服もカッコいいよね?」

「うん?」

「鍛えられてて、逞しいっていうか」

 うん、体のラインがしっかり出るこの体操服ならではっていうか。

「そうか」

 鐵也は、短い返事ながら、素直に嬉しそうにニカッと笑う。

 うん、カワイイな。

 ……て、幼馴染(♂)にカワイイとか思う日が来るとか。

 とか、ワチャワチャしてたら。

「おーっい、そこの2人、授業始まってるぞっ!

 イチャついてないでこっち来なさーい!」

 黒髪ポニテの体育の女性教師に叱られた。



 ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇



「ミーもダーリンに呆れられたデース」

「そっかー」

 今日は、体力測定ということで、まずはストレッチをすることになった。

『好きなモン同士で組んでいいぞー』
 
 サバケた感じの女性教師の指示は、これまた定番のヤツだった。

『二人で組もっか?』

『? いいデスよ?』

 で、オレは、アリスに声かけたわけだけど……。

 別にやらしい気持ちは、ほとんどないぞ?

 他の女子だと、どう接していいかよくわからなくて、さ。

「しかし、お姫様も柔らかいネー」

「ほんとだねー」

 前屈で背中をアリスに押してもらうと、ぐぐっと身体が脚に着く。

「何でそんなに他人事デス??」

「ふぁっ? あ、あー、えーと、気にしないで」

 何でって、そりゃ、男子のときは身体固かったからだよ。

(そういや、鐵也とのセックスでも、少々きっつい体制でもいけてたっけ)

「次は、私の番デーーーーーーーーーーーーーッス!」

 てか、アリスも同じくらい柔らかかった。

 押しても反発全くなし。

 開脚前屈で、地面に胸がついた所でやっと止まった。

(しかし、背後からでも、こんだけハッキリ胸の形が見えるって……)

「どうしたデス?」

「いや、別に……」

「次は、背筋伸ばすぞー」

 女性教師の指示に従い、アリスと背中合わせに腕を組む。

「でも、お姫様と騎士クンとがステディな仲とか、驚いたデーッス」

「私は、アリスと青島くんがそういう仲だって方が驚いたけどねー」

 互いにぐいっぐぐぐっと背を伸ばし合いながら、会話が続く。

「何でデース?」

「だって、青島くん、アリス、邪険にしてたし……」

「照れてるだけデーッス! ベッドの上では凄く激しいデスよ?」

「へえ」

 なるほど、そーいうことなんだ。

 と。

「おおおーっ!」

 男子の方から上がる歓声。

 何事かと思って見てみたら。

「ふぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬーーーッス!」

「……マジ、いけんのか、シズマ?」

「何のこれしきーッス!」

 井上くんが背筋伸ばしストレッチで、青島くんを背負ってたんだけど。

 ……体積、2倍位違わない?

(男子は、席順にしたんだろうけど……)

「うおーーーーーーーーっ、ゴルゴダの丘ーっ!」

「何だそりゃ?」

 逆のときも背中の広さと腕の長さ、太さが違って十字架磔状態。

 一通り、ストレッチを終えたらしい鐵也も、苦笑交じりに眺めてる。

 まぁ、イロイロ何とも楽しいようで。
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