記憶喪失

バブルガム

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第5話

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 気づけば知らない教室にいた。机に突っ伏して寝てしまっていたからだろう、体が少し痛い。
 周囲には授業が終わった後の生徒がいて、放課後の話をしている。誰も知った顔はいない。
 私は少し居心地が悪くなって席を立った。ここから出なければ。
 教室から出て一歩目、誰かに腕を掴まれる。声にならない驚きとともに相手を見る。
 幼馴染の峯田優子だった。少しホッとして話しかける。
 「優子ちゃん、ここはどこ」
 「!翔ちゃん、記憶があるの!?」
 「ここがどこかは分からないけど優子ちゃんは忘れないよ」
 答えを聞いて少し落ち込んだ表情になった峯田は翔に答えた。
 「ここはね、あなたの通っている学校。そして私も通っている」
 そうなのか。この学校に通っていると言う事実をなぜ忘れてしまっていたのか。
 「じゃああの人たちは私のクラスメイトって事」
 峯田に聞く。だが返ってきたのは翔に取って衝撃を与えるものだった。
 「今は誰もいない。私とあなたしかここにはいないわ」
 「でもさっき確かにみんなが」
 「翔ちゃん、あなた疲れてるのよ。保健室で休みましょう」
 そう言う峯田の顔は本当に心配をしている顔だった。
 「わかった......」
 保健室に行く前、振り返った教室には確かに誰もいなかった。
 「翔ちゃんが寝るまではここにいるから」
 ベッドの横の椅子に座り、峯田が優しい顔で言う。いつも通り、昔から何かあれば助けてくれた優しい見慣れた顔。
 翔は安心して眠りについた。
 それから少しして、ドアを叩く音がする。座っていた峯田は立ち上がり、ドアの外へ出た。
 そこには山田が諦めとも思われる表情を浮かべて立っていた。
 「予定通りに連れてこいよ。めちゃくちゃじゃ無いか」
 「あなたが幻覚を見せるからこんな事になったんでしょう」
 「何のことだ」
 「クラスメイトよ。そこには誰もいないのにいるように見せた」
 「知らないぞ。俺はやってない」
 「私だってやってない。城田には権限がそもそもないわ」
 「どういう事なんだ......」
 「もういい。あの子が起きるから戻るわ。すぐにみんなのところへ連れて行く。それでいいわね」
 「わかった」
 それだけ話して峯田は再び保健室に戻った。ほどなくして、翔が目を覚ます。
 「あー、よく寝た。ここは......どこだっけ」
 「保健室よ。気分が悪そうだから休む事にしたの」
 「そうだったそうだった。もう大丈夫。心配かけたけど」
 「そう。それじゃあ今の状況を軽く説明するわね」
 「私と翔ちゃんを含めて五人がこの学校にいる全員。なぜか入口が開かないから開けるための手がかりを探しているの」
 「またまたそんな嘘ばっかり」
 「本当よ。見に行きましょう」
 峯田は私の手を引いて歩いて行く。途中周りを見たが窓は完全に塞がれ時計は一個も無かった。
 入り口に着き、開けようとすると本当に開かなかった。
 「一旦皆で集合した方がいいわ。行きましょう」
 何か急いでいるのか私のことを追い立てるように峯田が言って、皆の元に連れていかれたのだった。
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