ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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6章 石化の治療法と石像の在処

56話服屋捜し

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リュートとエノンはスライムを1匹倒し森を出ようとする
「もうすぐだよ!早く戻ろ~!」
「はいはい」
エノンに手を引っ張られリュート達は歩いていく
木の子きのりんは今はエノンの頭の上に乗りエノンとは仲良くなっていた歩いていると町が見えてきた
「早く早く!服が売り切るでしょ!」
「服は売り切れないから!少し落ち着け!」
エノンが急いで走るがまだ昼近くなので大丈夫だとリュートは宥めるがエノンはそれでも急ぎ町に戻る
「鍛冶屋の兄ちゃんじゃないか!兄ちゃんも大変だな」
「本当にそうだよ」
リュートと門番は随分仲良くなったがエノンはリュートを引っ張る
「早く行こーよー!」
「分かった分かった!」
リュートとエノンは門番にギルドカードを見せて門を通り町へ入る
「は・や・く!は・や・く!」
エノンはスキップをしながら服屋へ進もうとしたが途中で足を止め青い顔をしながらリュートの方へ振り返る
「ん?どうした?」
「服屋さん何処だっけ?」
エノンの顔はますます青くなった
「えーと…分からん」
エノンの顔が段々青くなりふらふらと倒れた
「おい!エノン!」
とにかくリュートはエノンを抱え宿に走った
「あ、あの~」
受付の女性がリュートに話しかけようとするがリュートは
「また後で!」
と言い部屋に戻る
「ふぅ」
リュートは汗を拭きエノンをベッドに乗せる
少し経つとエノンが唸った
「うぅん」
「エノン!?」
リュートはエノンに近寄りエノンの顔を見た
先程までより顔には赤みが増して少し元気そうに見えた
「うん?リューくん?」
エノンが目を覚ますとリュートは一息着き落ち着いたするとエノンは気絶する前の事を思いだし飛び起きた
「はっ!リューくん!服は?」
エノンがリュートに聞くとリュートは「買っていない」と返事した
「もー!何で買ってくれなかったの~!」
「分かった分かった!今から買いに行こうな!」
エノンが少し泣きそうになっていたのでエノンを宥めて手を繋ぎ下へ下りようとドアを開けると何かがドアにぶつかり変な声が聞こえた
「ふぎゃ!」
ドアを開けその先を見ると受付の女性が倒れていた
「大丈夫かー」
リュートが受付の女性の顔の前で手を振るが一向に目を覚ます気配が無いのでドアを閉めそのまま宿を出た
「早く行こ!」
「きゅい!」
エノンの頭の上に乗っている木の子きのりんは手を上げ元気に鳴いた
「まずギルドな」
リュートはエノンを連れてギルドに入る
「おっ!また君達だね!どうだった?上手く出来た?プププ!」
クエストを受けるときにリュートの事を見て笑っていた女性が男性の腕に抱きつきながらリュートを見て指差しまた笑いを堪えている
「ほら、クエスト完了だ」
「ほうほう、じゃあ討伐証明見せて」
「ほい」
リュートは鞄の中からスライムの身とゴブリンの指を渡す
「はいはい!えーと、クエスト達成報酬と素材換金額を合わせて…」
女性は男性の腕から離れ紙に何かを書いている
「よし!はい報酬だよ!プププ」
女性は金が入っている袋をリュートに渡す時にリュート達を見るとまた笑いを堪えている
「失礼な奴だな」
「ごめんごめん!あまりに面白いからつい笑っちゃって!」
女性はまた笑ってカウンターの机を叩き出した今度は涙を流しながら叩いている
「…行くか」
「そうだね」
リュートとエノンは机を叩いている女性を無視してギルドを出るその頃にはもう空に少し赤みがかかっていた
「服屋さんどこ~!」
「知らねぇよ!」
「きゅい!」
木の子きのりんが姿を現すと周りから色んな人が集まってきた
「その子って木の子でしょ!」
「は、はい」
腰に剣を携えた軽装の女性がエノンに近寄っていく
「ねぇねぇその子貰ってもいい!?」
女性が鼻息を荒くしながらエノンに近づいていくその目にはエノンの頭の上の木の子しか映っていなかった
「ねぇ!いいでしょ!良いわよね!よし決まり!」
女性は木の子に手を伸ばし木の子を捕まえようとするが木の子はエノンの髪に掴まりエノンも木の子を守っている
「はぁ、人間の大人は殆どがこんな奴らなのか?」
リュートは持っている金が入った袋を女性にぶつける
「ふぇぶ!」
女性はリュートの攻撃で初めて泣く事も気絶する事もしなかった人間だった
「ん?貴方誰よ!私は木の子を貰おうと…」
女性がリュートに向かってそこまで言うとリュートはエノンを指差すエノンは怖がってリュートの後ろで木の子を守っている
「わ、私は何て事を…」
女性は両膝と両手を着き泣いている
「わだじばな゙ん゙でごどを゙~!」
女性が泣いている所を見てエノンは少し安心したのかリュートの横へ来る
「リューくん?この人誰なの~?」
エノンが袋を拾いすぐにリュートの横へ戻り聞く
「知らねぇよ」
周りの人はリュートを見て嫌悪の眼差しを向けている
「はいはい、泣くなって」
リュートが女性を宥めると女性は何回も謝ってくる
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
(まるで何かの呪術みたいだな)
リュートが謝る女性を見ながら心の中で思った
「ねぇ、早く行ここの人何か怖いよ」
「だ、だな」
リュートとエノンは女性を無視し服屋を探そうとすると女性はリュートの足を掴む
「ごめんなさい!」
「分かったから!」
リュートが振りほどこうとするが全然離さない
(何て力だよ)
リュートは女性の力に驚きもうちょっと強めに振りほどこうとすると女性がリュートの足を掴みながら浮き上がった
「えぇ~」
「え!?」
女性が掴む力が緩んだ隙に足を離すと女性はそのまま地面に落とされた
「うぅ~」
女性が鼻を擦りながら唸る
「そうだ!服屋ってどこにあるんだ?」
女性に聞くと女性はフフフと笑いながらリュート達を見る
「服屋さんですか、それを教える代わりにその木の子きのりんをください!」
女性はエノンの頭に乗っている木の子を指差し大きな声で言うとエノンは木の子を両手で隠す
「じゃあもういいよ」
「え?」
「じゃあな」
リュートが手を振りエノンを連れて去ろうとすると女性はリュート達を引き留める
「待ってく・だ・さ・い~!」
女性は次はエノンの足を掴み止めるとエノンの目に涙が浮かんでくる
「わ、私に木の子を~!」
「いい加減にしろ!」
女性がエノンに泣きつこうとするとリュートは殺気を込めて怒鳴る
「大の大人が小さな子供相手に何て事してるんだ!それでも大人か!」
「そっ、それはその…あっ」
リュートに怒鳴られ女性がエノンを離した隙にエノンはリュートの後ろへ隠れる
「何なんだよ!大人は殆どこんな連中ばかりなのか!宿の奴らといいもう何だよ!」
リュートが思いきり地面を足で踏むとビキビキッと鳴り石の街道にヒビが入った
「ひっ!ご、ごめんなさい…」
「行こうエノン」
「う、うん」
リュートはエノンの手を掴み女性がいる反対方向へ歩いて行く





「こっ、こっちです!」
「ん?」
門番が呼び出されて行くとそこには地面に踞る女性がいた
「どうしたんだ!」
門番が駆け寄ると女性は呪いの様に「ごめんなさい」をいい続けていた
「誰か状況を説明してくれ!」
「俺が説明しよう」
門番が周りを見て叫ぶと一人の男性が前に出てきた
「早く説明してくれ」
「あぁ」
男性が門番に説明した
「その男の特徴はどんなだった?」
「えーと、赤い髪に赤い瞳で青い髪の女の子を連れてたぜ」
(まさか鍛冶屋の兄ちゃんか?)
門番は男性にお礼を言い女性を落ち着かせた
「ふぅありがとうございます。まさかあんな事になるなんて」
「あんな事?」
「はい、殺されると思いましたよ~」
冒険者風の女性は頭をポリポリ掻きながらヘラヘラ笑っている
「どういう事だ?説明してくれ」
「はーい」
女性は先程の事を説明した
「それは男も怒るだろ何も子供の物を取らなくても良いじゃないか」
「だって欲しかったんですよ~!」
「それでも取ったら泥棒だろ!少しは考えろ!そこにその男がいたから良かったものを、その子供だけだったらあんたは今ごろ牢屋ブタ箱行きだぜ?」
「それでも欲しかったんです~!」
「はぁ、こいつダメだわ」
「声に出てますよ?」
女性は不気味な笑みを浮かべながら門番を見る
「はぁ、まぁ仕方ありません今回は私が悪かった訳ですし」
「つ、次からは気を付けろよ」
「はーい」
女性は少し反省したような表情を浮かべて立ち去った
「これで終わりだ!解散解散!」
門番は腕を左右に大きく振り周りに集まっていた人達を立ち去らせる
「疲れたぜ」
門番は門の警備へと戻っていった
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